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再会は甘い苦しみ

再会は甘い苦しみ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マギー・コックス(Maggie Cox)
 十歳のときに学校の先生から、あなたは必ず作家になると言われて以来、作家になることを夢見てきた。秘書職を得て結婚したのち、ついに夢を実現した今は、“決してあきらめなければ誰にでも夢を叶えることができる”と語る。母親として忙しい毎日を送っているが、あいた時間はドラマやロマンチックな映画を見て過ごすという。

解説

 サラは叔母のアンティークショップを手伝っている。仕事中毒だった夫との短い結婚生活はすでに破綻し、欲しかった赤ちゃんも流産してしまった。今の仕事は退屈だけれど、自分を取り戻しつつある毎日はとても楽しい。ある休日、サラは博物館のお気に入りの展示コーナーを訪れた。そこで急にめまいに襲われ、床に倒れてしまう。朦朧とした意識の中で、名前を呼ぶ声に目を開けると、青い瞳がじっとこちらを見つめていた。だが相手の正体がわかったとたん、サラは息をのんだ。

抄録

「へえ……ずいぶん気前のいい友達ね」タラはいっぱいに詰まった冷蔵庫のなかを見て目を丸くし、卵とベーコンをとりだした。シャツの袖をまくって水道で手を洗い、しゃがんで棚の下にあるフライパンをのぞく。
 マクセンは広いキッチンの入口で立ちつくしていた。窓には赤いチェックのカーテンがかかり、板石の床はつややかに光っている。彼は、大小の鍋のなかから目当てのものを探すタラを見守った。細いながら均整のとれた体が、ガスレンジの前をせかせかと動く。マッチの箱をとろうと、窓の桟に手を伸ばしたとき、白い胸のふくらみがデニムのシャツに押しつぶされるのが見えた。その瞬間、マクセンは下腹部が熱くうずくのを感じた。
「一緒に朝食をつくらないか?」
 フライパンの柄を握って振り向いたタラは、戸口に寄りかかったマクセンの魅力的な姿に目をしばたたいた。細いジーンズが腰に引っかかり、Tシャツの袖が固い二頭筋に張りつき、金色の髪はセクシーに乱れている。完璧にあつらえたスーツに身を包んだ、一流広告会社の社長とは大違いだ。世間に対して彼が見せている姿とは。タラは少し悲しくなった。一緒に暮らしているときに、今のような気楽にくつろぐ彼の姿を見たかった。
「いいのよ。ひとりでできるから。お友達に食費を払わなくちゃね。いくらか教えてくれたら、半分あなたに渡すわ」
 マクセンは怒りをこらえた。彼女の頑固なまでの自立心が神経にさわる。「それはぼくが解決ずみだ。きみに払わせるわけがないだろう。ぼくがきみに来てほしいと頼んだんだから、そんなことは考えてほしくない。卵はどうする? ポーチドエッグ、目玉焼き、それともスクランブルエッグ?」こんろに近づき、彼女のそばに立つ。
 マクセンとのあまりの近さにタラは情けないほど圧倒され、官能的な麝香の香りにめまいがしそうだった。フライパンをいきなり彼の手に押しつけ、さっさとキッチンの反対側へ移動する。「明晰な推理のできる人でしょう。自分でやって。いいわね?」
 朝食のあいだ、二人は気まずさに耐えた。それでも、タラが食べたのはたしかなので、マクセンは安心した。まるで食の細い子に気を病む母親だ。
 二人でテーブルを片づけ、皿を食器洗い機に入れると、マクセンは布巾を横木に引っかけたタラの手をとった。
「ドライブに行こう」
 タラは、白い小さな手を覆う大きな手に目をやった。腕に電流が走る。
「歩くほうがいいわ」彼の口元に笑みが浮かぶのを見てうろたえた。セクシーな笑みだ。彼の顎のまんなかにできたくぼみに見入り、どきどきしていることを悟られませんようにと祈る。
「そうか……きみがそのほうがいいのなら」マクセンは物憂げな口調で言った。面白がっているのは明らかだ。
「歩くのはいやなくせに」タラは大声をあげた。彼が手を放そうとしないので、身震いする。「よく言っていたじゃない、車で行けばずっと早く着くのに、歩くなんて無駄だって」
「ぼくがそんなことを?」マクセンは驚いたふりをしてみせ、眉根を寄せた。「どうかしていたとしか思えない。きっと仕事で行くところがあって、あせっていたんだろう」
「重大な会議があったのよ」マクセンはなかなか手を放してくれない。タラは、耳の奥が激しく脈打つのを感じた。「いつも“重大な”会議があったわね。ちょっとした会議なんて、一度もなかった。それに“緊急”の用件ばかり。まともな生活じゃなかったわ、マック」
「それは否定できない」顔をしかめ、マクセンは彼女の手を放した。
 ため息がもれる。「本当に歩くつもりなら、それ用の靴が必要だわ。持ってきてるの?」
「なんだって? ぼくが田舎に滞在する準備もできない人間だとでも?」
「わたしは時計を見るのも、急いで帰ってくるのもいやなの。どこかへ出かけたり、誰かに会ったりする予定はないでしょうね?」マクセンがにこりともしないので、タラは顔を赤らめた。けれど、ここは譲れない。わたしの言葉が耳に痛くても、どうしても聞いてもらわなければ。仕事中毒《ワーカホリツク》で、わたしを絶望させた昔の彼と変わったかどうか、まだ確信が持てないのだから。
「ほら」マクセンは腕時計をはずしてテーブルに置いた。「ここに置いておく。きみが望むなら一日中歩こう。不平は言わない。それから質問の答えだが、きみの言うとおりだ。出かけたり人に会ったりする予定はない。ぼくがここにいることさえ、誰も知らないんだ。二人のしたいことを、したいときにできるんだよ」
 その言葉はたしかだとマクセンは証明したかった。ここで彼女をめちゃくちゃに愛したい。だが、満たされない欲望でおかしくなる前に、彼女のそばをすり抜け、キッチンを出る。
「マック?」タラは、彼を怒らせてしまったのかと不安になった。胸が激しく鼓動している。
「ウォーキング用の靴をとってくる!」マクセンの叫び声がした。
 うれしさがこみあげ、タラは思わずほほ笑みつつ、ひそかに唇を噛みしめた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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