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伯爵が遺した奇跡

伯爵が遺した奇跡


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
 アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

 去年の11月、サミは旅先のオーストリアで雪崩に巻き込まれた。暗闇の中、リックと名乗る男性と閉じ込められた彼女は、互いに励まし合い、残された命を燃やすようにして抱き合った。その後助け出されたサミは、彼が亡くなったことを知る。そして彼女のおなかには、新しい命が宿っていることも……。1年後。サミは幼い息子を連れ、イタリアのジェノヴァに降り立った。その地にいると聞いていた、リックの家族を訪ねるつもりだった。ところが現れたのは忘れもしない、愛を交わしたリック本人! 彼が生きていたなんて……感涙にむせぶ奇跡の再会も束の間、サミは彼の正体を知って愕然とする。なんですって、あなたが伯爵――?

 ■イマージュが誇る人気作家レベッカ・ウインターズ。“大きな愛で読む人の心を潤す”という枕詞そのままの、愛の奇跡を高らかに歌い上げるような極上ロマンスをお届けします。伯爵はあの夜が遺した幼子に大喜びしますが、彼には令嬢の婚約者がいて……。

抄録

「リック、本当のことを言って。あなたが私を捜したのは、私が妊娠したかどうかを確かめたかったから?」
 リックの視線がサミの顔の上をさまよった。「違う。実を言うと、君が運ばれた病院で死んだのではないかと思っていたんだ。僕と同じように意識を失い、それっきり目覚めなかったかもしれないと。それを確かめたかった」
「なぜ?」
「もし生きていたら、会いたかったんだ。見ず知らずの二人がなぜあんなふうにつながり合えたのか、納得のいく答えが欲しかった。君と話をすれば、あれからずっと頭につきまとっていた疑問の答えがわかるかもしれないと思った」
 サミはうなずいた。「私も同じ疑問を持っていた。でも、説明はつきそうにないわ。あのときの私たちは、文字どおり肉体的に惹かれたわけじゃなかった。ばかげていると思われるかもしれないけど、二人の魂が語り合ったとしか表現のしようがないの」
「あるいは、別の次元で認め合った?」リックが付け加えた。
「そう、まるでお互いに最後のさよならを告げているみたいに……自分たちの体を使って」
「僕も同じことを考えていたよ、サミ。ばかげてなんかいない」
「そう感じていてくれたならよかった。何度も考えたけど、納得のいく結論はそれしかなかったわ」サミはじっとしていられないかのように体を動かした。「最初にオークランドへ戻ったときには、体の中がからっぽになったような気分だった。あなたが死んだと知って、とてつもない喪失感を味わったわ。途方にくれてしまった。あなたと愛し合ったからというだけじゃない。ああなったのは、ありきたりな理由からじゃなかった。つまり……」
「君が言いたいことはわかるよ」リックはサミの心をやすやすと読み取った。
「雪に閉じこめられていたとき、きっと二人とも死ぬんだと思ったの。妊娠のことなんて、意識の片隅にものぼらなかった」
「僕もだ」リックがささやいた。「避妊具を使おうなんて、思ってもみなかった」
「わかっていたのは、私たちの目の前には終わりしかないということ」
「だが、そんな時間の中で、僕は一生分の人生を生きたような気がした」
 それはまさしくサミが言おうとしたことだった。
「退院したとき、僕は初め、自分が感じているのは父があんな形で亡くなってしまったことへの悲しみのはずだと思った。ところが、しばらくたっても悲嘆は消えなかった。どんなに深く探ってみても、その底にいるのはいつも君だった」
「私も同じだったわ」サミは自分から進んで語った。「マットは、雪崩にあった心的外傷後ストレス障害《PTSD》だと思ったみたい。私があなたと閉じこめられたことは彼も知っていたけど、最初からすべてを打ち明けたわけじゃなかったの。自分の中で何が起きているにしろ、いつかは抜け出せると思っていた。そのうち妊娠がわかって……」リックの胸で安心しきって眠っている赤ん坊をちらりと見る。「妊娠のこと、大喜びしてはいけなかったのかもしれないけど、とてもうれしかった。もちろん、マットにはすべてを告白するしかなかったわ。だけど、彼は決して心から納得してはくれなかった」少し間を置いて、彼女は言った。「これだけは言えるわ。エリアナもきっと納得できないはずよ」
「ああ。彼女が真実を知って君に会えば、僕たちの体の関係がしっくりこなかったのは君のせいだと思うだろうね」
 サミは座席で身をよじった。「私はジェノヴァに来るべきじゃなかったんだわ」
「本気じゃないだろう?」
 そう、本気で言ったわけじゃない……。「婚約しているんだから、あなたの愛できっと乗り越えられるはずよ」
「サミ……僕たちは愛し合っているわけじゃない」
 今なんて言った?
「僕たちが結婚するのは、双方の家を経済的に潤すためだ。誤解しないでほしい。エリアナにはすばらしいところがたくさんあるし、彼女のことは好きだ。だが、愛してはいない。不運なことに、彼女に結婚を申しこんだとき、僕はまさか、“いいときも悪いときも”の“悪いとき”が、結婚の誓いを交わす前に訪れるとは思っていなかった」
 サミは落ち着きなく体を動かした。リックがエリアナを愛していないとしても、エリアナのほうも彼を愛していないとは思えなかった。彼を愛さずにいられる女性がこの世にいるはずがない。子供がいると知ったら、彼女の心はぼろぼろになるだろう。そのことについてきいてみようとしたとき、シートベルト着用のサインがついた。「もうキプロスに着いたの?」
 リックはすばやく立ちあがり、着陸に備えて赤ん坊を固定した。「長いフライトじゃないと言ったはずだ。飛行機を降りたら、気温の違いに気づくよ。ここの空気を吸うたびに、僕は気ままだった子供時代を思い出す。ここで本物の休暇を過ごすのはずいぶん久しぶりなんだ」
「エリアナとも来なかったの?」
「彼女は一度もここへ来たことがない。海があまり好きじゃないんだ。今回は君と一緒だから、一度くらいは泳ぎたいな」
「でも、あなたは仕事で来たんでしょう?」
「仕事も遊びも両方できるさ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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