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ルシファーは罪深き僕

ルシファーは罪深き僕


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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解説

 久しぶりに出席した社交界のパーティで、公爵令嬢エリザベスは高揚した気分を味わっていた。目が見えなくなってから人目を避けて暮らしてきたけれど、勇気を出して来てよかった。ところが知り合った紳士と会話を楽しんでいたとき、険悪な声の人物が割り込んできて、彼女を連れ去ってしまう。アリンウィック侯爵! いつもはエリザベスと距離を置く侯爵は、一方的に彼女をふしだらだと罵ると、獣のように野蛮に唇を塞いだ。エリザベスは動揺しながらもすぐさまはねつけた。かつて彼は視力を失いつつあった私を捨てたのだから……。

抄録

「あなたは闇と罪に生きている」彼女は言い放った。「人間の優しさも礼儀正しさも忘れてしまっている。気にかけるというのがどういうことかも忘れている。十年以上も訪ねてくることはなくて――」
「それは違う」彼は不機嫌な声で言ったが、エリザベスは手を振って彼の言葉をさえぎった。
「ふらりとやってきたかと思えば、出ていってしまう。好きなように出入りしていた。でも、あなたは存在しなかったの、アリンウィック。どんな意味においてもね。私のスカートをたくしあげ、自己満足に浸って、私を一人草地に残していったあの夏から」
 彼の顎がびくりとした。彼女の非難がいかに正しかろうが、ここに立って、それらを聞いていたくはない。非難を聞くのもいやなら、昔と同じことをしている自分が嫌いだった。何よりも、エリザベスの美しい灰色の瞳を見るのがいやでたまらない。
「私の人生には、あなたの場所はなかったわ――あなた自身のせいで――この十二年間」エリザベスは口を引き結んだ。「私が紳士をもてなしているときに、この部屋に入ってくるなんて無礼にもほどがあるわ。あなたにはなんの権利もないのよ。なんの言い分も、心配や反対を口にする理由もない。一度はあなたにもその権利があったのよ、イエイン」彼女は息巻き、体は当然ともいえる怒りを感じてこわばっていた。「でもあのときは気にもとめなかった。今さらそんなことを言う資格はないわ」
「わかっている」ほかになんと言えばいい? どんな言い訳ができる? 本当に彼女とやり直したいのなら、正直にならなければならない。これまでの自分とは正反対の人間に。「君の言うとおりだ、ベス」目を閉じ、彼女の名前を噛みしめた。彼だけが口にする名前。彼自身を彼女の奥深くに埋めて、彼女に歓びを与えながらささやいた名前。彼女の耳元でささやいた。“ベス……ベス……もっと……僕をすべて受け入れて……”エリザベスが脚を広げ、彼をさらに深く迎え入れると、彼はささやいた。“僕のベス”その言葉がすべてを意味した。エリザベスは彼のもの。ずっと彼のもの。
「何が?」彼女は尋ねた。当惑した顔をしているが、無理もない。
「もちろん、君の言うとおりだ。僕には君のことを思う権利はない、そうだろう? 君が誰をお茶に呼ぼうが、誰と長椅子に座ろうが、誰のために顔を赤らめようが気にすべきじゃない。だが、くそ、エリザベス、僕は気になるんだ。気になってどうしようもない。僕は君を不機嫌にすることしかできないのに、あいつは君を笑顔にしたというただそれだけで、怒りが爆発して、あいつを引きずっていって、血だらけになるまで殴りつけたくなった」
「何がねらいなの? あなたの顔は見えないし、目に浮かんだ嘘もわからないなんて、本当にいやになるわ」
「嘘はない。誓って」
「私を絶対に傷つけないと誓ったこともあったわよね。でも、それはすぐに忘れられ、ほかの嘘のせいでかえりみられず、そんな嘘もあなたは忘れてしまった」
「もう一度やり直したいんだ」思わず口走った。自分の耳にも切羽詰まって聞こえる。そこには、放蕩者として名高いアリンウィック侯爵らしさはかけらもなかった。
 空気は重く張りつめ、とうとう彼女が叫んだ。「ありえないわ」
 有無をいわせぬ響きがこもっていた。答えにためらいはなかった。エリザベスは自分が何をしているかわかっている女性だ。信念と道徳心を持ち、彼にはないすべてを象徴している。
 とはいえ、あきらめるつもりはなかった。それどころか、イエインはいらだち、さらに近づいて彼女へ手を伸ばした。上着は脱ぎ、ベストとシャツ姿になっていた。肩は悪鬼のように痛み、容赦ない悪魔のようにずきずきしている。スコッチがいい具合に痛みを消してくれるだろうが、昨夜は飲みすぎたし、今日は……そう、今日からは変わると決めた。エリザベス・ヨークとその愛情にふさわしい人間になるのだと。彼女にこのことを聞いてほしかった。本当に許してもらいたくて、許しを得るためならなんだってするつもりだと彼女に伝えたかった。スコッチをあおったりしていたら、真剣だとは思われない。
 そのかわり、ブラックと一緒にアナスタシアを埋めている間は、歯を食いしばって痛みをこらえ、今もまた、エリザベスが彼の腕に手をかけ、体を支えるようにして上腕をつかんでいる間、同じように堪えていた。傷口からはまた血がにじんでいる。肩は熱を発し、上等なリネンのシャツがべったりとはりついている。
「逃げないで」彼は息をつき、エリザベスを引き寄せた。「頼むから――」しかし彼女はイエインを押しやり、離した手を鼻先へ持っていった。指先が血に濡れている。「だめだ!」
 だが、遅かった。彼女は舌をのぞかせ、おそるおそるなめた。血が唇を濡らし、眉をひそめる。怒りが心配に変わる。イエインは何か官能的で野卑なよからぬ感情に襲われた。さっと頭を傾け、彼女の唇を奪った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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