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シークの憂鬱 アラビアン・プリンス II

シークの憂鬱 アラビアン・プリンス II


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ロマンスアラビアン・プリンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 テレサ・サウスウィック(Teresa Southwick)
 日々発展がめざましい街、ラスベガスに夫とともに暮らしている。少女のころから読書が大好きだった。フルタイムの作家になる夢が実現し、無上の喜びを感じている。お気に入りは、ジャスミンの香り、浜辺の散歩、屋根に当たる雨の音、そして何よりもハッピーエンドだという。

解説

 美人コンテストで優勝したほどの美貌を持つクリスタルは、王家の子供たちの乳母(ナニー)としてエル・ザフィール王国を訪れた。不格好な眼鏡、だぼだぼな服、引っつめ髪で変装をして。なぜか“不美人であること”がナニーの絶対条件だったのだ。雇い主の第二王子ファリークはすぐに聡明な彼女を気に入り、クリスタルも美しく誠実な王子に心惹かれていく。しかし同時に、姿を偽っていることに心苦しさを覚えて、クリスタルは時機がきたら本当のことを話そうと決心する。変装など、たわいない偽りにすぎないと彼女は思っていた。王子がどんな嘘や偽りも許さないと知るまでは。

 ■華やかな王子たちが紡ぎ出す、珠玉のロマンスを描いたミニシリーズ『アラビアン・プリンス』二作目をお届けします。

抄録

 ほんの一時間ほど馬に乗っただけで、クリスタルのヒップや太ももの内側が打撲したかのように痛み始めた。やっと地面に降り立つと、両脚が頼りなく震えた。腕や手、肩の筋肉はがちがちにこわばっているが、これは緊張のせいかもしれない。
 断じて嘘はつかないというファリークの言葉のあと、二人はしばらく黙ったままだった。男性が真実を翻すことがあるのは、女性なら誰でも知っている。なぜこのわたしが、地球上でただ一人、嘘をつかない男性の下で働かねばならないの? 罪の意識が重くのしかかり、クリスタルはファリークに真実を打ち明けるべきかどうか思い悩んだ。母親には送金したのでなんとか家の売却は避けられた。だがまだ入院費など山のような支払いが滞っている。
 それから彼女は子供たちのことを考えた。一年で五人もナニーがかわり、クリスタルが来るまでは、そのときどき、手の空いた召使いや家族の間をたらい回しにされていたという。今二人は満足して楽しそうだ。またあの子たちに動揺を与えるのは酷ではないだろうか。
 もう少し様子を見ることにしよう。彼女の力量にファリークが納得すれば、事実を明らかにして理解を求めよう。子供たちのためだとなれば許されるかもしれない。そのときまではしっかり仕事に打ち込もう。ああ、道は険しい。
 さっきファリークに頼んで少し早駆けした。あんなに楽しかったのは久しぶりだ。ファリークも楽しんでいる様子だったが、彼の目はまるで燃えさかる石炭のようで、緊張感が全身からにじみ出ていた。
「第一回目のレッスンはとてもよかった」ファリークの目に何かが光った。「髪がほどけているよ」
 今ごろ気がついたの? 馬の背に揺られるうち、とうの昔にバレッタが外れていた。懸命に手綱にしがみついていて、髪を直すひまもなかったのだ。
「もっとしっかりとめておけばよかったわ」
 だがファリークの目の光は“そんなことはない”と言っていた。「顔色がよくなったね。頬がピンクになっている。乗馬は楽しかったかな?」
「ええ、とても」クリスタルは熱を込めて言った。
 ファリークは厩舎のすぐ前でミッドナイトを止め、猫のように優雅な仕草で馬から降りた。手綱を柵につなぎ、クリスタルの馬も同じようにつないだ。
 ふりむいてまだ彼女が馬に乗ったままなのに気づき、ファリークは驚いた顔をした。やがてその唇がゆっくりと笑みを形作った。「ウエスタン映画を見るのと出演するのとはやっぱり違うだろう?」
「お尻がひどく痛いの」ますます笑みを深くするファリークをクリスタルはにらみつけた。「そんな嬉しそうな顔をなさらなくてもいいでしょう」
 ファリークは腰に両手をあてた。「別に嬉しがってなどいないよ。それは無礼で失敬なことだ。だが乗馬のレッスンに筋肉痛はつきものだ。特に無防備な内ももはね。鞍に慣れるまではしばらく不愉快だが、やむをえない」ファリークはクリスタルに両腕を差しのべた。「さあ、降りて。手を貸そう」
「ありがとう、でも一人でできます」
 クリスタルは鞍の角の部分をつかんで右脚から降り、震える脚が落ち着いてからもう片方の脚も降ろした。思ったほどつらくはない。そろそろと鞍の角をつかむ手を離し、クリスタルはよろめきながら向きを変えて歩き出した。なかなか難しい。つまずいた彼女を、ファリークが手を伸ばして軽々と支えた。
「ちょっと長い時間乗りすぎたかな。まだ最初のレッスンなのに」
「楽しかったわ。それに乗っていた時間は関係ないと思います。もっと短時間でも、わたしの内股は悲鳴をあげていたと思うわ」
 体のほかの部分は彼の広い胸に抱かれて上機嫌だ。力強い腕や引きしまった太ももから、乗馬のせいではない、何かもっと別の震えが体内に広がってゆく。ファリークがもの憂げな笑みを浮かべた。「いや、やはり初心者のきみにもっと配慮すべきだった。この埋め合わせはする、約束するよ」
 どうやって? ファリークの瞳が熱く燃え、まるで特別おいしそうなチョコレートを見るような目つきでクリスタルを見つめた。その暗く危険な表情が炎のように、彼女の肺から酸素を奪ってゆく。動くどころか、考える能力さえも奪われてしまう。
 次の瞬間、ファリークは頭を下げてクリスタルの唇をとらえた。彼女の全身を衝撃が貫き、喉に低くせつなげなうめき声が閉じ込められた。
 激しくうなるような声をあげ、ファリークは彼女の濡れた口の中に舌を差し入れた。息をのむような感覚が彼女の神経を走り、胸へ、指先へ、そしてつま先にまで達して、あとにはばたくような熱っぽさを残してゆく。ファリークは息づかいも荒く、さらにしっかりとクリスタルを抱きすくめた。彼のかたい胸板に押しつけられ、バストが押しつぶされる。太ももの間に彼の欲望の証を感じたクリスタルは、ショックと興奮を同時に覚えた。
 ファリークの手が頬を包み込み、指が髪に巻きつくと、クリスタルはその感触にうっとりと酔いしれた。今にも全身が炎に包まれそうだが、もうどうなってもかまわない。そうしている間にも、彼の唇はクリスタルから離れることはなかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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