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恋はスキャンダルから

恋はスキャンダルから


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 親友ペネロープの葬儀で、サリーは彼女の親族から激しい非難の視線を浴びせられた。ペネロープは、サリーの運転する車に乗っていて事故死したからだ。いたたまれない気持ちで立ちつくしていると、男性に名前を呼ばれた。ジェイク……。かつて私が愛した人。そして、私を裏切ってペネロープと結婚した人。葬儀の翌日、ジェイクが職場に突然現れ、サリーを誘い出そうとした。事故の詳しい様子を知りたいのだという。いいえ、だめよ。あまりにも危険だわ。ずっと秘密にしてきたことを彼に知られるわけにはいかない。

抄録

 気持ちをあらわにしすぎたことに気づいたのか、サリーは頬を赤く染めた。愛の告白じみた台詞を聞いた彼女が、なぜあんなに悲しげな表情を浮かべたのか、ジェイクにはさっぱりわからなかった。
「ぼくが言いたかったのは――」彼は言葉を探した。
 先に落ち着きを取り戻したサリーが助け船を出した。「女性を守ろうとする男性本能のせいで、つい口が滑ったのよ」
「そんなところかな」ジェイクは話題を変えることにした。「昨日、あのナイトクラブのオーナーに会い、ペネロープの写真を見せた。少し金を握らせたら、ずいぶん前から彼女が店の常連だったと認めたよ」
 サリーは、今にもそれが飛びかかってくるかのように、ボウルに盛られたごはんを見つめている。「ほんとうに?」
「ああ。彼女を“さかりのついたセックステリア”とさえ呼んでいた。あまり聞き慣れた言葉じゃないが、それを聞いて合点がいったよ」
「そう」サリーの声は外の冬景色のように単調で頑なだった。
「どうした、サリー?」ジェイクは穏やかに尋ねた。「反論するかと思ったのに。おかしいな。きみはほかに何を隠しているんだ?」
 ついに我慢できなくなったのか、サリーはボウルを払いのけて椅子から立ち上がり、窓辺に歩み寄った。「ペネロープのことなど、わたしは何も知らないわ。彼女はわたしには何も話さなかったもの」
「きみたち二人は親友同士だったじゃないか。きみほど彼女を知る人はいなかった」
「それはあれより前のことだわ」
「あれって?」
 軽率にしゃべりすぎたことを後悔したのか、サリーはぎゅっと口をつぐみ、慎重に言葉を選んで答えた。「わたしとペネロープが疎遠になる前のことよ。町に戻るまで、彼女とはほとんど連絡も取り合わなかった。彼女が普段どんな店に出入りしているのか、わたしはまったく知らなかったわ。一緒に出かけたのもあのときだけよ。お互いの近況報告でもしようと思って出かけたのに、結果はご存じのとおり。わたしの無謀な運転のせいで、あなたは妻を失ってしまった」
「きみのせい?」ジェイクは立ち上がり、サリーに歩み寄った。「きみは本気で自分のせいでペネロープが死んだと思っているのか?」
 サリーは臆病な子馬のようにあとずさりした。「だってそうでしょう? 運転していたのはこのわたしよ」
「きみは‘彼女の’車を運転していたんだ。なぜだか説明してくれる気になったかい?」
「いいえ」サリーは強情に言い張った。
「なら、ぼくが説明しよう。ペネロープが酔いつぶれて、きみが運転せざるを得なかったからだ。彼女はそれが気に入らず、おそらくきみからキーを奪おうとした。ぼくの推理はどうかな、サリー?」
 何も言わなくても、蒼白になった彼女の顔色がすべてを物語っていた。
「きみは無理やり彼女を助手席に座らせた。きみはほとんど無傷だった一方で、シートベルトを拒んだ彼女は、電信柱に突っ込んだ車の外に投げ出されてしまった」
 その言葉が引きがねとなり、サリーは思わずしゃべっていた。
「ペネロープは帰りたくないと言い張ったわ」サリーの声は悪夢に怯える子供のように頼りなかった。「四つんばいで床を這いまわり、汚い言葉をわめき散らし、まるで動物のようだった。恥ずかしくて連れだと思われたくなかったほどよ。ようやく外に連れ出したとき、彼女がバッグを落としたから車のキーを手にできたの。車に乗せるのもひと苦労だった。大暴れして……手のつけようがなかったわ。キーを抜こうとしたり、ハンドルをつかんだり……。そして車が横滑りして……タイヤがきいきい鳴り続けて……止めようとしても止まらなくて……止まらなくて……」
「止められなかったんだね」彼女につらいことを思い出させている自分を憎みながらも、ジェイクは真実を知りたいという思いに突き動かされていた。「ぼくも何度も似たような経験をしたよ」
「でも、あなたは彼女を殺さなかった」
「あれは事故だよ、サリー――ペネロープが起こした事故だ。彼女が運転していたら、きみだって命を落としていた」
「あんなに酔う前に止めればよかったのよ。こんなことになってしまって、あなたに憎まれてもしかたがないわ」
 ジェイクはあと先も考えずにサリーに近づき、手を伸ばして彼女の髪をなでた。絹のように光沢のある髪は指の隙間をするりと抜け、ジェイクはいつの間にか髪ではなく彼女の頬をなでていた。
 その瞬間、無言で牽制し合っていた二人の自制心は崩れ落ち、灰になった。それが火傷のように鋭くはっきりと伝わり、ひるんだサリーはさっと両手を上げた。だが、彼を突き飛ばす代わりに、彼女はジェイクの胸に体を預けた。そして、セーターの胸元をぎゅっとつかみ、目を閉じて小さくうめいた。
 敗北のうめき? それとも降伏かしら? そんなことはどうでもいい。もう止めようがなかった。心に秘めてきた熱情に突き動かされて二つの唇が重なり、昨日までの歳月は消えた。鬱積した思いが堰を切ったようにあふれ、ジェイクは彼女を乱暴に引き寄せ、狂ったようにキスの雨を降らせながら、口にすることはおろか、考えたことさえなかった言葉をつぶやいていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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