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月明かりの誘惑 地中海の宝石 I

月明かりの誘惑 地中海の宝石 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス地中海の宝石
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 この人がハンター・ラドクリフ……。野性味と権力を備えた彼には、狩人(ハンター)という名前はぴったりだわ。プリンセス・ルキアは大公妃の友人で実業家の彼に会って思った。だがハンターはことさら慇懃無礼にふるまい、表情には軽蔑すら見え隠れする。それでいて、ときおり熱いまなざしで見つめてくるのだ。どうして彼がそんな態度をとるのか、無垢なルキアには想像もつかなかった。ましてや、彼の友人を翻弄して死に追いやった冷酷な女と蔑まれ、挑戦しがいのある女だと誘惑を仕掛けられていることなど。

抄録

 夜明けのおぼろな光のなかでルキアは思った。ハント・ラドクリフとの情事なんて、すぐに幻滅に終わる。官能のオーラを発している彼には、性の経験がない女などうれしくもないだろう。
「考えるのも愚かだわ」ルキアは自分を戒めた。
 それでも期待はくすぶりつづける。彼女はいらだち、ベッドを抜けだした。
 今朝はアレクサとルカに予定があり、ルキアがハントに観光案内をすることになっている。鏡をのぞくと、目は輝き、頬は色づいていた。
 ひとりの男性を愛していながら別の男性との妄想にふけるなんて、いったいどういう女なの?
「わたしみたいな女よ」ルキアはしかめっ面で言った。
 朝食を終え、ルキアとともにリトル・パレスの扉を出たハントは、車のそばにいる運転手に目をとめた。「あなたは運転ができないのかな?」
 ルキアはかっとなった。「できますとも」
「運転手がいるのは安全上の理由から?」
「ダキアではその心配はないわ」
 ハントの唇がゆがみ、苦笑が浮かぶ。「すなわち、お供がいたほうが安心というわけだ」
「まさか」図星を指されて、ルキアはかんしゃくを起こしそうになった。彼に言われて初めて気づいたのだ。指示をとり消し、ルキアは自分の車をまわしてくるよう言いつけた。
 乗ってしばらくはじろじろ見ている彼がいまいましかったが、しだいに彼がくつろいできたので、自信が出てきた。
「運転が上手だ」ハントが言った。
「どうもありがとう。ルカに教わったの」
 ハントはうなずき、鋭い目を窓の外に向けた。車は、ダキアに最初に住み着いた人々の遺跡へと山を登っていく。洞窟の入口が隠れている岩壁には、銀色の斑点がついた葉がこんもりと茂り、小さなシクラメンの花が咲いていた。
「ここには伝説がありそうだ」車を降り、銀梅花の木立に沿って歩きながら、ハントが言う。
 チターをかき鳴らすような蝉の声が響きわたっている。ハントの頭に陽光が照りつけ、髪が赤く燃えあがる。
 ルキアは息をのんだ。まるで男性の力強さや優雅さ、それに美しさを形にした彫像のようだ。突然、思いがけない感覚が腹部になだれこんだ。
「伝説はつきものだわ。古代ダキア人は、あの洞窟で彼らの神が誕生したと信じていたの。ところが島にキリスト教が伝わると、洞窟はただの隠遁者の住まいだったとされたわ。その隠遁者は、今や島の守護聖人よ」
 ハントがうなずいた。「よくある展開だ」
 きっと自分は意外な顔をしたに違いないとルキアは思った。ハントはこうも言ったのだ。
「アレクサと暮らしてみてわかったでしょう。南半球の人間だからって、無教養なわけじゃないと」
「たいていのお金持ちは、金儲けか浪費にしか興味がないみたいだもの」ルキアは反撃に出た。「もっと広い話題に関心がある方にお会いできると、心が洗われるわ」
「一本とられた」ハントは南京錠がかかっているゲートを調べた。「なかへ入るのかな?」
「鍵があるの」ルキアはバッグから鍵をとりだした。
 ハントが片手をさしだしたので、彼女はおとなしく鍵を渡した。彼がゲートを開けると、ルキアは暗闇に向かって歩きだした。
「ぼくが先に行こう」
 ルキアは足を止めた。「どうして?」
「先に女性を暗闇へ行かせるのは性に合わないんでね。高貴な階級の特権は、今回ばかりはあきらめてもらわないと」
 からかい口調に腹は立ったが、守ろうとしてくれていることには心を動かされた。「なかに特別なものはないのよ」
「だったら、なんのためのゲートなんだ? 盗難の心配はなさそうだが」
「ええ、地元の人はここには近寄らないわ。この島の守護聖人を怒らせたくないから」
 ハントは暗い口を開けている洞窟のほうへ歩きだした。「だとしたら、ゲートが必要なわけは?」
 ルキアは彼のあとを追った。「ここは重要な史跡だし、金細工などの貴重品が見つかるのではないかと観光客は思いがちだからよ」
 洞窟のなかに入ると道が狭くなり、いきなり曲がって光が消えた。
 ルキアが声をかけた。「気をつけて。また急に曲がるから……あっ!」
 ハントにぶつかった。飛びのく前に、一瞬だけ鋼のような筋肉を感じた。それに、男性的な香りが媚薬のように彼女をぞくぞくさせた。
「ぼくには見えていたよ」ハントの口調はそっけない。「大丈夫かい?」
「大丈夫よ。猫並みの目なのね。そこに明かりのスイッチが……」今度は喉の奥に言葉が消えた。暗闇に慣れた目が、彼のほほ笑んだ顔のなかで歯が白く光るのをとらえたのだ。
「まだだ」力強い手が彼女の肩を押さえる。「これを終わらせてしまわないか?」
 薄暗がりでルキアが見上げた彼の顔は、にわかに獰猛さをおびて見えた。「なんのこと?」
「これは避けられないことだ」
 ルキアは恐怖にかられた。「何を言っているのか、わからないわ」
「これだよ」ハントはいらだたしげに答え、頭を下げてキスをした。
 温かく探るような彼の唇に官能的な喜びを引きだされ、ルキアは愕然とした。鼻をくすぐるセクシーな香りが、いっそう彼を感じさせる。香水とは違う自然な麝香の香り。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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