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ネックレスはつけたまま

ネックレスはつけたまま


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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著者プロフィール

 リー・ウィルキンソン(Lee Wilkinson)
 イングランド中部ノッティンガム生まれ。学校を卒業後、水着モデルなどいくつかの仕事を経験する。二十二歳で結婚し、ハネムーンはイタリアへ。短編や雑誌の連載小説から執筆活動を始めた。現在、ダービーシャーの村に立つ由緒あるコテージに住んでいる。趣味は、読書、ガーデニング、散歩、料理。旅行が何よりも好きで、世界じゅうの国々を訪れている。

解説

■三年前につらい思いで別れたひとが、婚約したばかりの彼女の前に突然姿を見せた。
■フランは宝石会社でデザイナーとして働く身だが、最近、社長のカークからプロポーズされ、婚約した。今日は彼女がデザインし直した貴重なネックレスを、依頼主であるイギリス人貴族に二人して届ける予定になっている。ところが待ち合わせ場所にカークから連絡が入り、遅れるから先に行ってくれという。やむなくタクシー乗り場に並んでいると、いきなりバッグを奪われ、道路に突き飛ばされる。ショックで呆然としながらも、彼女はとにかく依頼主の屋敷に急いだ。そこではさらにショッキングなことが待ち受けていた。フランを迎えた男性が、三年前に別れたブレイズ・ロードンだったのだ。どうしてブレイズがここに?アメリカ人のはずの彼が、なぜイギリスの貴族になったのだろう?

抄録

 ブレイズに軽々と抱きあげられ、フランは狼狽した。平静にふるまおうとするのに、全身が緊張し、すさまじい速さで血管が脈打つ。
 彼がまっすぐ見つめてくる。濃いまつげのあいだで瞳がきらめいている。「ぼくの首に腕をまわしてくれると運びやすいんだけど。前にもしたことがあったじゃないか」
 言葉で応戦しても無駄だわ。頭の回転もユーモアのセンスも彼には勝てないもの。フランは唇を噛み、ブレイズの首に両腕をまわした。うなじのあたりで軽くカールしている彼の髪に触れ、どきっとする。
「それでいい。昔から共同作業は好きなんだ」
 彼はハンサムな顔で無邪気を装いながら、わたしを怒らせようとしている。その手にのるものですか。フランはまったく違う話を持ちだした。「明日は忙しくなると言ったわね。お客様は何人くらいお見えになるの?」
 居間を抜けて階段に向かいながらブレイズが答えた。「四十人ほどかな。父の旧友がふたり、あとはこのあたりの知人とか仕事の関係者ばかりだ。誰も泊まらないよ」
「あら。親しい友人と家族が集まる週末のパーティじゃなかったの?」
「ぼくの家族はアメリカにいる。友人もね。メリンダも同じだ」
 わたしを抱えて階段を上がっているのに、彼の呼吸はまったく乱れていない。強い人だ。
「ぼくは結婚するまで何もかも伏せておくつもりだったんだが、メリンダが正式な婚約パーティを開きたがってね。ぼくの上流社会の知人に会って、例のネックレスとそのデザイナーを見せびらかすつもりだったんだ……」
 デザイナーが誰か知りながら、ブレイズがフランを招待したわけがこれでわかった。メリンダに頼まれて断れなかったのだ。
「それで、結婚式とハネムーンが終わったら、ニューヨークのプラザホテルで盛大なパーティを開くことになっていた」
 なぜ過去形で話すのかしら。まるでメリンダの不在で事情が変わり、彼の考えまで変わってしまったかのようだ。まさか。いつも時間にルーズな婚約者が遅れているだけで……。
 部屋まであと少し。フランは頭のなかで、ありがとうとおやすみなさいをそっけなく言う練習を繰り返した。
 ブレイズが部屋の前で立ち止まった。フランは下ろしてくれるものと思っていたのに、彼はしっかりつかまってと声をかけてから、かがんでノブをまわし、ドアを開けた。なかへ入り、ドアを背中で押して閉める。
 フランは恐ろしさに身がすくんだ。ブレイズよりも、彼に対する自分の反応が怖かった。「何をするつもり?」ふだんはハスキーな低い声が、今は甲高い悲鳴のように響く。
「何をするつもりだと思う?」
 恐怖を怒りで隠し、フランはつっけんどんに言った。「部屋まで入ってほしくなかったわ」
「手助けがいるんじゃないかと思って」
「けっこうよ」
 ブレイズは彼女のほっそりした体を愛でるように抱いたまま立ちつくしている。
「もう下ろして……」
「いいとも」ブレイズはつややかに磨かれた床を横切り、ベッドに彼女を横たえると、自分もベッドの端に腰を下ろした。
 メイドがつけておいたベッドサイドの明かりがフランの体を照らしている。一方ブレイズの顔は影になって表情がわからない。
「これで満足かい?」
 とんでもない。わたしだけ寝そべっているのはどう考えても不利だわ。
 フランは歯噛みする思いで上体を起こそうとしたが、ブレイズになんなく腕をつかまれ、ベッドに押し戻された。大きく見開かれた彼女の目に、彼の険しい表情が映る。
 フランはささやいた。「お願い、ブレイズ、起きあがらせて」
「そのほうがいい。気の強い女性は好きだが、マナーも心得ていてほしいからね」
「ご、ごめんなさい……わたし……」
「怖かった?」
 沈黙がフランの答えだった。
「怖がることなんかないのに」
「おかげさまで」フランは大げさに叫んだ。
 ブレイズが笑い、ふたりのあいだの緊張が破れた。
 いくらか気持ちがなごんだが、フランは慎重にきいた。「お願いだから体を起こさせてくれない?」
「すべて終わったらね」彼女の顔が青ざめるのを見て、ブレイズは続けた。「心配しなくていい。婚約者がいないあいだにきみをどうこうするつもりはないから。約束する」
「じゃ、何をするつもりなの?」
「賭の戦利品をもらうだけだ」
 フランは思わず知らず哀願していた。「お願いだからキスしないで」
「しないさ。ヴァーリーが来なかったら、‘きみが’キスしてくれる約束だったじゃないか」
「あんな賭、子供のすることよ」
「きみが約束を守らない人だったとはね」
 ブレイズはどうあっても約束を果たさせる気でいる。「わかったわ……。とりあえず座らせて」
 フランは上体を起こそうとした。今度は彼も止めなかった。ブレイズと向きあったフランはためらった。彼のほうからキスしてくれないかしら。でも、その気配はなさそうだ。
 それにしても、のみで彫ったように美しい唇。上唇は厳しさを感じさせるのに、下唇は厚めで官能的だ。かつてこの唇が、どれほどわたしの胸をときめかせたか。今もこうして胸を騒がせている。
 だけど、なにも唇にキスする必要はないわ。
 フランはブレイズに顔を近づけた。頬に軽くキスするつもりが、どういうわけか彼の唇をとらえ、そこから離れられなくなった。
 一、二秒じっと動かなかったブレイズの唇がフランの唇に応えて開き、キスが深まった。
 炎のような情熱と興奮に襲われたフランは、甘美さにうっとりと目を閉じ、彼の首に腕をまわした。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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