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シークの誤算 アラビアン・プリンス III

シークの誤算 アラビアン・プリンス III


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ロマンスアラビアン・プリンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 テレサ・サウスウィック(Teresa Southwick)
 日々発展がめざましい街、ラスベガスに夫とともに暮らしている。少女のころから読書が大好きだった。フルタイムの作家になる夢が実現し、無上の喜びを感じている。お気に入りは、ジャスミンの香り、浜辺の散歩、屋根に当たる雨の音、そして何よりもハッピーエンドだという。

解説

 恋人に手ひどく裏切られた看護師アリは、アメリカから遠く離れたエル・ザフィール王国までやってきた。今は仕事に集中し、ここで心機一転やり直そう。しかし、カマル皇太子との出会いによって、アリの決心はぐらつき始める。世界中の美女を虜にしてきた彼はなぜかアリに興味を示し、熱い視線やキスで翻弄するのだ。どうしようもなくカマルに惹かれていくアリに、彼は無情にも言い放った。「君と情事を楽しみたい」

抄録

 アリははじかれたように立ちあがり、たちまち後悔した。足ががくがくして、今にもくずおれそうだ。聞き間違い? それとも一風変わった会話表現?
「な……なんですって?」
「君と情事を楽しみたい」
 冷静にこんなことを言われて、どう反応すればいいの? もし私が結婚を真剣に考えていたとしたら、情事の相手としか見なされなかったことに傷ついたかもしれない。でも今の私は結婚にはまるで興味がない。皇太子殿下から愛人に指名されて光栄だと、お礼の一つでも言うべき? それとも、見損なわないでと頬を平手打ちする? いいえ、だめ。国際問題に発展してしまうわ。なら、どうしたらいい? 言葉を失うのは、今晩、二度目だ。
「な、なんと言っていいか」ようやくそう答える。
「ただイエスと答えてくれればいい」
 膝が鍋に長くかけすぎたキャラメルみたいにぐにゃぐにゃだ。慎重さなどかなぐり捨てて、彼の申し出に飛びつきたがっている自分がどこかにいる。ばかね。感情をコントロールしなければ、またひどく傷つくかもしれない。それにはもう懲りた。同じ過ちはくり返さない。
 でも普通の女の子が、こんな申し出を受けるチャンスはそうあるものではない。それに彼は、王位継承者に生まれつかなければ、ハリウッドの大スターになっていたかもしれないぐらいハンサムだ。官能的な黒い瞳、高い頬骨、引きしまった顔。その形のいい唇の感触を想像して悩ましい空想に浸るため、連日大勢の女性たちが映画館に押し寄せるはず。でもアリは、彼の唇をすでに知っていた。
「前にこの国を訪れたとき……」アリはずっと心に引っかかっていたことをきこうとしてためらった。
「何?」カマルが立ちあがり、彼女の前に立った。
 アリは息をのんだが、目をそらすつもりはなかった。「なぜ私にキスをしたの?」
 どうしていいかわからないときは、真正面からぶつかっていくに限る。
「アリ」バタースコッチキャンディのように甘く、その二倍魅力的な声。彼はこぶしをアリの顎にあてがい、そっと上を向かせて目を合わせた。指で彼女の頬骨をなぞり、ほつれ毛を耳にかけた。アリが思わず身を震わすと、彼の唇の両端がつりあがった。「君は本当にそんなに無垢なのか? その美しさがどれだけ人の心を惑わせるか自覚がないのかい?」
 それが事実なら、今ごろ結婚していたはずだ。ターナー医師にとっては、もっとふさわしい誰かが現れるまでの遊び相手にちょうどいい程度の女だった。でもなぜか今は、アリがここに来る原因となった彼の拒絶に腹を立てる気にはなれなかった。もちろん、利用されるのは二度とごめんだけれど。
 アリは目をぱちくりしてみせた。「それって、まるで引っかけ質問と同じね」
「え?」
「どう答えても自分が窮地に陥るってこと。イエスと言えば高慢だし、ノーと言えばほめ言葉を引き出そうとしてるように聞こえる」
「君をほめるのはやぶさかじゃない」
 彼女は頭を振った。「わかっていないわね……」
「わかっていないのは君さ。僕はけっして人にノーとは言わせない男なんだ」
「王様にふさわしい性格ね」アリは目を丸くした。
「まあね。それと、一つ警告しておく」
「何?」
 ただでさえ黒い瞳が、さらに陰ったように見えた。「時に僕はすごくせっかちになる。どうやら今がそのときらしい。話し合いはすでに袋小路に入っている。残された道は実力行使のみだ」
「実力行使?」
「君を説得するために、これからキスをする。そうすればきっとイエスという答えが聞けると思う」
 本来ならむっとする場面だ。でも彼のコロンの香りがあたりに満ち、梢や茂みが幻想的な光を放つ今、憤慨したくてもしきれない。それにアリが世界一魅力的な女性だと訴えるようなカマルのまなざし。彼の全身から放たれるセクシーなオーラが押し寄せてくる。腹を立てるのはあとだ。今はただ、近づいてくる彼の唇を、身をかたくして待ちかまえるだけ。
 目の前でカマルがささやいた。「腕を首に回して」
 アリはつま先立って言われたとおりにした。彼の命令に従ったわけでも、彼の瞳の強烈な魔力に魅入られたわけでもない。ただ自分がそうしたかった。
 カマルの手がウエストに下りて彼女を引き寄せ、顎が軽く額に触れる。「君を抱いていると天国にいるような気分だ」
 さらに抱き寄せられ、胸が高鳴る。自分も天国にいるのだと信じたい。でも彼が感じているのは欲望にほかならない。そうと知りながら、アリは手を伸ばさずにいられなかった。
 カマルは唇を額に、頬に、顎にそっと這わせる。最後に耳たぶの下の小さなくぼみに触れたとたん、アリは思わずあえいだ。
「ああ」彼の声に男としての満足感があふれている。
 彼がポイント先取。でも、弱点を知られてしまったというのに、奮起する気力も起こらない。だってあまりに気持ちがよく、あまりにもじれったい。いつになったら唇にたどりつくのかしら?

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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