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砂漠に降りた天使

砂漠に降りた天使


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ステファニー・ハワード(Stephanie Howard)
 スコットランド生まれ。ロンドンに出て経済学を学び、数々の女性誌を舞台に、十年間にわたってジャーナリストとして活躍した。仕事でイタリア、マレーシア、中東など、外国生活も多く経験している。現在はケント在住。

解説

 取材に協力するというのは実は罠で、私をハーレムに入れるつもりじゃないの?

 ■アンバーがアラビアの小さな首長国にやってきたのは、休暇をかねて、母が書く小説の取材をするためだった。ところが現地に着いてみると、インタビューは半分がキャンセルされ、彼女は途方に暮れてしまう。そんなアンバーのもとに、一通の封書が届けられた。首長のシーク・ゾルタンが会いたいという。うまくいけば取材の後押しをしてくれるかもしれない。アンバーは期待に胸を躍らせて宮殿に向かった。シーク・ゾルタンの謎めいたまなざしにアンバーは不安を覚えたが、公文書室の資料までみせてくれると言われて感激し、ホテルから宮殿に移ってこないかという申し出にも同意した。それがまさか、案内された豪華な部屋に閉じ込められるとは……。

抄録

「だが心配することはない」彼は続けた。「あの女にきみを傷つける気はまったくないから。ただ好奇心に駆られているだけなんだ。心配するようなことは何もないと保証する」
 でも、あの女性は何者なの。それを知ることが自分にとって重要なことのようにアンバーには思えた。だが尋ねようとしたとき、ふと別の懸念が脳裏をよぎった。
 アンバーは眉を寄せてシーク・ゾルタンを見つめた。「あの人につらく当たったりしないで。つまり、お仕置きなどしないでということ。その必要はないはずよ。たった今あなた自身が言ったように、わたしに危害を加えたわけではないんですもの。見張るのはやめるようにと注意するだけにして」
「もちろんだ」シーク・ゾルタンはにっこりした。「穏やかに注意するだけにしよう」
 彼はしばらくアンバーを見つめていたが、衝動に駆られたように片手を伸ばすと、指先で軽く彼女の眉を撫でた。アンバーははっと息をのんだ。「ラシードにも注意しておこう」彼は続けた。「今後はきみとの間隔をもっとあけるようにと」
 指がすべり下り、そっと頬を撫でた。アンバーは体の奥深いところで情熱の炎が燃え上がるのを感じた。
 シーク・ゾルタンは笑みを浮かべて続けた。「だが、ラシードはきみを守ろうとしただけなんだ。それはわかってやってほしい。罰せられるとしたら、熱心すぎた点だ」
「そうね」
 アンバーはそれだけ言うのがやっとだった。全身の血管が脈打ち、息もできないほどだ。
「納得してもらえたかい?」
 彼の指はアンバーの唇へと移り、少しのあいだそこにとどまった。熱い電流がアンバーの体を貫き、口元をさまよう彼の視線に応えるように唇がかすかに開いた。
 アンバーはうなずいた。話そうとしても無駄なのはわかっていた。
「よかった。だが、もし例の女がまたきみを悩ませたり、ラシードが間隔をあけるのを怠ったら、すぐぼくに知らせるように」黒い目がアンバーの目をとらえ、じっと見つめた。「いいね?」
「ええ」アンバーはかすれた声で答えた。頭がくらくらして、わけがわからなくなっている。ただ一つわかっているのは、彼がキスしようとしていることだった。
 彼の指は唇を離れ、髪をかき分けるようにしてゆっくりとうなじへと下りていった。シーク・ゾルタンに抱きしめられ、それから唇が触れ合わされるまでの数秒間、アンバーは今にも心臓が破裂するのではないかと思った。
 唇が重ねられたとたん、興奮の波が押し寄せてきた。アンバーはため息をつくと目を閉じ、その波に身を任せた。心臓が狂ったように打っている。
 これほど甘美で、官能的で、ゆったりとしたキスを受けたのは初めてだった。だが、そこには情熱の炎が燃え盛っている。じわじわとこちらの身を焦がしていくようなキス。
 逆らうのは不可能のように思われた。激しい渇望が突き上げてきて、体から力が抜けていく。彼を受け入れるしかない。喜んで屈伏し、キスを返すしか……。
 シーク・ゾルタンがキスをやめて身を引いたとき、アンバーの体は小刻みに震えていた。そして黒い目に宿った獰猛な光を見てアンバーの背筋に悪寒が走った。まるで自分のすべてを食いつくそうとしているかのように見えたのだ。
 彼は口元にうっすらと笑みを漂わせて言った。「これでお互いにわかり合えたようだ」指でアンバーの頬を撫で、そっと髪を梳く。もう一度キスすると、アンバーに視線を据えたまま彼はゆっくりと立ち上がった。「そろそろ行かなければ。やることがまだ残っている」
 そしてほんの一瞬、燃えるような目でアンバーを見つめてからドアに向かった。
 アンバーは動揺していた。抵抗力をすっかりなくしてしまったことに驚き、まだ心が乱れている。こんなことは今まで一度もなかったのに。
 戸口で足を止めて振り返り、シーク・ゾルタンはもう一度アンバーを見つめた。彼の表情の何が引き金になったのか――もしかしたら、ここに来たときに垣間見えたあの苦悩の表情によるものかもしれないが、アンバーはそのとき突然わかった。鋭い痛みが胸をつく。あの謎の女性が何者かわかったのだ。
 それがゆうべのことだった。それからずっと、アンバーはほかのことが考えられなくなっていた。資料を読んでいるあいだも、インタビューをしているときも――ありがたいことに今日は一日シーク・ゾルタンを見かけていないが――ゆうべの出来事が頭にこびりついて離れなかった。明日からの取材旅行の支度をしている今も、そのことを考えていた。
 もちろん、あのキスは重大な間違いで、彼を拒めなかったという腹立たしい事実を証明したも同然だ。実際、拒もうとするどころか、キスを返してしまった。今、彼が何を考えているかは神のみぞ知るだ。
 アンバーが心配しているのはその点だった。たぶん彼はあのキスを単なる始まりだとみなし、そこからさらに深い関係へと誘い込むつもりかもしれない。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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