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二人のセレモニー

二人のセレモニー


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 サリー・ウェントワース(Sally Wentworth)
 イギリス生まれでずっと生まれ故郷の町に住み、そこで結婚し子供は一人。作品の構想を立ててから執筆の前にいろいろ調べるのが、書く以上に好き。したがって背景として選んだ土地へは必ず足を運び、また車のラリーをテーマに選べば自分でも参加しないではすまない性格である。

解説

 彼はわたしを軽蔑している。そんな人と一緒に暮らせるだろうか。

 ■女優の卵であるレッドは、オーストラリア訛を直すため、発声法の専門家ミセス・フェリシア・セントオービンの門を叩いた。レッスンが開始してひと月ほどたったある日、階段から落ちて動けない状態のフェリシアを、レッドは偶然発見する。足首を骨折したフェリシアは、レッドに身の回りの世話を頼むが、フェリシアの息子ライナスは、正規の看護婦を雇うべきだと猛反対。レッドは最初彼のことをフェリシアの若い恋人だと勘違いしていて、息子とわかったときは、なんだか嬉しかった。だがやり手のプロデューサーである彼は、レッドが女優とわかると、売り込みのために自分や母親を利用しようとしていると決めつけ、住み込むことになったレッドにことさら冷たい態度をとる。しかも母親が心配だと、自分もフェリシアの家に引っ越してきた……。

抄録

 怒りに満ちたその声には聞き覚えがあった。顔を見ようとすると男の手がゆるみ、レッドは振り返ることができた。彼女をはがいじめにしていたのは、ライナス・ハントだった。
 驚きのあまり、レッドはぽかんと口を開けた。安堵が全身を駆け巡る。彼女が黙っているので、ライナス・ハントはいらだたしげに言った。「いったい、きみは誰なんだ?」
「わ、わたしは、レッド・マギーよ」
 名前を聞いてなんの反応も示さないところをみると、レッドを覚えていないのだろう。「フェリシアの生徒かい? 泊まるよう勧められたのか?」
「フェリシア? ああ、ミセス・セントオービンのことね。ええ、そう。勧められたの。ある意味では」
 レッドを放し、ライナスは後ろに下がった。「まったく、怯えた女学生みたいな金切り声をあげるとはね。よく、フェリシアを起こさなかったものだ」
「誰だかわからなかったんですもの」レッドは憤然と反論した。「なぜ明かりをつけなかったの? それにどうして、この部屋に忍び込んできたのよ?」
 噛まれた手にちらりと目をやり、ライナスは鼻を鳴らした。「もちろん、フェリシアを起こしたくないからに決まっているだろう。いまだに起きてこないのが不思議なくらいだ。いつも、とても眠りが浅いんだ」
 ライナスがドアに向かって歩きだしたので、レッドは彼の腕に手を置いて引き留めた。「ミセス・セントオービンはここにいないの。お気の毒に、事故に遭われて」
 レッドは彼の腕がこわばるのを感じた。顔にも緊張が表れている。「事故? どういうことだ?」
 声に不安の色がある。恐怖といってもいいかもしれない。レッドは眉をひそめた。年上のパトロンに囲われているつばめらしくない話し方ね。「階段から落ちたの。足首を骨折して、肩を捻挫しているけれど、それ以外は大丈夫」
「どこにいるんだ?」
「病院よ。足首の手術を終え、病室に運ばれるまで見届けてきたわ。すごく元気だった、本当よ」
「どこの病院だ?」
 レッドが名前を告げるなり、ライナスは大股で部屋を出ていった。主寝室に入り、受話器を取る音が聞こえる。レッドはジャケットを肩に引っかけると、主寝室の戸口で様子を見ていた。
 今夜のライナスは、あのだらしなく酔っ払っていた男とは別人のようだ。きれいに剃った髭、洞察力のありそうな目。油断なく身構えているせいか、最初の印象より若く見えた。糊のきいたワイシャツにネクタイを締め、仕立てのいい背広をスマートに着こなしている。
 ということは、きちんとした身なりをすれば美男子だろうという第一印象は当たっていたのだ。頬骨が高く細面で、鼻筋が通っており、唇は厚すぎず薄すぎず形がいい。ふさふさした黒髪は襟のあたりまで伸び、きりりとした眉もグレーの瞳を縁取るまつげも真っ黒だった。
「わかりました。でも、もし彼女が目を覚ましたら、ぼくが明日の朝一番に行くと伝えてください。ええ、ライナス・ハントです。ありがとう」ライナスは受話器を置き、振り返ってレッドを見た。ライナスがまともに彼女を見たのはそのときが初めてだった。彼の視線は、レッドのほっそりした体を、そして豊かに波打つ長い赤褐色の髪をさまよった。「それにしても、どうしてきみがかかわることに?」
 レッドはシルクの寝間着の上にはおったジャケットをかき合わせた。「わたしが発見したんですもの。レッスンの予約をしようと寄ったの。呼び鈴を鳴らしても返事がないのに物音がするので郵便受けからのぞき込んだら、ミセス・セントオービンが倒れているじゃない。それで、救急車を呼んで、病院に付き添っていったのよ。あなたに電話するよう頼まれたんだけれど連絡が取れなかったわ。それで、ここに泊まってあなたからの電話を待つよう頼まれたの」
「チューリヒの空港から何度か電話したが、話し中だったぞ」ライナスはつっけんどんに言った。「だから、わざわざ来てみたんだ。誰かに電話していたのか?」
 レッドはうなずいた。「ルームメイトに、きょう戻れないことを伝えていたのよ」
 ライナスの表情がやわらぐ気配はなかったが、礼らしき言葉は言った。「どうやら、フェリシアのせいで多大な迷惑をかけてしまったようだな」
「大したことじゃないわ」レッドはきまりが悪そうに言った。「たまたま居合わせただけですもの」
「きみはオーストラリア人だろう?」
 レッドは悲痛なうめき声をあげた。「訛はわからなくなったはずなのに」
 にやりとしたライナスは、急にすばらしく魅力的に見えた。「それをとるためにレッスンに来ているんだろう?」レッドがうなずいたときには、彼はすでに時計に目をやっていた。「午前四時三十分。ずっと動き回っていたから、少し眠るよ。きみもそうしたほうがいい」
「そんなこと、わざわざ忠告されるまでもないわ」自分に対する彼の無関心さに妙にがっかりしながら、レッドはつっけんどんに言った。
 ライナスは問いかけるように眉を上げてレッドを見たが、事務的に言った。「ぼくはこの部屋で眠る。おやすみ、ええと、なんていう名前だっけ?」
「レッドよ。レッド・マギー」
 彼の眉が再び上がった。「そうだった。おやすみみ」
 レッドはライナスを一瞥し、「おやすみなさい」と冷たく言って、客用寝室に戻った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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