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億万長者と砂漠の姫君 愛を拒むプリンス II

億万長者と砂漠の姫君 愛を拒むプリンス II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア愛を拒むプリンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 オリヴィア・ゲイツ(Olivia Gates)
 カイロ在住のエジプト人。作家だけにとどまらず、眼科医、歌手、画家、アクセサリーデザイナーという実にさまざまなキャリアをもち、妻と母親業もこなしている。キャラクター設定やプロットのアドバイスをしてくれる娘と、ストーリーが気に入らなければキーボードの上を歩きまわる辛口批評家のアンゴラ猫の助けを借りながら、情熱的なロマンスを書き続けている。

解説

 砂漠の国ゾハイドの姫君カンザは、世界的に有名な億万長者の実業家、アラム・ナザリヤンと偶然再会した。10年前の恋心がよみがえり、カンザの胸を締めつける。昔と変わらぬ逞しい彼の肉食獣のようなオーラに、カンザは圧倒された。でも……彼は婚約者だった姉を傷つけた人。絶対に気を許してはだめ。思いとは裏腹に、カンザは日ごとにアラムに惹かれてしまう。そんなとき縁談が舞い込み、実家へ帰ることになったカンザは、追いかけてきたアラムに熱烈に求愛され、天にも昇る心地になる。3日後、ゾハイドの王宮で盛大な婚儀がとり行われた。だが、すぐにカンザは残酷な事実に打ちのめされる――アラムが私と結婚したのは、大臣の椅子を手に入れるためだったなんて! 

抄録

 底知れない目が、こちらを見すえたまま細くなった。カンザはまともに射抜かれたように感じた。「きみの意見は実に興味深い。パーティーに戻って審理を再開しよう。僕についての評価を多少なりとも修正できないか、詳しく検討したい」
 カンザは息巻いた。「どう検討したって、最悪の男だと思い直すだけよ」
 踵を返し、憤然とリビングルームを出る。
 彼もついてきた。またしても三歩離れて。足音は聞こえないけれど、あの分厚い胸の奥から響いてくる含み笑いのせいで、うしろにいるのはわかった。笑い声がやんでも圧倒的なオーラは消えず、広いパーティールームに戻るまで背後から押し寄せてきた。
 カンザは彼のオーラにのまれないようにするのがやっとで、ペントハウスの豪華な内装も、周囲の上品な人たちの姿も目に入らなかった。また例によって、こちらに目をとめる人もいない。うしろから平然と歩いてくる肉食獣に、その場にいる全員が注目した。追われているのが自分だと知られて視線を集めたくもないので、カンザは人目の少ない場所を求めて歩き続けた。
 ペントハウスを取り巻くテラスに出る。眼下に広がる真っ暗なセントラルパークの向こうで、マンハッタンが炎の宝石のように輝いていた。艶消しステンレスと透明アクリル板の手すりの前で立ちどまったカンザは、月の浮かぶ夜空を見ながら身震いした。熱く火照った体に高層階の秋風が吹きつけてくる。それでも、アラム・ナザリヤンの連れだと思われて、よけいな勘繰りを受けるくらいなら、凍え死ぬほうがましだ。とはいえ、まったく勘繰りを受けないというのは不可能だった。人混みを避けてテラスに出てくる招待客はほかにも数人いて、ありありと好奇を浮かべた目を向けてきた。
 カンザは肌寒い風よりも不快な視線をかわそうと体を縮めた。もっとも、彼の暗く悩ましい声が体じゅうに流れこんでくるほうが、はるかに不快だった。
「僕のジャケットを着るか? よけいなお世話だと頭を殴られそうだが」
 カンザは体の震えをなんとか抑え、髪をうしろへ払いのけるふりをした。「そのまま頭と胴体をつなげておきたければ、図に乗らないほうがいいわよ」
 また身震いをこらえたものの、見抜かれてしまったらしい。アラムが思案顔で唇の一端をつりあげた。「今にも凍死しそうに震えているところを見れば、誰だって親切にせずにはいられないよ」
「凍死するような場所に人を追いこんだうえでジャケットを押しつけるのが親切?」
「僕がきみをここに追いこんだと言うのか?」
「ええ」
「僕が何をした?」
「あなたと一緒にいると、まわりから詮索されるの。そんな面倒に巻きこまれたくないわ。嫉妬されるのも目に見えているのに」
「嫉妬?」アラムが目をまるくした。風で髪が額にかかり、眉が隠れた。
「男女問わず、ここにいる人たちは全員、わたしと入れかわるためならなんでもするでしょう。みんな一対一であなたと話をしたくてしょうがないのよ」カンザは深々とため息をついた。「あなたと話をする権利なら喜んで譲ると、みんなに教えてあげたいわ。高額小切手をおまけにつけてもいいくらいよ」
 またしてもアラムの胸の奥から響いてきた含み笑いに、カンザの体じゅうが震えた。「その権利を他人に委譲することはできない。きみだけの権利だ」
 なぜこんなことになるの? あれから何年もたつのに。まだアラムに反感を抱きながらも、心を奪われてしまうなんて。
 彼の姿を初めて目にした十七歳のときから、世界一すてきな男性だと思っていた。なみはずれた外見だけでなく、物腰も印象的だった。こんな人はほかにいない。彼の姿を目にしただけで、いつも落ち着きを失い、口ごもってしまう。だが、やがて彼もほかの男性と同じだとわかり、あこがれは消えうせた。彼もまた、女性の性格など二の次で、見た目や身分だけにこだわる男性だった。そうでなければ、わがままで意地悪な異母姉マイスーンと婚約するはずがない。ふたりが別れたとき、アラムの仕打ちがあそこまで冷酷でなければ、彼への見方も少しはましになっていただろうけれど。
 とにかく、こんな茶番は早く終わらせよう。
「くだらない控訴審をさっさと再開しましょう」
 人でなしの大男が場違いな笑みをおさめ、さも神妙な顔をした。
「歴史上、最も短い控訴審になりそうね。あなたに対する起訴内容は明確で、動かしがたい証拠もあるわ。マイスーンにも悪いところはあったかもしれないけれど、あなたを本当に愛していた。それなのに、あなたは容赦なく彼女を捨てたのよ。おまけに、傷口に塩を塗るような残酷そのものの仕打ちをした。人前でね。彼女を捨てて無傷で立ち去ったあと、あなたはこのうえなく楽しく暮らしているようね。マイスーンのほうは、あいかわらず自滅の道でも歩むみたいに人生を無駄にしながら、破局を繰り返しているのに。わたしがあのとき判決を出したなら、あなたに最も重い量刑を言いわたしていたはずよ。再審でも有罪で、死刑を言いわたすわ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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