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幻を見ていた夏

幻を見ていた夏


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

 ベストセラー作家カテリアナ・レディングを目の前にして、ハイメイは言葉を失った。彼女の雇主であるシルバーブロンドのその女性は、かなりの年齢のはずなのに、どきりとするほど美しかった。本の裏表紙の写真から予想していたとはいえ、実際のカテリアナがこれほど魅力的だったとは。ハイメイが作家の秘書という仕事に応募してバミューダ島に来たのは、二十七年前にカテリアナがとった行動の謎を解くためだった。夫と赤ん坊を捨てて出ていった女性の心の秘密は? ところが、ハイメイはすぐに衝撃的な事実に直面した。カテリアナは、亡夫の息子で若く精悍なドミニクと親密な関係らしい。だがハイメイのとまどいをよそに、ドミニクは彼女に近づいてきた。

抄録

 ハイメイはドミニクを見上げた。第二の皮膚のように太腿に張りついている濡れそぼったデニムのカットオフジーンズと、あらわな胸毛に視線が吸い寄せられる。
「ええとても」ドミニクの引き締まった筋肉質の体にショックを感じ、ハイメイの答えは短くなった。ああどうしよう。彼を意識しすぎてしまう。いまドミニクに触れられたら、きっと彼の足元にくずおれてしまうだろう。
 ドミニクはハイメイにとって最悪に等しい行動に出た。そばに座りこんだのだ。「髪をほどいたほうがいい。このままじゃ乾かない。手伝おうか?」
 ハイメイは話すこともできなかった。「私……自分でできるわ。もし……必要ならば」
「必要だとも。車の中を水浸しにしたくないならね」
 ハイメイは必死でこらえた。戻る? どうやって、カテリアナに顔を合わせるつもり?
 でも、そんなこと考えるのはばかげている。乱暴に三つ編みを解きながら、ハイメイは自分をしかりつけた。ドミニク・レディングにひどく惹かれているからって、女学生みたいな態度を取ってはだめ。どんなに魅力的でも、彼のことは憎むべきよ。自分の父親の妻だった人と関係を持っているんですもの。
「どうかしたのかい?」物思いにふけるあまり、ハイメイは、ドミニクがまだ自分のそばにしゃがみこんだままじっと見つめていることも忘れていた。しかめ面のおかげで日焼けしたハンサムな顔が台なしだ。「また、何か気にさわることを言ったかな?」
「いえ、ただ、髪をどうしようかと思っていただけ。乾くまで時間がかかるわ」
 いつからカテリアナは、義理の息子の若くたくましい体に目をつけていたのだろう。だいたい、彼女はどれほど彼のことを理解しているの? ドミニクの性格を見抜いていると、自分で思いこんでいるだけじゃないかしら?
 ハイメイはちらりとドミニクに視線を向けた。ドミニクに関して、カテリアナはどんな権利があるというのだろう? 母親くらいの年の彼女が、彼に触れて愛撫する権利があるのかしら?
「下にドライヤーがある」ドミニクの声が、ハイメイの途方もない幻想を破った。「シャワーも浴びられる。安心したまえ。何もしないと約束するよ」
「何もしないと?」
 ハイメイはぽかんとドミニクを見た。彼女の髪は解かれ、肩の上にケープのように流れ落ちている。濡れたおかげで、赤褐色の色合いが深みを増している。
「ああ、何もしないと」ほとんどうわの空の口調でドミニクは言った。意識という意識はすべて、ハイメイが気づかずに見せつけている官能的な姿に向けられていた。ドミニクはバランスを失わないよう片膝をつき、欲望のこもった穏やかならぬまなざしで彼女を見つめた。彼はハイメイの髪をひと房取って指に巻きつけながら、ため息をついた。「いつもこうしていたほうがいい」
 身を引くべきだったのだ。実のところ、ハイメイは自分がドミニクを止めるだけの意志の力を持っていないような気がした。髪を手に取られても、濡れたひと房を指で撫でられても、その光り輝く束に唇を寄せられても、なんの抵抗もできなかった。
 次に起こることへの予感でほとんどぼうっとなったまま、ハイメイは、ドミニクが髪に口づけする間、じっと座りこんでいた。彼の唇が引き起こしためくるめく感覚に、うめき声をもらしそうだ。そして、欲望に曇った彼の瞳を見れば一目瞭然だ。私がどう感じているか、彼はすべて見通している。
「きれいだ」かすれた声でドミニクがささやくと、ハイメイは必死で頭を働かせようとした。
「濡れているわ」震えを抑えながらハイメイは言った。「どこに……ドライヤーがあるのかしら」
「キャビンだ」ハイメイから離れる様子もなく、ドミニクは答えた。「急ぐ必要はないだろう? まだ五時になったばかりだ」
「五時ですって!」
 ハイメイはぞっとした。このぶんでは、戻るのは六時過ぎになるだろう。
「そんな顔をしないで」ほっとしたことに、ドミニクの声はいくぶんこわばっていた。放してくれるかもしれない。「僕たちは何も悪いことはしていない」その言葉は先刻のハイメイの気持をほとんど忠実に表現していた。彼の瞳がいっそうかげりを帯びる。「悪いことをたくらんだのは事実だけどね。かなり真剣に」
「まさか」
 ここで主導権を取らなければならないことを、ハイメイは知っていた。だが、髪を払おうとして片手を上げたとたん、ドミニクに手首をつかまれていた。
「ミスター・レディング……」
「後生だからそんなふうに呼ぶのはやめてくれ」いらだたしげなうなり声をあげたドミニクを見て、ハイメイは不安そうにため息をもらした。
「じゃ、ドミニクと呼ぶわ。ドミニク、お願いだから放して。髪を乾かしてこなくては」
「そして、これを脱ぐ?」ドミニクはあいたほうの手で、水着の身ごろの縁を撫でた。彼の指が、伸縮性のある布地の中にすべりこんでくる。「手伝わせてくれ」彼の瞳はハイメイをがんじがらめにした。「ずいぶん窮屈そうだ」
 そのとおりだった。ハイメイは湿った布地の下で、胸の先端が硬くなるのを意識した。見た目にわかるのは明らかだ。とすれば、どんなに彼の言葉を否定しても嘘だとわかるだろう。
「ドミニク……」
 ハイメイの唇は震えた。脚の震えが、おなかの方まで広がってくる。ああ、なんてこと、彼に触れてもらいたい。
「ハイメイ」ドミニクの手はハイメイの手首から肩へとすべり、そこから、華奢なうなじへ移った。「ハイメイ」もう一度呼びかけると、彼は両の指で彼女の体の線をなぞり、抗議の声を唇で封じた……。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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