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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

仮面をはずした花嫁

仮面をはずした花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。美術や歴史に対する興味も旺盛な彼女は、豊かな想像力を生かす、ヒストリカル小説の作家を職業に選んだ。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいという。中世初期が特にお気に入りの時代で、女性のしきたりや男の世界で強く生き抜く女性について知ることは、この上ない楽しみとなっている。

解説

 「そんなことをして注目を集めるつもりなら、考え直すことだな」サー・ニコラスの冷たい言葉を聞いて、アドーナは驚いた。鷹狩りに出かけ、馬もろとも川にはまってしまったけれど、これほどひどいことを言われるなんて。いつも夢見ている、神話に出てくるようなすてきな男性なら、こんな無礼なことは言わないだろう。今まで父親の名のもとに守られてきたアドーナは、傲慢な、それでいて率直な彼の態度にとまどいを感じていた。怒りはもちろん感じるが、抑えきれないほど胸が高鳴り、期待感すら込み上げてくるのはなぜなのかしら……。
★時はエリザベス一世の御代。ニコラスとアドーナはそれぞれ女王の寵愛を受ける若者です。最初は反目しながらも次第に距離を縮めていくふたりの周りは、恋の賑やかしにあふれていて……。華やかな宮廷を舞台にした恋物語がいきいきと描かれます。★

抄録

 女王はまだ面白がっていた。「サー・ニコラス、あなたが不作法を働いたのかどうかはわかりませんけれど、わたくしが不幸にも川に落ちたときには、もっと同情していただきたいものだわ」
 サー・ニコラスは笑って、女王に礼儀正しくお辞儀をした。
 「女王陛下」サー・ニコラスは言った。「月が川に落ちることはあっても、陛下が川に落ちることなどあり得ません」
 「そうだといいけれど」女王はサー・ニコラスのお世辞を軽く受け流すと、アドーナのほうを向いた。「ミストレス・ピカリング、恐ろしい目に遭いながら、あなたのように毅《き》然《ぜん》としていられる女性はめったにいませんよ。帰らずに、このままわたくしのそばにいてくれるとうれしいわ」
 アドーナはそれが女王の命令だということがわかった。「ありがとうございます。喜んでごいっしょさせていただきます」
 「では、そばを離れないように。レスター伯の家臣にあなたの美しい雌馬をしつけさせましょう。サー・ニコラス、彼女の面倒を見てあげなさい」
 サー・ニコラスは女王陛下に今一度お辞儀をし、女王は家臣のもとに戻っていった。女王がアドーナに示した優しさに、家臣たちは拍手を送っている。アドーナは、たとえ女王の命令とはいえ、こんな不作法な男に面倒を見てもらうつもりはなかった。ピーター・ファウラーのほうを向くと、うしろから呼び止める声がした。
 「ミストレス・ピカリング。サー・トマスのお嬢さんか。やれやれ」
 アドーナは肩越しに言った。「そういうあなたは、主馬頭の家臣ね。どうりで乗り手より馬に親切でいらっしゃるわけだわ。ご主人のレスター伯はあなたと違ってすばらしい方ですけれど」主馬頭であるハンサムな伯爵は、女王を愛している。そのことは多くの人が知っていた。
 「幸いわたしの主人は、廷臣の見ている前で女王陛下を川から助け出すようなことはなかったからね。美しい雌馬と同様、その乗り手にも訓練が必要なようだ」アドーナがふと見ると、金茶色の雌馬は羊のようにおとなしくサー・ニコラスの手から餌《えさ》を食べていた。「信じるか信じないかは別だが、女王陛下がきみにそうおっしゃったのだ」
 アドーナがぷいと横を向き、濡れたドレスの裾を絞っていると、ピーターとふたりの友人が駆けつけてきた。
 「ばかばかしい!女王陛下は、そんなことはおっしゃらなかったわ。陛下はわたしにおそばにいるようお申しつけになったのよ。わたしには陛下の命令に従う義務があるの。助けていただいたことには感謝しますけれど、サー・ニコラス、あなたはわたしに対してなんの責任もありませんから、どうぞご安心を。さあ、行って、ご自分の馬の面倒を見たらいかがですか?」
 「ミストレス・アドーナ!」ピーター・ファウラーがアドーナをたしなめるように言った。「この紳士はサー・ニコラス・レイン。陛下の主馬頭代理だぞ」
 アドーナが口をきく前に、サー・ニコラスはピーターにお辞儀をしてほほえんだ。「これはこれは、女王陛下にお仕えする廷臣のなかでいちばん長い役職名をお持ちのマスター・ファウラーではありませんか。紳士統制局委員および女王監視役。間違っていませんよね?」彼は笑いだしていた。
 「完璧《かんぺき》です」ピーターは言った。「またの名を警備頭とも言いますが」
 アドーナはどんな形でもサー・ニコラスに好意を示すつもりはなかった。彼女は助けに駆けつけてくれたふたりの友人に礼を言い、馬に乗せてもらおうとピーターのほうを向いたが、ピーターは笑い声に気を取られていて気づかなかった。すると、サー・ニコラスが一歩でアドーナに近づき、彼女のウエストをつかんで軽々と鞍に乗せた。

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