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ベッドで過ごす一週間

ベッドで過ごす一週間


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

 常夏のカリブ海にある、高級リゾートホテルのビーチで、ミリーは1週間のバカンスをもてあましていた。上司に働きすぎを指摘され、一方的に休暇を命じられたのだ。ふと顔を上げると、夕日の中で一人の男性がこちらを見つめている。彼はチェイスと名乗り、気軽な調子で彼女をデートに誘った。ミリーは彼を追い払おうとしたが、次の瞬間、思い直した。いま彼と話していたとき、私は……笑っていたの? ミリーを絶望のどん底に突き落とした悲劇から2年、仕事に没頭することで感情を封印し、笑顔など忘れていたのに……。気づけばミリーは、彼と1週間をともに過ごすことに同意していた。

抄録

 ミリーは驚いた。こんな小さな島に真水の水源があるなんて。
「飲んでごらん。すごくおいしいから。ニューヨークでなら一本五ドルで売れるんじゃないかな」
 ひと口飲んだミリーは、ふいに気後れした。チェイスがじっとこちらを見つめている。ただ水を飲むだけの仕草が官能的で挑発的だというの? いったいいつからそんなことになったのかしら?
「だが、いちばんの驚きはなんだかわかるか?」
「なんなの?」
「君は今日の大半を下着だけで歩きまわっていたのに、気づきもしなかったことだ」
 ミリーは小さく笑った。「でもあなたが思い出させてくれたから、これからは気にするでしょうね」
 チェイスはにやりとした。「実は、本当に言おうとしていたことは違うんだ。二百年ほど前、ここから数百メートルしか離れていない環礁に水夫たちが流れ着いた。だが彼らはこの場所を見つけることなく、喉の渇きのせいで死んでしまった」
「ひどい話ね」
「そうだな。もし彼らがもう少し泳ぎまわっていたら、あるいは筏かなにかをつくろうとしていたら、生き延びられたかもしれない」チェイスはかぶりを振った。「だが、怖くてできなかったんだよ」
「つまり、そこから連想しろというわけね?」
「連想?」
「その水夫たちがあと少しだけ冒険心を持っていたら、きっと生きられたはずよ。苦しさに負けず、もう少し遠くまで泳ぎさえすればよかったんだもの」
「いや、そもそも泳げなかったんじゃないかな。当時の水夫のほとんどは金づちだったからね」
 ミリーは腕を組んだ。「教訓話は必要ないわ」
「そんなに見えすいていたかな?」
「これ以上はないくらいにね」
「おまけに、全部つくり話だし」
「そうなの?」
「いや、違う。実話だ。とりあえず、このあたりにはそういう言い伝えがあるんだよ」チェイスがにこやかに笑い、この男性の首を絞めればいいのか、キスをすればいいのか、ミリーは迷った。同時に両方できれば、それがいちばんいいのだけれど。
「あなたって本当に信じられない」
「前にもそう言われたことがある」
 チェイスはじっとミリーを見つめた。値踏みをするような、すべてわかっていると言わんばかりの視線に、ミリーは息を吸いこんだ。
「ねえ、チェイス。私、ちゃんとわかっているのよ。私がぴりぴりしているから、リラックスさせなきゃいけないと思っているんでしょう? あなたからすれば、私は冗談みたいな存在なんでしょうね」
「そんなことはない」チェイスは静かに言った。「約束するよ、ミリー。冗談なんかじゃない」
 ミリーは目をそらした。「私はあなたが達成しなければならない目標にはなりたくないの。無鉄砲なプレイボーイがぴりぴりした仕事人間にリラックスと楽しむ方法を、本当に生きることを教える」ぎゅっと唇を噛む。驚いたことに、ふいに泣きそうになり、息が苦しくなった。「私が望んでいるのはそんなことじゃないの」
 チェイスが一歩近づいた。「だったら、教えてくれないか。君がなにを望んでいるのかを」
 ミリーは無理やりチェイスと視線を合わせた。「めくるめくようなセックスよ。忘れたの?」
「覚えているよ。それに契約の内容も覚えている。期間は一週間で、君は僕にすべてを与える」
 チェイスがさらに近づいてくると、体温が感じ取れ、彼特有の香りがミリーの鼻孔をくすぐった。「どのくらい与えるの? 私にはわからないわ」
 チェイスはミリーの顎に手でそっと触れた。「誰かが君を傷つけたんだな? だが今度もそうなるとは限らないんだよ、ミリー」
 ミリーはかぶりを振り、熱い涙をのみこんだ。「誰も傷つけたりしていないわ、チェイス。あなたが考えているような形ではね」
「過去はきかない約束だったな。この一週間でなにかを教えるつもりはない。ただ僕たちが……どちらも楽しむだけだ」
 ミリーはふっと息を吐いた。「そうね」
 チェイスはミリーの頬を撫でた。「そして僕は、太陽を浴びた花のように心を開いた君を見たい」
「やめて」
「怖いのか、ミリー? そのためには居心地のいい安全地帯の外に出なければならないから?」
 ミリーはごくりと唾をのんだ。「ええ」
 チェイスがもう片方の手を伸ばし、昨夜とまったく同じようにミリーの顔を包みこんだ。でも、あれは本当に昨夜のことだった? ミリーは思った。なんだかもう何年も前から、この人を知っているような気がする……。
「どのくらいになるんだ? 君の幸せが終わってしまってから」
「二年よ」口から言葉がこぼれた。「でも、本当はもっと長いと思う。はっきり自覚したのが二年前ってだけ」ミリーはチェイスを見つめた。彼はもっと聞きたがっていたし、彼女も話したかった。一週間だけなら親しい関係を結んでもいいかもしれない。身も心も引っくるめた情熱的な関係を持っても。
 チェイスはミリーを見つめ返し、ゆっくり顔を近づけてそっと唇を重ねた。
 やわらかな降伏のため息とともに、ミリーは唇を開いた。チェイスの唇はまさに思っていたとおりだった。やわらかいが硬く、温かいが冷たい。そして胸が痛くなるほどやさしかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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