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マッケンジーの娘

マッケンジーの娘


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

 激しい頭の痛みでメアリスが目を覚ますと、男がじっと見つめていた。初めて見るモーテルの部屋に、見知らぬ男。思い出そうとしても、ここ数時間の記憶が抜け落ちている。なぜこんな場所に来たのだろう。そして、マッケンジーの兄たちに似て、どこか危険な匂いがするこの男はいったい誰……? 超人気ロマンス作家リンダ・ハワードの伝説的な傑作短編。

抄録

 メアリスは腕を組むと、事実を突きつけた。「あなたには私が必要よ。私は自分が何を見たのか、誰に殴られたのか思い出せないわ。ストニッチャー家の誰かかもしれないし、彼らが雇った誰かかもしれない。でも、彼らは私が覚えていないことを知らないし、あなたの正体も知らないわ。だから、彼らにとっては私がもっともじゃまな存在なのよ」
「だからこそ、君は姿を見せないようにしなくちゃならないんだ。もし銃をもって現れたのがストニッチャー夫妻のどちらかだったら、僕には相手がどんな行動に出るか予測できない。むしろプロの殺し屋を相手にするほうがずっといいよ。素人はたちまちパニックを起こして、とんでもない行動に走らないともかぎらないんだ。たとえば、大勢の目撃者の目の前で君を撃つとかね」
「残念だけど、やってくるのは人を殺してあわてふためいたりしない相手だと思うわ」メアリスが優しい口調で皮肉っぽく言うと、マックはもうおなじみになった例の細めた目で彼女を見た。メアリスはつづけた。「彼らは私がまだ警察に何も通報していないことに驚いているはずよ。私が思ったよりひどいけがをしていて、どこかで意識を失って倒れているか、もしくは、私が警察にもちこむだけの証拠がなくて、貴重な馬を盗み出した言い訳ができないでいると思ってるんじゃないかしら。どっちにしても、彼らは私を捕まえたがっているはずよ。私はかっこうの身代わり、プレジャーを殺して私の仕業に見せかけ、それから私を殺せばいいんだもの。すべてがきれいにつながるし、もしかしたら、そういうケースなら倍額の保険金が支払われるかもしれない。つまり、関係者全員が、より利益を手にするってわけ。彼らは私を見つけたらすぐさま殺そうとするでしょう」
「とんでもない話だ。だめだ!」マックは憤然と頭を振った。「そんなことを考えるなんて信じられないよ。きっとスリラーを山ほど読んでるんだろう」
 メアリスはマックをにらみつけた。彼女の言ったことは完全に筋が通っているし、彼もそれはわかっているのだ。でも、気に入ってはいない。ましてや同意したりはしない。マックについて知っていることのリストに“過保護”をつけ加えたほうがよさそうだ、とメアリスは思った。それに“頑固”も。これを見逃すことはできない。
「いいかい、君――」マックはメアリスの肩に手をやった。彼女のきゃしゃな肩にふれたとたん、胸に奇妙な優しい痛みが走った。なんとかして彼女にこの件から手を引かせなければならない。これはわれわれの仕事だ。そのために訓練されているのだから。メアリスは足手まといになるだろうし、彼女のことが心配で、気が気でなくなるだろう。なんてことだ。彼女は自分が二メートル以上もあって、銑鉄でできているとでも思っているのだ。あんなに青ざめていて、用心しながら動いているくせに。普通ならけっして虚弱な女性ではない。体はきゃしゃでも。たいていの男が扱うのに苦労するような種馬を苦もなく乗りこなすのを、彼はその目で見ていた。彼女が強靭なのは承知している。それに驚くほど勇敢だ。こちらの神経がそのストレスに耐えられるかどうかわからないくらいに……。
「こんなふうに考えてみて」メアリスは言った。「彼らがプレジャーの居場所をつかまないかぎり、私は安全だわ。彼らがプレジャーを見つけるためには、私が必要なんだもの」
 マックは反論しなかったし、説得しようともしなかった。ただ首を振って言った。「だめだ」
 メアリスは当惑したような顔をして、こぶしで彼の額を軽くこづいた。
 マックはちょっと後ずさり、びっくりしたようにまばたきした。「何をするんだ?」
「あなたの頭は木でできてるんじゃないかと思ったのよ」メアリスは怒りをにじませてやり返した。「あなたは感情にとらわれて、自分の仕事がわからなくなっているわ。私はあなたの最高の切り札なのよ。私を利用すべきだわ!」
 マックは身じろぎもせず立っていた。たとえこのほっそりして短気な女性が突然、彼を頭上にかつぎ上げて窓から投げ出したとしても、こんなに驚きはしなかっただろう。僕が感情にとらわれて自分の仕事がわからなくなっているだって? マックは他人からそんなことを言われるとは思ってもみなかった。彼が優秀なのは、感情を切り捨てることができるからだ。これまでマックはつねに冷静で、どんなに状況が緊迫していようとクールだった。すべてが終わったあとには、思い出して何日か眠れない夜を過ごすこともあるかもしれないが、とにかく事件に片がつくまでの間は、マックは沈着冷静なのだ。
 彼女のことで感情的になったりはしない、とマックは思った。そんなことは理屈に合わない。たしかに、初めてメアリスを見たときから、彼女に欲望をいだいた。化学反応が起きたのだ。こうして行動をともにしてみて、その気持ちはいっそう燃え上がった。彼女が好きだ。ゆうべ手を貸してと言われて以来、彼女について多くのことがわかった。頭の回転が速く、ユーモアのセンスがあり、こちらが動転するほどに勇敢だ。それに、かすかにふれただけでも敏感に反応し、たおやかな体が溶ける。彼女の示すまぎれもない喜びに、マックはウィスキーよりも早く酔いしれてしまう。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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