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結婚は復讐の始まり 真実の花嫁 III

結婚は復讐の始まり 真実の花嫁 III


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア真実の花嫁
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
 ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。

解説

 七年前、私を捨てたダックス。その彼と契約結婚をするなんて。

 ■親友チャールズが不慮の事故でこの世を去り、ジリアンは悲しみに沈んでいた。そして葬儀の日、思いもかけない人物が現れた。チャールズの兄、ダックスだ。なぜ彼がここに? 私とチャールズを憎んでいるはずなのに。七年前、ダックスは私の婚約者だった。だが、私とチャールズの関係を疑ったダックスは、町を飛び出し、それ以来、戻ってくることはなかった。すべては誤解だったのだが、ダックスは今でも私たちを憎んでいる。それなのに、なぜ帰ってきたのだろう……。ジリアンの疑問は、葬儀のあとすぐに解けた。ダックスは彼女への復讐のため、ある計画を立てていたのだ。

抄録

「知らなかったわ」ジリアンはささやいた。
「おそらくチャールズも知らなかったことだろう。僕としては、君ならなにかわかると思ったんだ」
「嘘だわ」ジリアンはシェリー酒を飲みほした。「社員名簿に私の名前はないでしょう。それを知りながら、チャールズの資金運用の失敗に私が加担したかどうか知りたかったのね。人でなし」
 ジリアンはさっと立ちあがり、書斎から出ていこうとしたが、ダックスは笑いながら肘をつかまえた。ジリアンが彼の肋に肘鉄をくらわせる。「落ち着いてくれよ、ハニーバンチ。僕のほうから君をなじった覚えはないよ」
「だったら、あなたは記憶を失っているんだわ」
「ともかく、安心してくれよ。会社のことで、君に責任があるとは思っていないから」
「まあ、おやさしい方」ジリアンは苦々しく言った。
「ただ、この危機を乗りきるには君の助けが必要なんだ。チャールズが亡くなったあと、株に少し動きが見られる。通常の動きかもしれないが、警戒の必要はあるんだ。最近の重役会の会議録を見ても、彼らのやり方には感心できないね」
「むろん、あなたは手を考えているんでしょう」ジリアンはダックスの話に釣りこまれていた。
「そうだ」ダックスは酒を飲んだ。「ただ、今の重役たちには受け入れられないだろうから、投票で彼らを圧しなければならない」
 ダックスの言いたいことがジリアンにもだんだんわかってきた。「あなたの持ち株はどのくらいなの、ダックス?」
「弟と二人で五十一パーセントを持っていた。チャールズが自分の株を君に譲ったとなると、僕の権限は二十八パーセントだ」
「すると……私の投票権がなければ、重役会を牛耳ることができないわけね」
「そういうことだ」
「なるほど。なかなか……興味深いじゃないの」
「僕にとっては“興味深い”ではすまされない。君の息の根をとめたいぐらいだ」
 ジリアンは深い悲しみと絶望を感じた。ダックスに去られて以来、私は必死に働き、生活の安定をはかってきた。なのに、あのときの状況から、ほとんどなにも進展していないようなもどかしさを感じる。
 ダックスはグラスを下に置き、先に進むように、ジリアンに身ぶりで示した。彼女は逆らわずにダイニングルームに向かった。三人分の皿が用意されている。ダックスに対していろいろ憤慨してはいたが、ジリアンはこの点では感心した。チャールズとアルマはたいていミセス・ボウリーと食事をともにしていた。ダックスの思いやりが感じられる。
 ジリアンは部屋の向こうのガラス戸を抜けた。ダックスのそばにいるのはつらかった。彼を殺してやりたいという気持ちと……彼の腕に飛びこんでいきたいという、どうしようもない気持ちに駆られる。
 美しい石畳の中庭を夕風がさわさわと吹き抜けた。緑の芝生の向こうに、プールが光って見える。プールにはいろいろな思い出があった。無邪気な子供のころ。そして、新しく買った水着がダックスの目にとまってほしいと願った思春期のころ。
 今夜は果てしなく続くような気がする。ジリアンは絶望的な気分で思った。まだ食事もすんでいないのに、体中の皮膚がこそぎ取られたようだ。ジリアンは外の眺めに背を向けた。
 ダックスはジリアンのすぐうしろに立っていた。
 ジリアンはダックスにぶつかり、ダックスは彼女の腕をとって体を支えた。あわててジリアンはうしろに下がろうとしたが、彼に抱きすくめられた。その大きな体は胸が苦しくなるほどなつかしい。胸に触れるすっきりした腹部、おへそのすぐ下に触れる腰骨。ジリアンは動転しながらもうれしさを感じた。
 二人はこういうふうに抱き合っていたのだ。ジリアンの十七歳の誕生日、初めて抱き合って踊った。あの晩、ダックスの体は間違いなく反応していた。そしてダンスをしながら彼の唇が迫ってきたとき、ジリアンは全身がとろけてしまうような気がした。
「君はまだ若い」ダックスはつぶやいた。そして、行かないでとジリアンが頼んだのに、ヨーロッパの大学院に行ってしまった。やっと初めてのデートに誘ってくれたのは、ダックスが二十四歳になった夏だった。
 ヨーロッパから帰ってきたその足でダックスはジリアンの家に来て、それ以来二人は付き合いだした。初めてベッドをともにしたのは二カ月後だった。それまでの間なにもなかったのは、ひとえにダックスの自制心のおかげだった。ジリアンには自制心のかけらもなかった。認めたくはないが、それは今も変わっていない。
 ジリアンはそのままずっと立っていることもできた。二人は、聖書に記された男と女としての原理を理解し合った。“私の骨の骨”――ジリアンはダックスの分身なのだ。
 ジリアンの頭上でダックスがなにかつぶやいた。彼女は目を上げた。「なに?」
「ののしっていたんだ。こんなことにならなければ、僕の人生ももっと簡単だったろうにって」
 ダックスの唇の動きに、ジリアンは見とれた。彼の言いたいことはよくわかった。「ずっと簡単よね」彼女はため息をついた。「世界中に男性はいるのに、どうしてあなただけと思ってしまうのかしら?」
「君が僕のためにつくられたからだ」ダックスの顔がゆっくりと近づいてきた。
 ジリアンはあらがえなかった。無分別だとわかっていても、顔を上げた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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