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恋は嵐とともに

恋は嵐とともに


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロザリー・アッシュ(Rosalie Ash)
 語学に堪能で、結婚前はレジャー・グループの社長秘書をしていた。現在は夫と二人の娘とともにイングランド中部ウォリックシャーに住んでいる。旅行・読書が趣味で、作品の舞台となる地には足を運んでリサーチを怠らない。地元ウォリックシャー、ストラトフォード・アポン・エイヴォンのロイヤル・シェイクスピア劇場を訪れるのはとりわけ好きだという。他にも水泳やヨガ、ハイキングを楽しんでいる。

解説

 誘惑するのはやめて。私の上司と親しい関係にあるくせに。

 ■ファッション誌でスタイリストとして働くガブリエラは、真冬のロンドンからインド洋に浮かぶ島モーリシャスを訪れた。撮影隊の一行が到着する前に、撮影現場の下見をするためだ。この役目を立派に果たせば、アシスタントから昇格できるかも……。炎天下でタクシーを待っていた彼女は、一人の男性に注意を引かれる。浅黒い肌、サングラスをかけていても精悍な容貌のうかがえる彼は、なぜかガブリエラにかつての婚約者ピアーズのことを思い出させた。ばかね、あの人のことは忘れたはずじゃない。婚約者に裏切られた私の人生に必要なのは、男性ではなく仕事なのよ。ところが、ホテルの部屋でシャワーを浴びおえた彼女のところへ、ピアーズの面影を重ねた男性が突然やってきた。リックと名乗る彼は、どうやらガブリエラの上司アーシュラの不倫相手らしい。

抄録

 かすかな笑みを浮かべて彼は頭を振った。「いや。正確には違う」
「どういうこと、正確には違うって? あなたはアーシュラと親しいし、ファッション誌の仕事に通じているみたいだわ」
「自由業ってとこだ」
「それなら、モーリシャスで何をしているの?」
「大仕事をしたあとの息抜きだよ。多くの時間をぼくはこの島で過ごしている。ここで生まれたんだ」
「モーリシャス人なの?」
 リックはにっこりした。「フランス系モーリシャス人だ。ぼくの先祖は十八世紀にこの島に住み着いた。恥をしのんで打ち明けると、海賊船の荒くれどもの一員だったのさ。彼らはフランスの東インド会社にそそのかされて、この島を植民地にするために移住したんだ」
「そそのかされて?」
「金と土地、それに女性を提供するという餌に釣られたのさ。フランスの港町に娘たちが集められ、子供を産む目的で島に送られた。いわゆる“輸入妻”だ。それが荒くれどもの移住を決定づけた要因だとぼくはにらんでいる。そう思わないかい?」
 リックの目にちらりとよぎった嘲笑にガブリエラは目をしばたたいた。
「それで……あなたはここには住んでいないの?」
 リックはうなずいた。「ニューヨークに住んでいる。それからパリに。ときにはロンドンにも。だができるだけこちらに来るようにしている。実は今、ここに家を建てようと計画中なんだ」
「そうなの」
 巧みなはぐらかしに気力をくじかれ、ガブリエラはぼんやりとリックを見つめた。頭の中がすっかり混乱している。二人のあいだに沈黙が流れた。リックが怪訝そうに眉をつり上げた。
「物思いにふけっているようだね、ガブリエラ」
「あなたの先祖があなたの性格にどれほど多大な影響を与えているか考えていたのよ」ガブリエラは冷ややかに言った。「海賊の子孫ともなれば、不義なんてとるに足りないことなんでしょうね」
 いやみたっぷりに侮辱したことが急に恥ずかしくなり、ガブリエラはそっとリックの顔をうかがった。その顔はかすかにひきつり、怒りが表れている。ガブリエラはどきりとした。思わず彼女は立ち上がり、グラスをテーブルに置いて踵を返した。「飲み物をありがとう。申し訳ないけど、今夜はひとりで食事をしたいの……」
 だがドアのところまでしか行くことができなかった。気がつくと、ガブリエラはリックに追いつめられた格好でドアにぴったりと背中を押しつけられていた。
 怒りと高ぶる感情のせいで喉が何かに締めつけられるようだった。ガブリエラはリックをにらみつけた。「行かせてちょうだい……」
「すぐにすむさ」
 力ずくで押さえつけられているわけでもないのに、ガブリエラは身動きがとれなかった。リックは彼女をはさむように両手をドアについていた。体に触れることなくガブリエラを完全に捕らえている。高そうな白いシャツに包まれた厚い胸板が、うずく胸の頂をこすりそうなほど近くに迫っている。
「ぼくはこれでも忍耐強い男だが」リックはかすれた声で言った。「侮辱されるのにはもううんざりだよ、ミス・ガブリエラ・ハワード」
「行かせて……」
 リックの体からかすかにさわやかな麝香のようなコロンの香りがした。ガブリエラはめまいがした。金色の虹彩と真ん中の黒い瞳孔が見える。顎にうっすらと生えかけたひげがわかるほど、彼は間近にいた。おびえて当然なのに、なぜか官能が刺激されるのをガブリエラは感じた。まるで誰かにボタンを押されて、眠っていた感情がいっきに呼び覚まされたみたいに……。
「偽善的なのは嫌いだな」不意にリックが言った。
 彼は琥珀色の目でガブリエラの震える体を見つめた。そのまなざしはふくらみをうかがわせるローブの胸元と、かすかに開かれてふっくらとした唇の上をさまよった。
「偽善的?」ガブリエラは消え入りそうな声できき返した。
 こわばった笑みを浮かべてリックはドアから手をはずし、一歩下がった。ガブリエラは膝ががくがくして動くこともままならなかった。
「ようやく世間に出たばかりなのに、背伸びして他人の欠点を批判しようとする女性は嫌いだってことさ」ガブリエラの頬がぱっと紅潮するのを見つめたまま、リックは容赦なく続けた。「それに、おのれの欲望を抑え込もうとするのも……」
「何を言っているのかさっぱりわからないわ」
「いや、わかっているはずだ」リックはにやりとすると片手を伸ばしてガブリエラの顎をとらえ、顔を上向かせた。二人の視線がからみ合う。
 金色に輝く目の魔力にからめとられたガブリエラは、自制心を失いそうになるのを感じた。
「それを証明するために、ぼくはきみにキスするつもりだ」
「やれるものならやってみればいいわ」ガブリエラはリックをにらみつけ、うわずった声で切り返した。
「きっと後悔することになるわよ」
 リックは抑えた笑い声をあげ、ガブリエラの肩をつかんだ。「そんなふうに言われたら、無視するわけにはいかないな」彼は低い声でつぶやくと、ゆっくり頭を下げ、慣れたしぐさで唇を重ねた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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