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二つの世界を結んで

二つの世界を結んで


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ウェイ(Margaret Way)
 書くことが大好き。息子がまだ赤ちゃんのころから小説を書きはじめ、今では執筆しているときが彼女のいちばん充実した時間になっている。楽しみは仕事の合間を縫って画廊やオークションに出かけること。また、シャンパンには目がない。オーストラリアのブリスベーン市街を見下ろす小高い丘にある家が彼女の安息所である。

解説

 住む世界が違うと言って拒む彼を、なんとしても説得したいとキャシーは思った。

 ■マシュー・カーライルは私生児として生まれ、大富豪の父から息子として認められず、苦労して成長した。しかし必死に働いた結果、現在のマシューは広い牧場の所有者だ。愛する母を二年前に亡くし、彼は結婚することを真剣に考えはじめた。天涯孤独の身であるがゆえに、愛する家族が欲しかったのだ。忙しくてデートする暇もない彼は、花嫁募集の新聞広告を出した。そのころ偶然マシューに出会ったキャシーは、ひと目で彼に惹かれる。裕福な実業家の一人娘だが、彼女もまた親の愛情を受けずに育ち、愛情あふれる家庭を築くことが夢だった。だが思いきって花嫁募集に応募したキャシーを、マシューは拒絶する。二人の住む世界はあまりに違うし、都会育ちの彼女に田舎の暮らしは無理だと言って……。

抄録

 彼は驚くほど広いバスルームに彼女を案内した。陽光がたっぷりさしこむ明るく開放的な造りで、木製の目隠しは来客があった場合を考えて備えてあるのだとキャシーは思った。なにしろ、数キロ四方隣家など一軒もないのだから。奥まったシャワー室には細長いベンチが置かれていた。レッドはキャシーにそこに座るよううながし、扉が鏡になった棚から救急箱をとりだした。
「こんなことしてもらわなくても、わたし、自分でできるのに」何がなんでも防御の壁を崩すまいと心を決め、キャシーは目の上にかかる髪を手で払いのけた。
「なぜそんなにぴりぴりしてるんだい?」
 心中を見透かされているのに気づいて、キャシーはうろたえた。「理由はわかってるんでしょう」
 レッドがまじまじと見つめてくる。「さて、なんだろう」
 弱気になってはだめ。キャシーは自分に言い聞かせ、顎を上げた。「応募の手紙が山ほど来ているのは知ってるわ、マシュー。でも、うぬぼれないで」
 青い目がきらりと光った。「きみのようなとびきり魅力的な女性が相手なら、うぬぼれても当然だろう? ともかく、手紙のなかの何通かはきみを失望させると思うよ」
 彼の鋭い感受性に、キャシーはさして驚かなかった。「人はたいてい何かを、あるいは誰かを探し求めているものだわ」
「きみはそんな必要ないんじゃないのかい?」洗面器に水をはり、消毒液をたらしながら彼は皮肉っぽく言った。「きっときみの前には男性が列をなしているんだろう」
「でも……」キャシーの表情がくもった。「気になる相手はひとりもいないわ。理想の相手を見つけるには時間がかかるのよ」
 レッドは彼女の頬に触れたかった。ふっくらした唇の輪郭を指でたどりたい。「そして思いがけないときにそういう相手がひょっこり現れる。要は、そのチャンスを生かすか殺すかだ。ところで、ぼくをマシューと呼んでいいと誰が言ったかな?」
「それが自然に思えたからよ。自分の名前が好きじゃないの?」
「ぼくには似つかわしくないからね」自嘲ぎみの言い方だった。彼は血で汚れたジュリーのハンカチをそっとはずし、キャシーの足首を消毒液で丹念に洗いはじめた。「とても華奢な足首だ。爪先もかわいい」彼の指が足首から甲に沿って爪先へとゆっくり慎重に移動していく。
「もうやめて、マシュー」キャシーの声はかぼそく、震えていた。
 彼はとりあわなかった。「ちょっとマッサージしようと思っただけさ」彼女を腕に抱きたい。その衝動は耐えがたいほど高まっていた。
「よくわからないけど……ふざけてるの?」
「ふざけてるだって!」彼は頭をのけぞらせて笑った。「ああ、カサンドラ、ぼくは女性とふざけたことなんか一度もないよ。暇がなかったから」
「それでもあなたは危険な人に思えるわ」
「だけど、ぼくがしようとしていることをやめさせる気もないんだろう?」緊張が高まり、彼は引きつった笑みを浮かべた。
「包帯を巻きたいのならどうぞ。邪魔しないわ」
「包帯? 小さい絆創膏で充分さ」彼はいくらかばかにしたように言った。
「そうでしょうとも。せいぜいからかえば」
「そんなつもりはないよ」レッドは彼女の足を持ちあげ、タオルで軽くたたくようにして水分をぬぐっている。「ここにキスしたいくらいだ」
 キャシーは身じろぎもせず、吐息ももらさなかった。彼が頭を下げて足首にキスしたとたん、体に震えが走った。
「やめて」とは言ったものの、声が弱々しい。
「やめてって、何を?」レッドはキャシーにほほ笑みかけた。
「またからかってるのね?」
「ぼくが何をしているか、きみはちゃんとわかっているはずだ」青い目がまっすぐにキャシーをとらえる。「大目に見るべきじゃないか……」
「複雑な男性に対しては?」
「きみはぼくをそう見ているのか?」彼は腰を上げ、彼女の前に立ちはだかった。
「はっきり言ってそうよ」
「きみはどうしてここに来たんだ?」声が不気味なほど静かになった。
 キャシーは両手でベンチの端を握りしめ、白木の床に視線を落とした。「あなたが招待してくれたのよ。わたしたちはほかに予定もなかったし、ぜひここを見てみたかったから」
「一泊二日の観光旅行ってわけか」いかにも皮肉がこめられている。
「わたしに何を言わせたいの、マシュー?」
 青い目に謎めいた光が揺らめいた。「別に何も」彼はキャシーと同じくらい身構えた態度で彼女を見下ろした。「傷の具合はどうだい?」
「いいわ」キャシーは足首に視線を移した。「あなたはなんでもうまくこなす人なのね」
「最高の男だよ」
「新聞の募集広告でふさわしい相手が見つかると本気で思っているの?」
「ああ、思っているとも」
「愛はどうなのかしら」
「愛は害にもなりうる、カサンドラ。ぼくはそれを知っている」彼の目はキャシーを通り越して遠くを見つめた。
 キャシーはいきなり立ちあがった。「お母さんの身に起こったことを自分の人生にあてはめるべきじゃ……」
 しまったと思ったときは手遅れだった。彼のすさまじい形相にキャシーはたじろいだ。
 怒りに燃える彼の目はまるで青白い炎をあげているようだ。「うるわしきレディ・カサンドラはゴシップ好きらしいな」
「ごめんなさい、マシュー。ゴシップだなんて言わないで。たまたま耳にしたの」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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