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シドニーを誘惑

シドニーを誘惑


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・テンプテーション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェイミー・デントン(Jamie Ann Denton)
 南カリフォルニアに生まれ、現在は夫と息子とともにノース・ダコタに在住。ペットにあらいぐまとラブラドール・レトリバーを飼っている。料理やガーデニングが好きで、フラワーアレンジメントも楽しむ。チャールズ・チャップリンの“笑いのない一日はつまらない”がモットー。

解説

 結婚なんてしたくない。どうしてわかってくれないの?

 ■成り行きからデレクと情熱的な一夜を過ごした翌朝、シドニーは大きな過ちを犯したことに気づいた。デレクは幼なじみで親友だ。恋人にはなれない……はずなのに、ゆうべ経験したのは、これまで知らなかった本当の歓びだった。そしてもうひとつ大きな問題があった。昨日シドニーはどうしても子供が欲しくて、人工授精の措置を受けたのだ! もし妊娠したら、父親は誰なのか? だが、デレクのほうはシドニーから人工授精の話を聞いても、まったく決意を変えなかった。彼女だって愛があるから、あんなふうに僕を求めたのだ――三回も。愛を自覚させて結婚に至るには、ただ攻撃あるのみ。こうしてデレクの誘惑と説得の日々が始まった。

抄録

 シドニーは手術用手袋を外してごみ箱に放り込んだ。母犬はどうやら車にはねられたらしい。後ろ脚が二箇所骨折しているが、問題なのはその骨折ではない。折れた脚はいずれ治るが、内臓にも損傷があり、恐らく交通事故のショックによる早産も耐えがたい負担となったようだ。シドニーが全力を尽くしたが、傷だらけの母犬は結局助からなかった。
 点滴の針などを取り外したシドニーは、手術台越しにデレクを見た。その目に思いやり深い色をたたえ、デレクは静かに言った。「仕方がないよ、できる限りのことをしてやったんだから」
 泣くまいとこらえても、涙があふれてシドニーの頬を伝った。デレクがそばに来てその体を抱きすくめた。シドニーも彼の背中に両手を回し、彼の優しさに心おきなく甘えた。
「きみはよくやったよ」デレクはシドニーの額に唇を押し当て、なだめ、安心させるように彼女の背中を撫でさすった。この二十四時間の緊張が次第に解けていった。
 デレクの広い胸に頬をつけると、規則正しい鼓動が聞こえてくる。母犬を死なせてしまったことよりもっと激しい痛みがシドニーの胸を襲った。保育器に入れた七匹の子犬、たった今母親をなくした子犬たち。あの子たちは孤独だ。もしこのわたしに何かあれば、わたしの子供も子犬たちと同じ運命になる。ばかばかしいと知りながらも、母犬の死をきっかけにして、命のはかなさを、ほんの一瞬のうちにすべてが終わりを告げるあっけなさを改めて思わずにはいられない。
 シドニーは身を離し、デレクのハンサムな顔に見入った。デレクはとても強い。角張った顎、高校時代、実験室での爆発事故でほんの少し曲がった鼻にも、揺るぎない強さが表れている。ああ、今はその強さでわたしを支えてほしい。いいえ、それよりも、何があってもデレクはわたしのそばにいてくれるという安心感が欲しい。
 デレクはシドニーの背中を撫でていた両手で彼女の顔を包み込んだ。肌に触れる手のひらの感触は温かいが、彼の目の光は熱く燃えている。デレクは親指でシドニーの頬の涙をぬぐった。
 デレクの意図を図りかねているうちに、彼はシドニーの唇に自分の唇を押し当てた。いつもの挨拶のキスではない。炎をかき立て、あおり、その腕に抱かれている男のこと以外すべてを忘れさせるような激しいキスだ。
 そしてシドニーはすべてを忘れた。
 今日一日ずっと寂しい気持ちにとらわれていたせいかしら。シドニーはデレクの首に両腕を巻きつけ、たくましいその体に自分の体を押しつけた。それともただ単に、今まで眠っていた情熱に火がつき、わたしの分別を吹き飛ばしてしまっただけのことかもしれない。理由はどうあれ、唇を割ってデレクの舌が入ってきたとき、シドニーは彼を止めようともせず、自分でも驚くほどの自然さで受け入れ、貪るようにキスを返した。その激しい欲望に、痛いほど張りつめた乳房に押しつけられた広い胸の感触に、シドニーは酔いしれた。
 デレクはシドニーの体を抱き上げると、手術室から廊下に出て彼女の私室へと運んだ。シドニーは彼の太くたくましい首筋に顔を寄せ、軽くくすぐるようなキスを降らせる。デレクが欲しい。自分でもその存在すら忘れていた体の奥底まで届くほどの激しさで。もうずっと長い間一人ぼっちの心が住んでいた体の奥底の、芯の部分にデレクは触れてくる。
「いや」明かりをつけようと手を伸ばしたデレクにシドニーはささやき、彼の耳の輪郭を舌先でなぞった。低いうめき声で、彼もシドニーの愛撫に感じていることがわかる。
 まるで繊細な陶磁器でも扱うように、デレクはシドニーの体を古びた革のソファに横たえ、自分も隣に腰を下ろした。廊下からもれてくる光の中で、デレクの目に欲望と情熱が燃えたぎっている。シドニーの体中で暴れ回っているのと同じ欲望と情熱だ。
 もっと体を寄せたい、彼と完全に一つになりたいという欲求がシドニーを襲う。一番原始的な形でデレクとつながり、それを体で感じたい。そうすれば、ひょっとしたら、もう寂しくなくなるかもしれない。
 デレクはシドニーの両脇に肘をつき、彼女の顔にかかる髪をそっと撫でつけている。その手の感触に、その優しさと炎のように熱く燃える目に、シドニーはうっとりした。デレクの体を押しつけられて腹部に力がこもり、その腕に抱かれて生き返ったような気持ちになれるのがうれしかった。
「これですべてが変わってしまうんだよ」温かいかすれ声がシドニーの心をくすぐった。
 シドニーはデレクのシャツをたくし上げ、固く引き締まった彼の背中に両手を這わせた。「わかってるわ」気持ちが高ぶって声がかすれる。「デレク、あなたと愛し合いたいの」
 デレクの目に男らしい光がきらめき、シドニーの胸はときめいた。二人がこんなことになるなんて、まるで夏に降る雪のように信じられないけれど、こんなすてきなことはないわ。二人の間に何が起きているのか、考えている余裕などない。デレクの舌で唇をなぞられるたびに、まとめようとした考えが頭からすり抜けてしまう。デレクの愛撫は次第に激しさを増し、やがて強烈な快感の波に襲われたシドニーの体内に、痛いほどの欲望が、デレクだけが応えることのできる欲求がふくれ上がってきた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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