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愛は言葉にできず

愛は言葉にできず


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

 ジュリーはある事件に巻き込まれたことをきっかけに、しばらく友人宅に身を寄せ、休養することになった。処方された睡眠薬をのんで眠ろうとしたとき、偶然訪ねてきた男性を見て彼女は我が目を疑った。ザック! 3年前から別居しているジュリーの夫だった。結婚記念日の夜、嫉妬を募らせた夫に無理やり抱かれ、ジュリーは失望とショックのあまり、翌朝家を出た。本当は今でも愛しているのに、彼にはすでに新しい恋人がいるという。茫然としながらも、彼女は睡眠薬のせいでそのまま眠ってしまう。翌朝目覚めると、ベッドの隣にはザックが――。

抄録

「君自身、再婚を考えているんじゃないのか?」
 ジュリーは鋭い目で彼を見返した。「いいえ」
「そうなのか? スティーブ・カーターという男とつきあっているという話だったが」
 ジュリーは唇をゆがめた。「それは誤解よ」
「そうは思わんね」ザックは皮肉っぽい笑みを浮かべた。「コニーの情報は信頼できる」
「コニー?」
「心配するな」ザックはあざけった。「彼女は断じて親友の秘密は口外しない。カーターの存在は秘密ではないと考えているんだろう」
「それはそのとおりよ」ジュリーは認めた。実際、社内の誰もが二人の仲を知っている。
 ザックは椅子に腰かけ、長い脚をまっすぐ前に伸ばした。「君はカメラマンに弱いようだな」
 ジュリーの顔から血の気が引いた。「その話は蒸し返さないで、ザック」弱々しい声で懇願する。
 彼は唇をねじ曲げた。「アレック・クラークの話はしたくないのか?」
「言うことは何もないわ」ジュリーはため息を漏らした。「あれはあなたの勝手な妄想で、何もなかったのよ。その話はあまりにも何度も説明しすぎたから、もう二度と繰り返したくないの」
 ザックは横柄にうなずいた。「わかった。だが、カーターと結婚するつもりはないのか?」
「ないわ」すでにスティーブのプロポーズに対する返事は決めていたので、ジュリーの答えにはいっさい迷いがなかった。
「気の毒なそいつは、それを知っているのか?」
 彼女は顔を赤らめ、下唇を噛んだ。「いいえ」
「だが、すぐにわかる」ザックの口調は傲慢だった。
「スティーブの話はあなたの知ったことじゃないでしょう」ジュリーはぴしゃりと返した。「テレサがなんて言うかをもっと気にしたら?」
 ザックはいぶかしげに眉をひそめ、彼女を見た。「テレサが何について言うんだ?」
「あなたがここにいることよ。昨夜はきっと、ベッドであなたを恋しがっていたわ」
 ザックは唇をきつく結ぶと、息を荒く吸いこんだ。「相変わらず、君の舌はかみそりのように鋭い」
「私は変わっていないわ……どんな点でも」
「それは違う」ザックは首を横に振った。「僕の知っている君なら、睡眠薬には頼らなかったはずだ」
「あなたの知っている私は、いまの私がくぐり抜けてきたような経験はしていなかったわ」
「くそっ!」ザックは悪態をついた。「君に思い出させるつもりはなかった」
「思い出させるって何を?」ジュリーは緊張した。
「あのいまいましいハイジャックだ」ザックの声はざらついていた。「悪かった」堅苦しい口調で言う。「昨夜君が倒れるのを見たとき、何が起きたのか見当がつかなかった。それに君が目を覚まさないから、医者を呼ぶことにしたんだ。ここに君を運んだとき、薬の瓶を見て初めてわかった。医者は――」
「理由がわかったのに、お医者様を呼んだの?」
「ああ、念のために」ザックはうなずいてから、詰問の口調で続けた。「いつから睡眠薬を使っているんだ、ジュリー?」
「普段は使って――」
「だが、昨夜は使った」
「昨夜は例外よ」ジュリーは怒りで顔を紅潮させた。
「なぜ?」
「なぜだと思う?」きつい口調できき返す。
 ザックの日焼けした肌が青ざめように見えた。「きのうは……僕らの結婚記念日だったからか?」
 ジュリーは彼の目を避けた。「ええ」
「ジュリー……」
 彼女はさっと身を引いた。「私にさわらないで! もう二度とさわらないで」大きく見開いた目でザックを見つめ、おびえた声で訴える。
 彼の両手が力なく脇に垂れた。顎がかすかに痙攣している。「まさか、カーターも同じことを?」
「スティーブ? いいえ、とんでもない。彼は優しくて思いやりのある人よ」
 ザックが唇の端をゆがめた。「あいつには、君を満足させる能力がないように聞こえるぞ」
 ジュリーの頬が真っ赤になった。「この問題にスティーブを巻きこむのはやめましょう」
「僕がテレサを巻きこみたくないのと同様にね。だから僕たち二人だけで片づけよう、ジュリー」
「だめ!」彼が歩み寄ってくると、ジュリーは後ずさりした。「私に近寄らないで、ザック!」
「僕は君から離れていた」ザックは彼女の肩をつかんだ。「三年間も君から離れていた。だが、いま君は、僕がいてほしかった場所に……寝室に、僕の腕の中にいる」ザックは彼女を抱き寄せ、自分のものだと言わんばかりに荒々しく唇を奪った。
 ジュリーは彼の腕の中で人形のように立ちつくしていた。ザックのキスには追いつめられたような渇望感がみなぎっていたが、力ずくで求められても応じることはできなかった。すると、彼のキスが急に優しくなった。奪うのではなく味わうようにそっと唇で探られたとき、ジュリーは思わず唇を開いていた。両手を伸ばし、濃い黒髪に指を絡める。
 ザックのこうしたキスを、ジュリーは忘れていた。彼の荒々しさではなく、優しさを……むさぼるようなキスをするときの悩ましい唇の動きを、すっかり忘れていた。かすかに体を震わせながら、ザックは彼女を抱き寄せた。その震えから、激情におびえるジュリーのために、彼が己の情熱を抑制していることが感じられた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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