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聖母は涙にキスをする

聖母は涙にキスをする


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ローリー・フォスター(Lori Foster)
 愛に対する確固たる信念をセクシーな作風と切れ味のいい文章で表現し、読者の支持を得ている。高校時代からの恋人である夫と三人の息子とともにアメリカのオハイオ州に住んでいる。小説を書くのは大好きだが、いちばん大切なのは、どんなときも家族だと言う。

解説

 内気なアリスは人付き合いが苦手で、近所の住人とも深くかかわらないようにしている。だがつい最近、彼女の防御の壁を破り、声をかけてきたハンサムな隣人がいた。リース――たくましくて色気のある彼の魅力にアリスは圧倒されるが、刑事である彼の部屋が荒らされ、やむを得ず彼を部屋に泊まらせることになってしまう。アリスはリースに微笑まれ、熱い視線を向けられるたびに胸がときめいた。でも親密になんてなれない……。きっと彼は、わたしがどうしていつも怯え、過剰なほどに周囲を警戒しているか知ろうとするだろうから。

抄録

「連絡はメールでしているのかい?」
「ええ、ほとんどそうね」つらい記憶がよみがえるとともにうずき始めるこめかみを、アリスはもみほぐした。「電話会議をする場合もあるけど」顔が特定されるのを避けるため、テレビ電話やスカイプは使わないようにしている。
「紙の書類のたぐいはいっさい受け取らないのか?」彼の考えていることが手に取るようにわかる。わたしの仕事のやり方を事細かに分析し、そんなやり方をする理由を突き止めようというのだ。「郵便物とか、クライアントがチェックを求めてくる書類とかは?」
「めったにないけど、どうしてもというクライアントのために郵便局の私書箱も契約していて、週に二回チェックしているわ」尾行を避けるためにわざわざ二つの町をまわるなど、細心の注意を払っている。簡単なことではないが、じゅうぶんに注意していれば可能だ。
「なるほど」リースはアリスの大型モニターの上部に触れた。「報酬の受け取りは?」
 なかなか終わらない質問攻めに、アリスはまた落ち着かなくなってきた。リースのことは信頼しているし、一緒にいると楽しい。ずっと一緒にいたいと思うけれど、一緒にいると緊張してしまう。アリスは椅子の肘掛けを両手でぎゅっとつかみ、本能的にプライバシーの侵害に抵抗した。「オンライン口座に振り込みで」
 リースはアリスの顔をまっすぐ見ようとはせず、フォルダーやクリップなどに目をやりながらデスクの周囲をまわり始めた。「クライアントと顔を合わせたことはあるのか?」
「ないわ」ああ、返事が早すぎた。
 他人と会いたくない気持ちはわかるとばかりにリースはうなずいた。さらに個人的な質問が続くのかとアリスは身構えた。今度こそ、彼はすべてを知りたいと迫るだろう。でもわたしはまだ心の準備ができていない。込み上げる不安を隠し、アリスは平静を装った。
 そんなふうに感情を押し隠すすべは、拘束されている間に身につけた。なんらかの反応を示せばいらぬ注目を引き、ときには報復を受けることもある。努めて目立たぬようにし、でしゃばらず淡々と仕事をこなすほうが安全だった。
 黙って手際よく、残酷な所業は見て見ぬふりで。卑怯なままで。
 小さな部屋を一まわりしたリースはアリスの正面に立った。「どうした?」
 苦悩に胸がつまる思いで、アリスはリースと目を合わせた。忌まわしい過去の記憶など追いやってしまいたい。リースにずっとここにいてもらいたい。過去と正面から向き合う時間を永遠に先送りしたい……。
 アリスの顔をじっと見つめたリースが気遣わしげに眉をひそめた。「もう夜も遅い」
 ベッドに入る時間だわ――封印したい記憶が繰り返しよみがえってくる時間。「ええ」
「大丈夫、怖がることはない」リースはアリスの頬に触れ、二本の指で顎の線をなぞった。「今夜もまたソファで体を縮めて寝るのは気が進まないんだ」
 そう、やっぱり出ていきたいのね。アリスはどきりと鳴る胸を押さえて立ち上がり、リースを引き止める言葉を探した。キャッシュは二人の間からこそこそと抜け出して部屋の外へ出ていった。リースが“ソファ”と言ったからそこへ行ったのだろうか。
 二人は見つめ合った。胸の中と同じくアリスの声は震えていた。「か……帰らないで」
 リースがアリスの目をしっかりとらえた。「おれはどこへも行かない」
 たちまちアリスの不安は消えた。「本当に?」
「まったく、何を勘違いしてるんだか……」リースは首を振り、あのいたずらっぽい笑みを再び浮かべた。「きみと同じベッドで寝たいという意味だよ、ハニー」
 同じベッドで……この大きな体、たくましく熱い体がすぐ隣にあるということ? このうえなく安心であると同時に心をそそる……。
「ただ一緒に眠るだけだ。セックスはしない。でも今夜はきみのそばにいたい」リースはアリスの顎を上げさせた。「いいかい、アリス?」
 アリスの心が浮き立った。「いいわ」大歓迎よ。もうすでに足の指まで力が入り、体が甘くうずき始める。呼吸が少し早くなる。
「セックスはなしだぞ」リースがたしなめるように言う。
 とりあえず今夜はおとなしく彼に従おう。「わかってるわ」
 リースのからかうような笑みが大きくなった。「今はまだ、という意味だが」
 アリスがうなずいた。わたしもまだ心の準備ができてない――でもいつかはその時が来る……そう、すぐに。
 リースはアリスのうなじに手を当てた。自分でも説明のつかない気持ちが高ぶってくる。「例の本気のキスをするのにちょうどいいタイミングだな」
 アリスがその言葉の意味を理解する間もなく、リースは唇と唇を触れ合わせた。最初は軽く温かく、やがてもっと強く。唇を動かしてアリスの唇を開かせ、角度を変えてさらにぴったりと合わせてくる。アリスは驚きの声をあげてリースに身をゆだねた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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