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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

大停電に祝福を

大停電に祝福を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫―特別版ハーレクイン文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

 テキサス州ダラスのオフィスビル。半年前までつき合っていたクインランと、エレベーターに乗り合わせたエリザベスは、気まずかった。強引で魅力がありすぎて一緒にいると怖くなるような人。早く1階に着かないかしら。そのとき、がたんと音がしてエレベーターが止まった。199X年7月21日、午後5時23分、大停電発生。

抄録

 エリザベスは身じろぎもせず、クインランをにらみつけた。彼は軍人カットに近いほど刈り込んだ黒褐色の髪に、指を走らせた。クインランは非常に抑制がきいている。それはエリザベスが忘れようにも忘れられない数少ないクインランのいらだちの表現だった。
「わかった、言うよ」クインランがぼそっと言う。「きみはなにか隠し事をしていた。おれたちのあいだにあるものを信じられなかったのかもしれない。だから、一度愛し合って、きみはおれのものなんだということがわかれば、あとは信頼して打ち明けてくれるだろうと考えたわけさ」
 エリザベスは思わずクインランをにらみつけるのも忘れた。両腕をだらりとたらし、ぽかんと口を開ける。「わたしがあなたのものですって? ちょっとおうかがいしますけどね、わたしの知らない間に、あなたはわたしを買ったとでもいうわけ?」
「そうさ。きみはおれのものだ!」クインランは吠えるように叫んだ。「こっちは結婚だの子供だの、ぜんぶ計画してたのに、きみはじわじわと遠ざかっていってしまった。わけがわからなかったよ。いまもってわからない始末だ」
「結婚? 子供?」仰天するあまり、ことばも出てこない。ようやく出てきた声はかん高く引きつっていた。「その計画とやらをわたしがどう思うかなんて、考えもしなかったらしいわね。いいの、返事なんかしてくれなくてけっこう。あなたはいったんこうと決めたら、わたしの気持ちなどおかまいなしに、それで決定なのよ」
「きみの気持ちはわかっていたさ。きみはおれを愛していた。いまでも愛している。なのに、どうして逃げ出すのか、そこが理解できない」
「あなたには理解できなくても、わたしはちゃんと理解しているわ」顔がほてり、エリザベスは目をそらした。まさか、すっかり見すかされていたなんて。たしかに、つき合い始めてかなりすぐのころから、クインランのことは愛していた。しかし、不安になればなるほど、エリザベスは自分の激しい思いを隠そうとした。
「じゃあ、その秘密を教えてくれよ。もう、うんざりなんだ。おれがなにかしたのなら、とにかく謝る。これ以上時間をむだにするのはいやだ」
 クインランに傲慢なところがあるのは最初からわかっていたけど、ここまでくると感心してしまう。クインランは概して静かな男性だが、それは自分にたいしても他人にたいしても、自分の能力をとくに誇示してみせる必要がないからだった。こんな状況はもう終わりにしようと決めたら、その時点で、少なくとも彼の見るかぎり一件落着したことになるのだ。
 だが、エリザベスにとってそんなのは落着でもなんでもない。
「ちょっと、いいこと、トム・クインラン」エリザベスは声を荒らげた。「どんな計画をたてようとあなたの勝手だけど、わたしを巻き込まないで。こっちは――」
「それはむりだ」クインランがさえぎった。
「どうして?」
「理由はこれだ」
 エリザベスはクインランの目がきらめくのを見て、ぱっとデスクの前から逃げ出した。すばやさもさることながら、クインランのほうはもっと速かった。彼はエリザベスの手首をつかんで背中にまわし、うまい具合にすっぽりと抱きすくめた。鋼のように頑丈な腕が、彼女を硬い体に引き寄せる。エリザベスはかつてクインランの裸体を目にしたことがあり、服の下に隠れているほんとうの力強さと男らしさを知っていた。彼が手を放す気にならないかぎり、とても逃げ出せるものではない。エリザベスはあらがうのをやめ、怒りをこめてにらみつけるだけで満足することにした。
「猫のような目だ」クインランがつぶやいた。「はじめて見たときから、きみはレディじゃないと思ったね。その目を見ればわかる。思ったとおりでほんとうによかった。あの晩一緒に過ごしてみて、たしなみも慎みもかまわない女だということがわかったよ。きみは激しくて熱くて、おれとは一緒にベッドを壊した仲じゃないか。そんなきみを手放すわけがないだろう?」
 クインランはすっかり興奮状態だった。エリザベスは彼の高まりを感じていた。クインランは微妙な動きで腰をすり寄せ、彼女に包み込んでもらいたそうに無言で誘っている。エリザベスはそそられた。ひどくそそられた。彼を欲しいと思う気持ちは否定できないし、否定しようともしなかった。でも、クインランの言うとおりだ。エリザベスは彼を信用していない。
「うまくいきっこないわ」エリザベスはかすれた声で言った。
「もう、うまくいってるじゃないか」そのことばは静かで、まるでつぶやきのようだった。クインランの温かな吐息がエリザベスの唇に吹きかかり、つぎの瞬間、硬くて熱い唇が触れてきた。クインランは顔を斜めにずらしてエリザベスの口を開かせ、いっそう深くキスをした。エリザベスは抵抗するつもりでいたのに、気がつくとされるがままになっていた。はじめてのときから、クインランにキスをされるといつも快感で目がくらんだ。彼の自信はキスにもあらわれていて、ためらいやぎこちなさなどはみじんも感じられない。いまもクインランはまったくのわがもの顔でエリザベスの唇を奪い、舌で探っている。エリザベスは体を震わせた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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