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忘れられたキスの記憶 禁じられた恋のゆくえ III

忘れられたキスの記憶 禁じられた恋のゆくえ III


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア禁じられた恋のゆくえ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・グレイディ(Robyn Grady)
 十五年間、テレビ局のプロダクションで働いたのち、かねてからの夢だった作家になる道を選んだ。ハーレクイン・ディザイアを支える作家の一人になれて嬉しいと話す。お気に入りのスポットは映画館と海辺。現在はオーストラリアのサンシャイン・コーストで、夫と三人の娘とともに暮らしている。

解説

 たったひとつ思い出せる記憶――“あなたに恋をしたこと”

 ウエディング・プランナーのスカーレットは、ある日、高い脚立から落ちかけ、居合わせた顧客に抱き止められた。ほっとした次の瞬間、思わず頬を赤らめる。なんてゴージャスな人なの。彼はセクシーなことで有名な大富豪、ダニエル・マクニールだった。スカーレットの本能は即座に警告した。彼に近づいてはだめ。危険だわ。冴えない私が彼と釣り合うはずがないもの。だから、花束の贈り物もディナーの誘いも断った。彼のキスは、とてもすてきだったけれど。次に脚立から落ちたとき、ダニエルは現れず、彼女は頭を強打した……。気がつくと、ゴージャスな男性が心配そうに瞳をのぞきこんでいた。あなたは、誰? ――スカーレットは記憶喪失に陥ってしまったのだった。

 ■〈禁じられた恋のゆくえ〉3話目は記憶喪失がテーマ。生真面目なヒロインの内に眠っていた情熱が目覚め、ヒーローを惑わせます。4話目は『結婚嫌いの大富豪』の無垢なヒロイン像が好評だった、レイチェル・ベイリーが登場します!

抄録

 二人が車に乗りこむと、ダニエルはエンジンをかけた。ワイパーを低速にセットし、住所を聞いてから車を発進させる。その後の数分でスカーレットの冷淡さはさらに和らいだ。会話まで始めたが、それはただの社交辞令に違いないとダニエルは推測した。
「ご家族はオーストラリアにお住まいなの?」
「父はシドニーにいるよ。里親だけどね。母はずいぶん前に亡くなった」
「まあ、お気の毒に。ご存命なら、あなたの成功をさぞ誇りに思われたでしょうね。小さいとき?」
「物心はついていたよ」昔のことを思うと、いつも喉元でふくれ上がる空洞をのみくだす。詳しい話は誰にもしていない。親友にも打ち明けていないのだから、スカーレットに話すわけがない。
「実のお父さんは? 詮索するわけじゃないけど」
 ダニエルはワイパーを高速にした。「アリエラ・ウィンスロップのことを考えると、今話題の質問だね。そろそろ検査結果が出る頃だろう」
「そうね」
 ちらりと見ると、スカーレットは前方の道路を見つめて口を引き結んだ。世界中のほとんどがまだ知らないことを知っているのか? アリエラは検査結果を親友に打ち明けるだろうが、スカーレットはどう見ても秘密をもらすようなタイプではない。
「どうせ、そのうちマスコミが話題にするだろう」
「あなたも情報共有業に携わっているでしょう」
「だが、ウェブは言論の自由を忠実に支持しているんだ。毎日きみやぼくのような一般人が何を議論するか決めることになる」
「自分を一般人に格づけしているの?」
「いたって普通の人間だからね」
「並外れた富に影響されないのはすばらしいわ。ランボルギーニに乗っていることは無視してあげる」
 付近にほかの車がいないので、ギアを入れ替えてこの愛車に夢中になる理由を数秒間見せつけた。再び速度を落とすとスカーレットが膝の上で握りしめていた手をゆるめたので尋ねた。「きみの家族は?」
「二度とこんなことをしないと約束したら話すわ」
 ダニエルはさらにギアを落とした。
「両親もジョージタウンに住んでいるの」
「きみにとっては近すぎない?」
「両親との距離はちょうどいいわ。自分のことは自分で決めているもの。ちゃんと自活しているし」
 ダニエルは笑った。「そんなにむきになってぼくを説得しなくていいよ」
 スカーレットは一度黙ってから続けた。「本当は……時々両親の意見を押しつけられるの。でも、大抵の母親はそんなものでしょう。過保護なのよ」
 ダニエルは息を吸って、例の痛みをのみこんだ。
 GPSに従い高級タウンハウスの前に停車した。雨がやんでいたのでワイパーを止める。エンジンを切らないでいると、スカーレットは驚いたようだ。
「玄関まで送らないの?」
「送られるのはいやなんだろう」
「本当に癪に障る人ね」スカーレットは首を傾げた。「それとも一歩引くことでより深く蜘蛛の巣に取りこもうという反心理学なのかしら」
 ダニエルは両手を上げた。「蜘蛛の巣なんか張ってないよ。『スパイダーマン』の最新版だって、まだ見ていないんだ」
「わたしは二回も見たわ。最後の製作者名までね」
「まあ、たくさんの名前の羅列を見ないと映画は終わらないからね」
「わたしをからかってるのね」
「まさか」
 スカーレットは笑みを隠そうとした。「わたしみたいに疑うことを知らないかわいそうな人たちを怒らせて楽しむタイプなんでしょう」
「殴られないと確信できるときだけね」
「警告しておくけど、わたしの右フックは強烈よ」
「だからこそ、きみをこの上なく尊敬するんだ」
 ぐっとくる笑みが広がった。「尊敬ですって?」
「ああ」ここでひと息つく。「本当に尊敬してる」
 彼女の目はきらめき、顔は窓からの光で内側から照り輝いているように見える。ありのままで無防備だ。
 やがてその無防備な危うさに気づいたかのように、スカーレットの笑みは消え、同時に二人を隔てる空間が縮んだように思えた。ダニエルは、決してしないと誓ったような目で彼女を見ていた。
 指先は革のハンドルにかかっている。欲求に従って行動するつもりはない。たとえ内側で高まるエネルギーがあまりに強く……頭を越えるほどの大波に押し出されるように理性を捨てるしかなくなっても。
 だが、心の奥ではわかっている。これは理屈ではない。二人のどちらにとっても。
 ダニエルはだんだん近づいていった。
 唇が触れ合い、スカーレットは目を閉じ魅惑的な口を開いてため息をもらした。今にも身を引いて平手打ちするだろうと思ったが、合意のうえだと知らせたがっているかのように身を任せてくる。反発されていても、事態の好転は常に起きるものなのだ。
 スカーレットの首に手をあてると、速いがしっかりした脈が触れた。舌をからめながら髪に指を差し入れ頭の後ろを押さえる。二人はさらに近づきキスが深まって、もっと知りたい、もっとほしいという欲望の火がダニエルの中に燃え始めた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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