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和書>小説・ノンフィクションハーレクインサマーシズラー

たどりついた愛

たどりついた愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: サマー・シズラー
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ウェイ(Margaret Way)
 書くことが大好き。息子がまだ赤ちゃんのころから小説を書きはじめ、今では執筆しているときが彼女のいちばん充実した時間になっている。楽しみは仕事の合間を縫って画廊やオークションに出かけること。また、シャンパンには目がない。オーストラリアのブリスベーン市街を見下ろす小高い丘にある家が彼女の安息所である。

解説

 社交に明け暮れる母の企みにより、ジュヌヴィエーヴは有力な一族の御曹司と結婚させられようとしていた。だが、結婚式の前日になって、自分が本当に心を寄せている相手は、幼いころからずっと見守っていてくれたブレーンであることに気づく。式を中止にしたい。もともとこの結婚に反対だったブレーンに相談すると、彼は思いもかけない行動に出た。

抄録

 ジェニーは困惑して、下を向いた。「あなたはサリーを裏切ったのよ!」
 ブレーンは憤慨した。「ばかなことを言わないでくれ。サリーはただの友達だよ。いい友達だけど、女性としては夢にも考えたことはない。きみを大切に思うようには、ほかの誰かを大切に思ったことはないんだ」
「そうよ、小さなペットとしてでしょう。一人前の女性としてではないわ」
「まさか、またその話をむし返す気じゃないだろうな?」
 ブレーンは彼女から離れた。その目は、銀色に輝いている。
「二度とごめんよ。あなたなしでは、わたしが生きていけないと思っているんでしょう。でも、いいことを教えてあげるわ」声があまりにかん高く震えていたので、お抱え運転手との間にガラスの仕切りがあるのがありがたかった。「わたしはコリンと結婚するの」そう言いながら、自分がいやになる。
「それで自分の人生を台無しにするのかい?」
「本当に、意地悪で皮肉屋ね」
「残念ながら、そうなんだ。きみがあんまりしゃくにさわるからね。ぼくの心に暗い陰があることを知っているだろう、ジュヌヴィエーヴ。やっぱりまだ、きみが相手だとすぐかっとなってしまうみたいだ。きみがぼくに対してそうであるようにね。運転手に聞こえているかもしれないが、そんなことはどうでもいい。最近はきみにつらく当たっていた。それは心から申し訳ないと思っているよ。あんなにいろいろとひどいことになってしまったのは、きみの気持ちをつかめなかったせいなんだ。きみは、ことあるごとにぼくに反抗しようと決めているようだった。実際ずいぶんひどい目にあわされたよ」
 彼の話は本当だ。今ならはっきりとそれがわかる。「もうやめて。愛しているわ」ジェニーは夢中で告白した。「何を言っているのかしら。ごめんなさい。本当にごめんなさい。わたし、わけのわからないことを言っているわね?」
「そのようだね」ブレーンの答えは明快だった。「きみは今、幸せではない。それは確かだ。きみを輝かせることができる男が必要なんだよ。きみが光り輝くのを、ぼくが見たことがないと思うかい? 女性は本当に不思議な生き物だよ。ぼくには一生かかっても理解できそうにないね」彼はそれが何かの呪いででもあるかのように言った。
 絶望したように、ジュヌヴィエーヴは見事に飾りつけられたウエディング・ドレスの身ごろにさわった。「あなたが費用を全部払っているって、どうして言ってくれなかったの?」
 こみ上げてくる激しい怒りを抑えようと、ブレーンは目を閉じた。「きみのおかあさんは、どうして黙っていられなかったんだ」
「恥ずかしくて、顔から火が出そうだわ」
「ばかなことを!」彼は、ひどく憤慨したように言った。「身内じゃないか」まさか。彼女はぼくにとって、ただの身内なんかじゃない。ブレーンは一瞬、言葉が出なかった。
 そのとき、窓の外に目をやった彼はぎょっとした。もう教会に着いていたのだ。新聞雑誌の社交欄で有名な花嫁を見ようと見物人が群がり、少し離れたところには報道機関のカメラマンも来ている。
 つやのあるブロンズ色のブレーンの顔は、緊張でこわばった。「ジェニー、ぼくは世界でいちばん優しい人間ではないかもしれないが、きみの味方だよ」その表情が伝えようとしていることは明白だった。思いきってやめるんだ。「もし幸せな気持ちで結婚式に臨めないのなら、今ここでやめたほうがいい」
 一瞬希望の光が見えたかと思ったとき、彼女の耳に群集の歓声が聞こえた。「冗談じゃないわ、ブレーン。世間からつまはじきにされるじゃない。結婚式をとどこおりなくやり通せるように助けてちょうだい」
「気は確かか?」片手で抱き寄せてしまえばいい。そして、彼女をこの場から連れ去るんだ。
「ええ」これでもう終わり。ジェニーにはわかっていた。運転手がドアを開けに来るのを見て、頭がくらくらした。今までの人生が、かなたに去っていく。たくさんの人が笑顔で手を振りながら近づいてくる。カメラマンは、すでにシャッターを切り始めている。
 どうか助けて。ジェニーは心から祈った。手遅れになる前に助け出して。自業自得なのはわかっているけど、本当に自分の胸の内がわからなかったのよ。
 その胸も張り裂けそうな思いで車から降りたジュヌヴィエーヴは、ドレスのデザイナーがせかせかと動きまわり、たっぷりしたシルクのスカートや雲のような長いベールを直す間、賞賛の渦の中に立っていた。
「きれいね!」見物人の口からくり返しもれるほめ言葉も、ジェニーの胸には届かなかった。ベールの代わりに、世界の重みが肩にかかっているような気分だった。
「いいかい?」ブレーンは腕を差し出した。彼女の身長をはるかにしのぎ、息をのむほどハンサムな彼は、花嫁を引き渡す役だが、かすかに光るその目に浮かんだ表情は、決して親族のものではなかった。
“これからも、ずっと愛しているわ”その言葉を、自分が口に出して言ったのか、頭の中で思っただけなのか、ジェニーにはわからなかった。
 そう、わたしはわかっていなかった。自分がこんなにブレーンを愛していることに、気づいていなかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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