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放蕩子爵とレディ

放蕩子爵とレディ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアン・ガストン(Diane Gaston)
 軍人の三女として生まれ、子供時代、日本に住んだ経験を持つ。新しい土地でなじめず寂しい思いをしたとき、読書に心慰められたという。大学では語学に加え心理学も学び、卒業後はメンタルヘルス・セラピストとしてキャリアを積む。一男一女に恵まれたのち、子供のころ大好きだったロマンス小説の作家をめざし、見事ゴールデン・ハート賞を受賞し華々しくデビュー。『嵐が丘』よりも『ジェーン・エア』のようなハッピーエンドの物語が好き。リージェンシー時代の英国を題材にした作品を得意とする。ベネチアが世界一ロマンチックな場所だと語る。特技は歌をうたうこと、ダンス、ピアノ。ワシントン州在住。

解説

 おなかの子のために、わたしと結婚するですって?

 いわれなき噂を立てられ、社交界を追われたリディア。ある夜、張り込みの記者につかまり、はずみで足首を怪我したところを、放蕩子爵エイドリアンに助けられた。今までつらい目ばかりを見てきたリディアは、彼の優しさに触れ、たくましい胸に思わず飛びこんでしまう。それは、女としての悦びを初めて教えられた一夜だった。また彼と会いたい……でも、これ以上噂の的になるわけにはいかない。そう思った彼女は、心を鬼にしてエイドリアンを追い返した。まさかその後、彼の子を身ごもったことを暴く記事が、新聞紙上に躍ることになるなど夢にも思わずに。

 ■『侯爵のひたむきな愛』(PHS‐40)で印象的な役割を演じていたエイドリアンがヒーローとして登場します。彼が魅せられたのは、> 醜聞の渦中にいるレディ。二人の恋のゆくえにどうぞご声援を!

抄録

 彼女はおもしろくもなさそうに笑った。「あなたが名指しされなかったことなんて、わたしにはどうでもいいの。問題はわたしの名前よ! わたしはすぐに男性と結びつけられるわ。そうやって、いつまでも書かれ続けるのよ」新聞をテーブルに戻した。
「ぼくはきみの要望に応えただけだ」
「要望?」彼女の声がうわずった。
「そう。あの男はきみを襲っていた。ぼくは何もせずに立ち去ることができなかった」
「ああ」彼女の肩が下がった。「その要望ね。助けてほしいという」
 彼女は、あのときぼくたちがふけった別の欲望のことを考えていたらしい。
 ふたりの目が合った。あの欲望がまたふたりのあいだでちらちらと燃えているような気がする。このままそばへ行って、彼女に触れたい。ぼくの中でくすぶっている情熱をまた燃え上がらせたい。またあのときのようにお互い楽しむためにここへ来たわけではないが、そうして何が悪い? 未亡人のそんな行動を世間はいちいちとがめたりしないだろう。目立たないようにさえしていれば。
「リディア」その名前が舌の上をころがる感触は、彼女の象牙色の柔肌と同じようになめらかだった。「きみがどんな形でも傷つけられるのを見たくない。ぼくたちの関係は秘密にしておくよ」
 彼女は笑った。「わたしが秘密なんて信じると思うの、エイドリアン?」彼のほうへ詰め寄っていく。「わたしは秘密に傷つけられてきたのよ。秘密を持たれ、それが暴かれて」
 リディアはエイドリアンの鼻が彼女のライラックの香りを感じられるほど近くに来た。だが、その目には痛みと非難の色がたたえられている。
 エイドリアンは彼女の美しい顔をなんとかまっすぐにのぞき込んだ。「どうかわかってほしい。きみを傷つけたくないというのは本当だ」弱々しい笑みを浮かべる。「きみの友達として力になると、前に言っただろう。今日は友達として来たんだよ」
「友達ね」彼女の目つきが和らいだ。
 彼女はさらに前へ進み出てエイドリアンの腕に触れた。服を何枚か通しても、その触れ合いは彼を欲望で焦がした。この欲望は打ち消さなければいけない。だが、彼女の目をのぞき込むと、自分と同じ切望がそこに浮かんでいるのが見えた。
「リディア」エイドリアンはささやいた。
 わたしは頭がどうかしてしまったのに違いない、とリディアは思った。彼を今すぐに追い返すべきよ。二日前に自分がしたことは忘れなくてはいけない。彼が無理強いしたわけでも、誘いの言葉をかけたわけでもない。実際にはわたしが無理強いしたのだ。
 彼の上着の生地に触れている手が震えている。この手を離して、彼を行かせればいいだけよ。
 だが、その手は彼の顔へ行き、頬に軽く触れた。
 ああ、わたしはなんて弱いの。
 彼のこめかみから、常に口角が上を向いている唇へと指でたどっていく。彼はじっとして、もっと先へ進むかどうかをこちらに選択させようとしている。いっそ今すぐわたしをつかまえて、力ずくで彼のものにしてくれたらいいのに。
 彼の腕にもう一度抱かれたら、日ごとに増えていくように思える心配ごとも忘れられる。それのどこがいけないの? わたしは寂しいのよ。彼と時間をつぶしたっていいはずよ。彼ならわたしと共通の知り合いがいるし、同じ娯楽の場にも出席していた。自分がその一員でなくなって、こんなに人恋しくなるとは思わなかった。
 でも、いちばん恋しいのは男性がわたしに与えてくれるもの。エイドリアンがわたしに与えてくれたものよ。わたしがみだらな女になり果てたことを記者たちが知ったらどうなるかしら? ただ親切にしてもらったからという理由で男性とベッドをともにするような女だと知ったら。新聞になんと書かれるだろうと思うと、ぞっとする。
 リディアは手をおろした。
 エイドリアンの目にとまどいが浮かんだ。何も言おうとはせず、じっとしている。もしわたしが帰れと言ったら、彼はきっとそうするだろう。
 リディアはまた一歩、彼に近寄った。痛む足首が思い出させる。彼がどんなに優しく手当てしてくれたかを。そのあとに訪れたものに、今のわたしは心を奪われてしまっている。彼のキス。彼との触れ合いがわたしの中に目覚めさせてくれたもの。
 あの悦びをもう一度感じて何がいけないの?
 リディアは手を彼の胸に滑らせていき、そして腕を彼の首にまわした。爪先立ちになり、顔を彼のほうに向けて、わたしの選択はこうよと伝える。
 彼は男性の欲望がにじんだうめき声をもらし、顔を寄せて、おずおずと唇を重ねた。今ならまだ気を変えても許すよ、というように。
 気を変えたりするものですか。彼が紡ぎ出してくれる快感に打ち震えたい。彼とひとつになりたい。
 彼は唇を少し離し、それから強く押しつけた。男らしいリードのしかたに胸がわくわくしてくる。
 懐かしくて新しい彼のキスは深まっていった。リディアが唇を開き、ふたりの舌が触れ合うと、親密感が広がり、うれしさがこみ上げた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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