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一夜の恋におびえて

一夜の恋におびえて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

 心を閉ざした男と過去に傷つく女。二人を結びつけたのは、突然の小さな命──

 妹の結婚式で花嫁付添人を務めるゾーイは、式の真っ最中にもかかわらず携帯電話をいじり、不遜な態度をみせる花婿付添人アーロンに眉をひそめた。億万長者だからなんでも許されるとでも思っているのかしら? 花婿の兄として、思いやりはないの? アーロンを少し懲らしめようと近づいたゾーイだったが、あろうことか彼のゴージャスな魅力に圧倒され、その日の夜には彼のベッドに招き入れられてしまう。3週間後、体調の変化に気づいたゾーイはなぜか高揚していた。許されるはずのない命を宿してしまったというのに。

 ■ゾーイとアーロンのロマンスの幕開けは、なんと予期せぬ妊娠! 悲しい過去をもつ二人の、揺れる心の動きにご注目ください。

抄録

“子どもが生まれるまで、きみがここで暮らすということさ”その言葉をゾーイはしばらく反芻していた。
「いいえ」
「どうして?」
 無理よ。危険すぎる。あなたに恋をしそうだから。本音に代わる理由をゾーイは必死に探した。「とにかく無理よ」
「無理なのか、ここで暮らしたくないのか、どっちなんだ?」
「どっちもよ」
「なぜだ?」
 アーロンはあくまでも理性的で落ち着いている。ゾーイは自分が壊れていくように感じた。それほど彼の提案に心が揺れ動いていた。
「どうだっていいでしょう?」子どもじみていると思いながら、言い返さずにいられなかった。
「あのアパートメントでひとり暮らしをするのは体によくない。身重の体で五階まで歩かなければならない」
「一階の部屋を借りるわ」
「万一きみの身に何かあったら、誰が気づく? きみは今まで人に頼らず、孤独な暮らしをしてきたんだろう」
「人に頼らずに生きていくのが好きなのよ」ゾーイは“孤独な”のくだりは無視した。「あなたはどうなの? 人のことは言えないんじゃないかしら」
「否定しないが、ぼくは妊娠していない」
「妊娠は病気じゃないわ。あなたはわたしにここにいてほしくないのよ」いてほしい、という彼の告白をゾーイは力ずくで頭から追い出した。強く生きようと思っているときに、そんな言葉はなんの役にも立たない。
「そうは思っていないとさっき言ったはずだ」
「わたしを管理したいからなんでしょう」
「理由がそんなに問題なのか? なぜ逆らう? きみがここで暮らすのが理にかなっているとぼくは思っている。きみだってあれこれ私物を持ちこんでいるじゃないか」アーロンは絵や元気のない観葉植物を手で示した。「ここにいても、きみは自分の生活を維持しているだろう」
「それが問題なのよ、アーロン。幽閉されているように思えてならないの」
「どういうことだ?」
「話をしたくもないと思っている人と一緒に暮らすのがどういうものか、あなたにはわからないのよ。あなたは仕事を隠れみのにしている」
「隠れてなどいない!」
 アーロンの怒鳴り声が部屋じゅうにとどろいたが、ゾーイは言い返さなかった。
「きみはぼくに何を求めているんだ、ゾーイ?」
 彼女はかぶりを振った。「無駄よ」
「無駄って何が?」
 アーロンにはまったくわかっていない。わたしが証明しようとしているのは、彼がわたしを好きではないこと、望まぬ子どもの母親という意味でしか、わたしに関心がないことだというのに。でも、それは彼にきくまでもない。
「わからない」ゾーイは急に言い合う気力が失せた。「あなたがなぜわたしをここに住まわせたいのかも、この先どうなるのかも、あなたがどんなふうに赤ちゃんと接していくのかも……」
 アーロンは長らく黙っていた。ゾーイと同じく疲れきった表情をしている。「だったら、ぼくはどうすればいいんだ?」
 これが彼の対処法なのだろう。人生を単にうまく機能するかどうかでしか見ていない。それでも彼なりに努力はしている。わたしだって努力しなければ。
「もっとあなたに求めたいものがあるの」アーロンが思わずひるむのを見て、ゾーイは笑いそうになった。「手を握ってとか、ベッドに連れていってなんて求めているわけじゃないの」言わなければよかった。あの晩の出来事を思い出してしまう……。ばかね。あの晩は愛とはまったく関係がなかったのよ。「お互い、なんとかうまくやっていける仕組みを見つけないといけないわ。あなたのそばで爪先立って歩いてばかりいたら気が変になりそうよ」
「きみが爪先で歩いているとは気づかなかった」アーロンはそっけなく言い、ゾーイは短く笑った。
「お互いの性格を考えたら無理かもしれないけれど、それでも少しは仲よくやっていけないかしら? 友だちみたいな感じで?」
 アーロンは黙ってこちらを見つめるばかりだった。やはり彼には無理なんだわ。わたしにも無理かもしれない。彼と恋に落ちたい気持ちと嫌いたい気持ちが同居しているのだから。
「不可能とは思わない」
「言葉を交わす、夕食を一緒にとる、お互いその日の出来事を話すっていうことよ。あなたにそれができる? 努力してみようって思える?」
 アーロンはため息をついた。「努力すればいいのか? きみは子どもが生まれるまでここにとどまり、事あるごとに文句を言ったり言い争ったりはしないというのか?」
「努力してみるわ」
 アーロンの口元にかすかな笑みが宿り、顔の表情が明るくなった。彼はめったにほほ笑まない、とそのときゾーイは気づいた。ほほ笑んでほしいのに。
「じゃ、互いに努力するということで契約成立だな?」彼は手を差し出した。
 ゾーイはその手を取った。彼のぬくもりと力が伝わってくる。「契約成立よ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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