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愛は脅迫に似て パリから来た恋人 I

愛は脅迫に似て パリから来た恋人 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズパリから来た恋人
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ビアンチン(Helen Bianchin)
 ニュージーランド生まれ。想像力が豊かで、読書を愛する子供だった。十代の初めのころに初めて物語を書く。学校を卒業して、法律事務所で秘書をしたのち、二十一歳のときに友人とともにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアにわたる。メルボルンで数カ月働き、北クイーンズランドのたばこ農園を手伝っていたときにイタリア人男性と知り合い結婚した。その後三人の子供に恵まれ、子供たちや友人にたばこ農園の話を聞かせているうちに小説を書くことを思いついたという。イタリア人男性をヒーローにした最初の小説は、一年をかけて完成され、その後イギリスのハーレクイン社から出版された。もっとも尊敬する作家はノーラ・ロバーツと語るが、プライベートな時間に“座り心地のいい椅子に丸くなって”する読書は、ミステリーからロマンスまで幅広い。これまでに訪れたいちばんロマンティックな場所はハワイのホノルルだという。

解説

 サンドリンは新婚六カ月の夫ミシェルに書き置きを残し、ニューヨークからひとりゴールド・コーストにやってきた。映画のオーディションに受かって見事に役を射止めたものの、撮影のあいだ四週間も離れて暮らすなどとんでもないと、ミシェルにオーストラリア行きを強く反対されたからだ。だがサンドリンの意気ごみを裏切るかのように、撮影は大幅に遅れ、資金不足から映画製作自体が暗礁に乗り上げようとしていた。そんなとき、ある人物が映画に資金を投入してくれることになった。パーティの席上、その人物に会ったサンドリンは呆然とする。なんとそれはミシェルだった。彼は怒りをこめたキスで彼女を罰し、投資の対象はきみだと告げる。ぎこちない関係のまま、二人は再びともに暮らしはじめるが……。

抄録

 シルクの上掛けがはがされ、薄地のカバーの下に長身の男性の姿が透けて見える。
 ミシェルだ。枕の上に心地よさそうに頭をあずけ、目を閉じている。呼吸はゆっくりで規則正しい。
 どうなっているの、彼がわたしのベッドにいるなんて! しかも眠りこんでいるわ!
 いいわ、だったらいますぐ追い出してやる。サンドリンは心に決め、ベッドに歩み寄った。予備の枕を躊躇なくつかみ、彼のおなかから数センチ離れたマットレスの上にどんと置いた。
「起きて。まったく、起きてったら!」再び枕を持ち上げ、乱暴に振り下ろす。「わたしのベッドから出ていって!」
 ミシェルは動かない。サンドリンはあまりのじれったさに、彼のおなかに枕を打ちつけた。
 別の場所を狙って枕を振り上げたとき、突然ミシェルの腕が伸びた。容赦なく手首をつかまれ、サンドリンは息をのんだ。グレイの瞳が探るように彼女を見つめている。
「ここはわたしの部屋、わたしのベッドよ。あなたに占領する権利はないわ」
「きみはぼくとは別の部屋、別のベッドで寝たいのかい?」ミシェルに見つめられ、サンドリンは勇気が萎えていくのを感じた。「好きな場所を選べばいい」
「わざとこんなことをしているんでしょう?」サンドリンは激しく食ってかかった。きりきりと痛むこめかみに、彼女は両手の指を押し当てた。「あなたと一緒には寝ないわよ」
「寝る、というのは実に効果的な言葉だ」ミシェルは物憂げに言った。
 サンドリンはミシェルに殴りかかりたい気持ちをどうにか抑えた。「そんなことをわたしに期待しているの?」
 ミシェルは恐ろしいまでに堂々として危険に見える。彼が発散する不気味な男臭さを意識し、サンドリンの血管を熱いものが走り抜けた。
 彼女はミシェルの顔に視線を移し、ちらりと唇を盗み見た。ほんの数時間前、自分の唇がその唇にふさがれてどんな反応をしたかを思い出し、体を震わせた。意志とは裏腹に熱い波が体に忍びこみ、いまにも自制心を失いそうだった。
「ぼくとベッドをともにするのが怖いのか、サンドリン?」
 そうよ、とサンドリンは叫びたかった。
「セックスでわたしたちの問題は解決できないわ」
「セックスするとほのめかした覚えはない」
「じゃ、なぜわたしの部屋を、わたしのベッドを選んだのか、説明してくれるわね?」サンドリンは深く息を吸いこみ、ゆっくりと吐き出した。「もしあなたにいくらかでも紳士的なところがあるなら、別の部屋を選ぶはずだわ!」
「ぼくは紳士のふりをしたことなど一度もない」
 サンドリンは彼をにらんだ。「ええ、野蛮人と言ったほうがずっとふさわしいわ!」
「気をつけたまえ、|いとしい人《シエリ》」彼は猫撫で声で警告した。
 サンドリンは手近の小さなクッションを拾ってミシェルに投げつけた。「あなたなんて大嫌い」
 二秒後、彼女はマットレスに押さえつけられていた。
「大嫌いかどうか試してみようじゃないか」
 サンドリンは彼の下で両手を自由にしようとむなしくもがいた。「こんなことはやめるのよ」それは命令であり、哀願ではなかった。
「では、ぼくを枕で殴る前によく考えるべきだったな」
「あなたが先にけんかを売ったんだから、攻撃されて当然よ」
 ミシェルの表情は変わらなかったが、サンドリンは彼の顔に、間違いなくおもしろがるような色をかいま見た。
「それで……このまま優勢にゲームを続けたいというわけかい? それとも停戦にするかい? きみが決めてくれ、サンドリン」
 死ぬまで闘うわ、と叫びたかったが、そんなまねはばかげている。サンドリンの負けは目に見えていた。感情的にも、知的にも、肉体的にも。
「あなたがどいてくれるなら、着替えてシャワーを浴びてくるわ」
「いいとも、だが、まずこれだ……」ミシェルは唇の端をなぶる優しいキスでサンドリンの口をふさいだ。それから急に激しい口づけに変えて彼女の唇をさんざん貪ったすえ、マットレスの上に長身の体を伸ばした。「|おやすみ《ボン・ニユイ》、|かわいい人《ミニヨンヌ》」
 ミシェルはごろりと横を向き、ウエストまで上掛けを引き上げて目を閉じた。
 サンドリンはしばらくその場に凍りつき、彼のキスの味をゆっくりと思い返した。麝香の香りがする、すばらしく官能的な熱いキス。なんて人なの。わたしに主導権を取られそうになったら、切り札を持ち出すとは。
 サンドリンは細心の注意を払ってベッドを抜け出した。続き部屋に行ってシャワーを浴び、綿のナイトシャツに着替えた。
 フランス製のサテンとレースでできた最高級のナイトドレスを持っているのに、質素で機能的なナイトシャツを選んだのは、たぶん心の中でくすぶっている反抗的な気分のせいに違いない。
 サンドリンが電気を消すために部屋を横切ったときも、ミシェルは身じろぎもせずに横たわったまま、深い寝息をたてていた。
 ぼくとベッドをともにするのが怖いのか? 挑戦的な彼の言葉が、あざけるように胸に響いた。
 彼にひと泡吹かせてやるべきなのかもしれない。ミシェルは数時間眠るだろう。目覚めたとき、ベッドの半分を占領しているわたしの姿を発見したら、どんな顔をするかしら。唖然とした彼の顔を見るためなら、たいていのことは我慢できる。
 口元にうっすらと笑みを浮かべながら、サンドリンは上掛けの下に身をすべりこませた。ゲームをしたいんでしょう? それなら、受けて立つわ!

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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