マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインサマーシズラー

サマー・シズラー2009 真夏の恋の物語

サマー・シズラー2009 真夏の恋の物語


発行: ハーレクイン
シリーズ: サマー・シズラー
価格:1,000pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆3
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

 メレディス・ウェバー(Meredith Webber)
 オーストラリアの作家。教師、商店主、旅行代理店など種々の職業を経験したあと、一九九二年に新たなチャレンジのつもりで作家を志す。二年後にデビューを果たした。現在はロマンスの書き方の講座も持っており、教えることが彼女自身の本を書くうえで大きなプラスになっているという。

 リズ・フィールディング(Liz Fielding)
 イングランド南部バークシャー生まれ。二十歳のときアフリカに渡り、秘書の仕事に就いた。土木技師と結婚し、その後十年間をアフリカと中東で暮らす。夫は激務で、彼の帰宅を待つ長い時間、ものを書いて過ごすうち作家の道に。現在はウェールズに住んでいる。夫とのあいだに二人の子供がある。

解説

 「シークと乙女」
 ある日、ベアトリスは手紙で弁護士事務所に呼びだされた。通された部屋にいたのは、ザフラト国の次期国王タリク・アル・カマル。いきなり弟と別れてほしいと多額の手切れ金を提示され、ベアトリスは驚いた。彼の弟ハリッドをたぶらかす性悪女と間違われたのだ。

 「砂漠に咲いた愛」
 ハナは奥地にある集落に短期滞在していた。妹が育児放棄をした六歳の息子ミッキーも一緒だ。そこへ突然、スレイラ国のシーク――マリク・サイディが小型ジェット機で乗り込んできて、信じられない話を告げた。ミッキーが国の王位継承者になったという。

 「プリンセスに選ばれて」
 亡き祖母の遺品の整理中、バイオレットはアラブの短剣を見つけ、鑑定番組に出演することになった。専門家によれば、途方もない宝物らしい。その事実が新聞で報道され、バイオレットは一躍話題の人に。翌朝、アラブの王国の皇太子ファヤドが彼女の家に現れる。

抄録

 彼と目が合うと、ベアトリスはどっと体が重くなるのを覚えた。
 スーツを着たタリクはすてきだったが、ほこりにまみれた乗馬靴を履き、裾の長い、砂漠の民の衣装をまとって伝統的な被り物をした彼は、現実の世界の住人とは思えなかった。
 ベアトリスはぽかんと開いた自分の口を閉じ、忘れかけていた敵意を沸きたたせた。これまで会ったどんな男性とも違うのは当たり前だわ。まるでベドウィンのテントから出てきたみたいじゃないの。
 以前と同じように普通の服を着た彼を想像していたベアトリスは、驚くと同時に、異国の服装が強調する性的な魅力に圧倒されていた。
 ベアトリス、落ち着くのよ。服を脱いだら、ただの男だわ。しかも尊大で、自分が一番偉いと思い、金持ちであることを自慢している男。
 そうよ。彼女は自分を励まして顎をつんと突きだした。びくびくしているのを悟られるくらいなら死んだほうがましってものだわ。
 彼がしなやかな身のこなしで一歩近づくと胃がぎゅっと収縮し、ぴくぴくと痙攣したが、ベアトリスは自分に言いきかせた。私は動揺なんかしていないし、自分で自分をコントロールできる状態にあるわ。
 彼を見返して、この人は友だちの人生を台無しにしようとしている人間だわ、と改めて自分に告げる。
 彼女は大きく息を吸ったが、ひどく体にぴったりした服を着ているせいで、その動作は予想しなかった効果を生んだ。肌に鳥肌が立ち、頭の地肌にぞわぞわした感触が走っているのに、体がかっと熱くなった。ベアトリスはタリク・アル・カマルの、のみで切りだしたような美しい顔をじっと見つめた。
 イギリス人の血が半分混じっていることは知っているが、一見してそうは見えない。ひげがきれいに剃られた角張った顎、特徴のある高い頬骨とそぎ落とされたような頬は、女心をそそる美しい形の唇とともに男の色気をたたえていた。
 ひとことで言えば、これほどいい男は見たことがない。
「ハリッドと一緒じゃなかったの?」
「これから彼のところに行く」
「わざわざその前に挨拶に来てくれたの? 主人役《ホスト》としては立派な心がけだわ」
 皮肉たっぷりの言葉を無視してタリクは続けた。「僕らが戻ってくるまでにここから立ち去っていてくれたら、この間の金額は倍にする」
「ふーん。魅力的な申し出だわね」ベアトリスはなんとか努力して微笑を浮かべてみせた。「でもこうしてここをこの目で見たからには、ますます決意は固くなったわ。王女様になるほうがいい。女の子なら誰だって一度は夢に見ることでしょ」
「君はもう女の子とは言えないだろう」ベアトリスの胸元に彼の視線が注がれた。「ハリッドは君の本当の目的に気づいていないんだろうな」
「そうね。彼は……彼みたいに純粋な人間は珍しいもの。あなたのことも尊敬しているみたい」
 タリクは目を細めた。「ミス・デブリン、君がもしもそんな弟を少しでも評価してくれているのなら、結婚しようとは思わないはずだ」
 痛烈な言葉を浴びせられたベアトリスは、ハリッドの控えめで一歩譲った観点からものを見るユーモアのセンスと、この兄のセンスとを比べずにはいられなかった。
 彼女は心の中で肩をすくめた。タリクのような立場の人間が尊大なのは当たり前かもしれない。生まれたときから未来の国王として育てられたのだから。
 彫刻のように整った端整な左右対称の顔のあらゆる部分に、横柄さと高慢さが刻みつけられているのも無理はない。
 彼のように強烈な個性と存在感を放つ人間と会ったのは初めてだった。まるでその体から電気が放電されているように、むきだしの腕の皮膚がぴりぴりする。ベアトリスは彼をにらんで腕をこすった。
 タリクはもう一度ベアトリスの胸に視線を向けた。彼女は胸元を腕でかばいたくなる衝動を抑えた。
 その代わりにぐっと顔を上げて胸を張り、わざとらしい笑顔を作ってみせた。
「そうそう、これからはベアと呼んで。だって」彼女は目をぱちぱちさせて上目づかいに色っぽく相手を見やった。「もう家族も同然なんだから」
 絶対に阻止してやる、というメッセージをこめた目でにらみ返すと、彼はベアトリスに負けない空々しい笑顔を浮かべた。まつげの長い、伏せた目は軽蔑に満ちている。「ミス・デブリン、君は絶対に家族にはなれないよ」
 ベアトリスは泡のように次々に湧きあがる怒りをのみこみ、予想どおりの反応よ、これでいいんだわ、と思いながら、白いローブをなびかせて廊下を去っていく彼の背中をにらみつけた。
「あの……?」アジルと呼ばれていた使用人が靴を差しだしている。
 ベアトリスは笑ってそれを受けとり、もう一度長身の背中を見やった。彼を相手にするのは疲れるわ。私でさえそうなのだから、気の優しいエマにはどうすることもできないだろう。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。