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友達ではいられない 真実の花嫁 I

友達ではいられない 真実の花嫁 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア真実の花嫁
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
 ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。

解説

 フラニー・ブルックスはウエディングドレスのデザイナー。事業をさらに拡大したいと考える彼女は、PR会社の経営者ジャック・ファレルと知り合った。笑顔ひとつですべての女性が足元に崩れ落ちると思っている、とんでもないプレイボーイ。だが、それだけの魅力はたしかにある。だからって、仕事が遅いのを許すわけにはいかないわ! パンフレットを考えてもらうのに商品の写真を渡してから、もう一カ月もたつ。いったいジャックは何をやっているの? 怒りにまかせてジャックの家にのりこんだ彼女は、彼が生まれて間もない赤ん坊をかかえて、困っている場面にでくわした。事故で亡くなった兄夫婦の娘を引き取ったのだという。ほうっておけずに、赤ん坊の世話を手伝ったフラニーだったが、“男性と赤ん坊”という取り合わせに、数年前の悪夢のような出来事を思い出した……。

抄録

 ジャックは顔をしかめた。「呼び出してすまなかった。そこまで考えがおよばなかったよ」
 フラニーはあくびを噛み殺した。「いいのよ」
「うちに泊まらないか?」
 突然のジャックの申し出に、フラニーは驚きを隠せなかった。「泊まる?」
「それがいい。君は眠れるし、レックスと僕は、なにかあれば、すぐ助けてもらえる」ジャックは空いているほうの手でフラニーの手を握り、真顔で詰め寄った。「頼むよ、フラニー。僕のベッドを使ってくれ。僕はソファで寝るから」それからにやりとして、いつものジャックに戻った。「もちろん君がいっしょに寝たいのなら、そのほうがいいけれど」
「わかったわ」承知すれば、少しは彼と離れられるだろう。「でも、あなたはソファで眠ってちょうだい。紳士的でいるのよ」
「ありがとう。今夜のことは何度お礼を言っても言いたりないよ」ジャックは握っていたフラニーの手を唇に持っていき、手の甲にそっとキスをした。「来てくれ。新しいタオルを出そう」
 よかった、とフラニーは思った。キスをされたとき、思わず体にふるえが走ったのを気づかれずにすんだ。ジャックのあとについて二階に上がりながら、彼女は自分に言い聞かせた。そんな反応も自然なことだわ。長いことデートをしていないし、男性とキスもしていない。だから、ちょっとしたことで胸がどきどきしたり、おなかの底がうずいたりするのよ。
 ジャックはフラニーを連れて、廊下の突きあたりにある主寝室に向かった。その途中で、彼は書斎やアレクサの寝室にした部屋を見せた。
 そこは小さな女の子の部屋とは思えなかった。飾りもなく殺風景で、ベビーベッドとおむつ替え用のテーブル、たくさんの箱があるだけだ。「荷物を全部ほどいたら、壁紙を張ろうと思うんだ」ジャックはきまり悪そうに笑った。「でも、なかなか暇がなくてね」
「これからはもっとなくなるわよ」ジャックの腕の中でうとうとしているアレクサを見て、フラニーは言った。「大きくなるほど、忙しくなるもの」
「励ましてくれてありがとう」ジャックは皮肉っぽく言うと、アレクサをそっとベッドに寝かせ、ピンクの毛布をかけた。そして彼の部屋である大きな寝室にフラニーを案内した。「ここで寝てくれ」ジャックは明かりをつけた。「たんすの一番上の引き出しにTシャツがある。予備の毛布はクローゼットの中だ」
 フラニーはうなずいた。自然にふるまおうとしても、部屋はしんと静まり返っている。どんと置かれた大きなウオーターベッドを見ていると、寝室に二人きりでいることを強く意識してしまう。
 ジャックを見ると、彼は疲れた顔でぼんやりしていた。「大丈夫?」フラニーは尋ねた。
 ジャックは肩をすくめ、水から上がった犬のように頭をぶるぶるっと振り、ベッドに腰かけた。「ああ」あまり大丈夫ではなさそうだ。ジャックはフラニーのほうを向き、じっと彼女を見つめた。「これでよかったと思うかい?」
「よかった……って?」私を自分のベッドに寝かせることが?
「ああ。アレクサを引き取ってよかったんだろうか?」
 ジャックの問いかけに、フラニーはよろけそうになった。ようやく彼の言っていることがわかった。「もちろんよ。アレクサに残された家族はあなたしかいないんでしょう?」
 ジャックはうなずいた。
「アレクサにはあなたが必要なのよ、ジャック」フラニーはジャックの隣に腰を下ろした。「家族は大切だもの」
「そうだな。引き取ることにしたときは、僕もそう思った。でも今夜……今夜のことで、僕がどんなに子育てが下手か思い知ったよ」ジャックはフラニーを見た。グレーの目に苦悩と絶望が浮かんでいる。フラニーはジャックがかわいそうになり、子供をなだめるときのように、頭を胸に抱いてなぐさめてやりたくなった。「母親も父親も、あの子をほんとうに愛していたんだ。成長していく姿を見られないなんて思ってもみなかっただろうに」
 ジャックの声には悲しみがにじんでいる。大切な人を失ったのはアレクサだけではないのだ。死んだのはジャックの兄なのだから。フラニーはなんと言っていいかわからず、思わず両手を広い肩にまわし、彼を抱き寄せた。ジャックはフラニーより体が大きいので、ぎこちない抱擁になった。それでもジャックにはなぐさめが必要で、どうすればいいかフラニーは心得ていた。
「兄たちに戻ってきてもらうにはどうすればいい?アレクサのために」フラニーの髪に顔をうずめ、ジャックはつぶやいた。「あの子に両親を取り戻してやれるなら、僕は死んだってかまわない」
「しいっ」フラニーはジャックのうなじを撫でた。肌のぬくもりと短い髪が手に感じられる。「そんなことができるわけないでしょう。どんなに願っても、人の命は取り替えられないもの。あなたがいて、アレクサは運がよかったと思わなくちゃ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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