マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインMIRA文庫

ダンシング・ラブ

ダンシング・ラブ


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

 アメリカ南部に勢力を持つブラックストーン家。跡を継ぐはずだった夫を亡くしてからも、スーザンは貞淑な未亡人として家業に、そして家族に尽くしてきた。あるパーティの夜、ふいに訪れた惑わすような瞳の男に誘われるがまま、情熱的なダンスをする。夫の死後、初めて感じた心のざわめきに酔いしれるのもつかの間、スーザンは男の正体を知り愕然とした。過去に問題を起こし、勘当された夫の従兄コード。厄介者の彼が、一族への復讐を誓って帰郷したのだ。

抄録

「あるさ」宣戦布告の旗が振られているのにも動ぜず、コードは相変わらずにやにやして答える。それから、片方の眉を吊り上げていった。「先に立って歩いてくれないかな。うしろからついてこられるのは、信用できないからな」
 プレストンがからだを硬直させた。スーザンは、とっさに緊迫した事態を察知して、コードの腕に軽く手をかけていった。「お義母さまを待たせてはいけないわ」
 プレストンは顔をしかめた。「きみがいっしょに来る必要はないよ、スーザン。ここに残ってお客の相手をしてくれないか」
「いや、いっしょに来てほしい」コードが間髪を入れずに口をはさんだ。かれは、わざとプレストンをいらだたせるようなことばかりいっている。「彼女は家族の一員だろう? だったら、自分の耳で直接聞いておいたほうがいい。きみやエマジーン叔母さんの口伝えよりもな」
 プレストンは、なにかいいかけたが、急に向きを変えて歩きだした。かれは、まさしくブラックストーンの名を受け継いだ人物だった。コードの顔面を殴りつけたかったにちがいない。だが、公の場ではけっして無作法はしない。
 コードは、少し間をあけてついていった。スーザンの腰に軽く手を当てて、にっこりしている。「きみが逃げださないように、見張っていたかったんだ」
 スーザンは成熟した女だ。夫が亡くなってから五年間、さまざまな重要問題に冷静に対処してきた女だ。すでに二九歳にもなっており、いちいち顔を赤く染める年頃は、とうに過ぎたはずだった。にもかかわらず、あけすけに誘惑的なまなざしを向ける恥知らずのこの男のまえでは、ちらっと目があうだけで赤面してしまう。これまで一度も感じたことのない興奮が全身に走り、鼓動は激しくなり、目まいすら感じる。愛がどういうものかは知っている。だが、自分が知っている愛は、これとはちがう。
 バンスを愛していた。かれの死が彼女自身の生気をも奪い去るほど、強く愛していた。だが、いまの彼女は、あのころと同じ気持ちになれない。これは、むこうみずで狂気じみたひどく本能的な興奮だ。性的魅力、それだけだ。バンス・ブラックストーンが愛なのだ。コード・ブラックストーンは、情欲でしかない。
 だが、そうとはわかっていても、なんの役にも立たなかった。コードと並んで、一見おちついたようすで歩いていたが、背中にあてがわれたかれの手にぞくぞくし、さらに強く感じてみたいとさえ思う。
 スーザンは、情事をたのしむような女ではなかった。バンスが生前にからかっていたように、彼女はビクトリア朝時代にこそふさわしいタイプだった。とびきり魅力的であるにもかかわらず、ひどくきまじめだった。頭のてっぺんから爪先までレディの名にふさわしくなるよう、母親から大事に育てられてきた。彼女は、レディになるべく生まれついたのだ。愛を十分理解し、けっして軽んじるつもりはなかった。ブラックストーン家の厄介者にぞくぞくするほど歓びを感じてもだ。
 書斎の入口の少し手前まで来たところで、コードが耳もとに口を近づけてささやいた。「きみがいっしょに外へ行かないっていうんなら、せめて家まで送らせてくれ。そしたら、玄関のところで、ティーンエイジャーみたいなキスができる」
 スーザンが憤慨してにらみ返すと、コードはくすくすと笑った。だが、抗議する間もなく、ふたりは、書斎へと入っていった。そのとき、かれが完璧なタイミングをねらっていたことに気づいた。かれは、人を動揺させる天才だ。スーザンは、懸命の努力もむなしく、頬が熱くほてるのを感じた。
 エマジーン・ブラックストーンは、一瞬、詮索するような鋭い視線をふたりに向けた。それから、平静に戻り、スーザンに声をかける。「スーザン、気分が悪いんじゃないの? 顔が赤いわよ」
「踊ったので、少し暑くなったんですわ」スーザンはすかさず答えた。気をつけなければ、コード・ブラックストーンのせいで、一夜にして世界一の大嘘つきになってしまう。
 コードは、まっすぐにブルーグリーンのソファに向かい、スーザンと並んで腰を下ろすと、プレストンとエマジーンをじろじろと見た。それから、笑顔を見せて挨拶する。「こんばんは、エマジーン叔母さん。みなさんお変わりありませんか?」
 エマジーンは、椅子の背に寄りかかり、コードの言葉に冷たく答えた。「なぜ戻ってきたの?」
「なぜ戻ってきてはいけないんです? ここはぼくの故郷ですよ、お忘れですか? 土地の一部はぼくのものです。長い年月、あちこち渡り歩いてきましたけどね。ようやくおちつこうって気になったんですよ。家以上にいいところがほかにありますか? ジュビリー・クリークのキャビンに引っ越してこようと思ってるんです」
「あのあばら屋にか」プレストンがいやしむようにいった。
 コードは肩をすくめた。「人の好みまできみの思いどおりにはならんよ。ぼくは、でかいばかりで墓場みたいに陰気な家より、あばら屋のほうが好きなんだ」にやにやして立派な調度類や、飾り棚を埋める高価な置き物、オリジナルの油絵を見回した。
 書斎とはいっても、書物はごくわずかしかなく、しかもそれらは、スーザンが不思議に思うほど、部屋の色調にあった背表紙を見せている。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。