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今は大人の恋

今は大人の恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・ウィール(Anne Weale)
 幼いころから作家を目指し、学生時代に短編が二つ、ダンディー・マガジンに掲載された。地方新聞の記者となったが二十一歳で結婚。夫の任地東南アジアで過ごした体験から長編第一作を書き、その後も一家で世界中を旅してユニークな作品を発表しつづけている。

解説

 仕事をとるか、結婚生活をとるか。それがつらい別れの理由だった。

 ■うららかな春の日差しにあふれるハイドパークを、アニーはボーイフレンドのジョンと散歩していた。突然、ジョンがアニーの手をとり、指をからませた。彼はプロポーズの言葉を口にするだろう。アニーは直感した。だめよ、わたしにはまだ心の準備ができていない……。そのとき、アニーの携帯電話が鳴った。新聞の編集者からだった。ジャーナリストとして働く彼女にとって大きな仕事が入ったという。ニースに飛び、実業界の大物とのインタビュー記事をまとめること。相手はコンピュータ・ネットワークの帝王と呼ばれ、マスコミ嫌いで知られるジョヴァンニ・カーライルだった。彼の名前にアニーは激しく心を揺さぶられる。少女の日に出会い、かつて深く愛しあったが、別れてしまった人。その彼が、アニーをわざわざ指名してきたという。なぜなの……。

抄録

「まったくそのとおりよ。自分のしたことを後悔しているわ」下唇が震えだした。
「やつがしたのはそれだけか? きみにキスしたんだろう?」
「ええ。だけど、いやな感じ……ああ、思い出しただけでむかむかする!」アニーはあわてて甲板から駆けおりた。
 バートのうがい薬を借りてうがいをしてから、洗面台の前で歯を磨いていると、鏡にヴァンの顔が映った。「大丈夫かい?」
 口のなかが歯磨き粉だらけのアニーは、ただうなずいた。
「コーヒーをいれてくる。甲板で飲もう」
 ヴァンはコーヒーと一緒にチョコレートバーを用意していた。
「耐えられないことがあったときはチョコレートを食べなさいというのがケイトの口癖なんだ」
 アニーはかろうじてかぼそい笑い声をあげた。いつも面白い発言をするヴァンのいとこに、いつか会ってみたい。彼女はチョコレートバーを二つに割り、ひとつを彼にさしだした。
「さっきのことは……偶然だったのか? きみが甲板にいたら、たまたま彼が通りかかったのか?」
「彼はゆうべ、わたしたちをつけてきたんですって。船に興味があったんだと思うわ。わたしにキスしたのは……出来心よ」
「きみと一緒にいたら、若いやつなら絶対に出来心を起こすだろうよ。こんなこと、誰も説明した者はいないだろうが、十六から|二十歳《はたち》の男は、女性に誘われたら、いや、誘われていると思うだけで、自分の欲望を抑えられなくなるものなんだ」抗議しようと口を開きかけたアニーを無視して、ヴァンは続けた。「アニー、きみはますますきれいになってきた。それに金髪は、黒髪の女性ばかりの国ではひときわ目を引く」
「そうかしら? わたしは黒髪やマディのような赤毛のほうがいいわ」
 ヴァンは芝居がかったため息をもらした。「なぜ女性は自分の美しさに満足しないんだろうな。きみみたいな髪になれるなら、一年分の給料をつぎこんでもいいと思っている女性は大勢いるに違いない」
 アニーはたちまち舞いあがった。彼はそこまでわたしを観察していたのね。「本で読んだの? それともガールフレンドからの受け売り?」
「たぶんどこかに書いてあったんだろう。金髪の女性はきみ以外に知らないから」からかうような口調だ。
「個人的に金髪は好みじゃないってこと?」
「ぼくはそういう分類の仕方はしない」ヴァンは急に真顔になった。「知っておいてもらいたいんだが、ある年齢に達した男は無難な女性に惹かれる。そういう男はみんなベッドに誘える女性を求めているんだ。それから、男にいくらか脳みそがあれば、ベッド以外の場所でも楽しい時を過ごせる人間として女性を見るようになる」
 ヴァンは半分に割ったチョコレートの包装紙をアニーから受けとり、自分の分の包装紙とともにぎゅっと丸めてポケットに突っこんだ。
「あと二、三年したら、ぼくも結婚相手を探しているだろう。そのときに惹かれるのは、髪でも脚でもない、性格だ。誰かと一緒に人生を送るなら、同じことで喜び、同じ冗談で笑い、同じ人生の目標を持っている人でなければ」
「あなたの人生の目標って何?」
「大きな目標は、ひと財産築くことだな。それを達成できる最大のチャンスは、何百万の人が買ってくれるソフトウェアを開発することだ」
「わたしは別に財産なんて欲しくないわ。シー・ドリームズ号が永久に停泊することになっても、バートが停泊料を払えて船を手放さずにすむお金さえあればいいの。バートには、大勢のお年寄りと一緒にひと部屋に押しこめられて、日がな一日テレビのスイッチをひねっているような老後は送ってほしくないもの」
「もしぼくの計画がうまくいったら援助するよ。バートはぼくにとっても大事な人だ。テオドラも含めて、ぼくたち四人は家族のようなものだから。いつでも一緒にいるわけではないけれど、ぼくたちには深いきずなができている」
 ヴァンはわたしを妹のように思っていると言いたいの? そう考えてアニーは意気消沈した。
 おそらく落胆が顔に出たのだろう。ヴァンは優しく言った。「あの若造にファーストキスを奪われたのをまだ怒っているのか?」
「どうしてあれがファーストキスだと思うのよ?」
「きみの育った環境や反応からそう思っただけだよ。学校に行ってないから、たいていの女の子のように男の子と知りあうチャンスもなかったはずだ。違うかい?」
 アニーはかぶりを振った。「経験しそこなったのがああいうことなら、かえってよかったわ」
 ヴァンは口の端にわずかに笑みを浮かべた。「いやな経験をしたからといって、嫌いだと決めつけることはないさ。キスにもいろいろあるんだから。あの若造はあまりにも性急すぎた。彼がすべきだったのは……」
 かぎられた甲板のスペースで、二人の椅子はさほど離れていなかった。ヴァンはアニーのほうに身を乗りだし、顎に手をかけて上を向かせた。
「これだよ」ヴァンはいきなり彼女の唇にかすめるようなキスをした。ほんの一瞬だったが、アニーが味わったことのないぞくぞくする体験だった。
 彼は初めて見せる表情を浮かべ、彼女の顎にそのまま手をかけていた。彼はわたしを妹のように思っているわけではないのかも。
 希望がこみあげ、衝動的にアニーは言った。「ヴァン、わたしを抱いてくれない?」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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