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家政婦の切ない契約

家政婦の切ない契約


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルイーズ・アレン(Louise Allen)
 物心ついたときから歴史に深い興味を抱いていて、八歳のときには三ページの歴史小説を書いた。地理と考古学の学位を持ち、特定の風景や場所から、小説を書くインスピレーションを得ることが多いという。とくにヴェネチアやブルゴーニュ、ギリシアの島々からはこれまでに多くのアイデアが生まれた。作品のモデルにもなる最愛の夫とベッドフォードシャーに在住している。

解説

 真摯な愛を望めないのなら、
 せめて家政婦として彼のそばに……。

 母亡き後、暴君と化した父との暮らしに耐えかね、18歳のメグは故郷を飛び出した。そして6年が経った今、英国へ帰る船代も、頼れる人もおらず、彼女は異国の波止場に立ち尽くし、途方にくれていた。ところが、偶然にも怪我をして気を失った男性を見つけ、メグは彼を介抱する代わりに、“妻”と偽って船上の人となった。やがてその男性ロスが目を覚まし、共に過ごすうち惹かれていくが、英国に到着すると、なんと彼が高貴な貴族であることがわかる。身分違いと自らを戒めるメグに、ロスが法外な話を持ちかけた。「僕の家政婦兼愛人にならないか?」

 ■ひと味違うリージェンシーで大評判のルイーズ・アレンが、厳格な牧師の家に生まれた娘をヒロインに劇的なロマンスを描きました。ヒーローを愛し始めていた彼女は、愛人という心の伴わない関係を拒み、家政婦と割り切って雇われることに決めるのですが……。

抄録

 階下で響く怒りのこもった悲鳴が聞こえなくなるまで、メグはその場に留まっていた。面白がっている間は忘れていたが、ふと現実に立ち返ったとたん膝が震え始めた。不快ではあったけれど小さな出来事にすぎなかったのに、思っていた以上に体が震えている。そのとき、デッキで足を引きずる音がして、顔を上げた。「どうなったの?」
「二人とも給仕台の皿をつかんで前を隠して歩いていたよ。だから乗客の大半は最悪の事態に直面するのを免れた。でも、もうこの船の上にいる限り、二度と人前に出ることはないだろう」ロスが近づき、彼女を見おろした。「ジョニーが、君のあとをつけるやつらの姿を見つけて、僕に教えに来てくれたんだ。大丈夫か、メグ?」
「ええ、もちろんよ」そう答えたものの、声がうわずっている。「いえ……そうでもないわね。私ったらばかみたい。ただ……」
 するとロスが足を踏み出し、彼女を抱き寄せた。やっぱり、熊に抱きしめられているみたい。そう、川の水に浸かったまま生乾きの服を着た火薬と煙のにおいのする熊に。でも驚くほど心が休まった。メグはロスの腰に腕を回してしがみつき、彼の深緑色のブロード地の上着に頬を押しつけた。爪先が彼のブーツにあたっている。最後にこんなふうに抱きしめられたのはいつだったかしら。
 彼は大柄でたくましくて、あまりにも男らしかった。彼の心地よさに彼女の女性らしい部分が当惑するほどにうずいている。
 彼はメグの頭に顎をのせていた。彼は抱きしめるのがとても上手だった。でも、それだけのことよ、きっと。でも、なんていい気持ちなの――くやしいくらいに。彼の体の温かみと力強い腕に抱かれ、メグの気持ちは揺らいでいた。身の危険を免れた安堵感というよりは、むしろ、あまりに男らしい男性に抱かれているという事実に。
 離れなければ。彼の気持ちが同じ道を走り始める前に。メグは身をよじらせ、彼の胸に向かってつぶやいた。「もう大丈夫よ、ありがとう」
「ほう?」ロスが少しだけ腕を広げたので、メグは上を見あげた。カンテラの明かりが揺れて彼の表情がよく見えない。メグは目を細めた。このポーズが、あるいはその一瞬の間が誘い水になるとは夢にも思わなかった――彼がかがんでキスをしてくるまでは。
 満足感を与えてくれるキスだった。そして思いがけないキスでもあった。ロス自身もこの状況に驚いていることがぼんやりとわかったからだった。メグが彼の首に腕を回してキスを返すと、彼もようやく自分を取り戻し、キスに集中し始めた。
 その瞬間、重ねられた口の動きが繊細になり、親密さが増した。大胆さが増し、メグには耐えられないほど刺激的だった。混乱していたときの彼のほうがよかった。それにこんなキスには慣れていない。「だめよ」メグは身を引いた。「ロス、こんなことをしてはいけないわ」
 拒絶されたとわかっても、ロスはすぐに彼女を放そうとはしなかったが、彼女を支えられる程度には腕をゆるめた。「だめ?」
 答えられなかった。今この瞬間だけは、悩みを抱えた初対面も同然の男性と寝台に倒れこむことがなぜ理性的ではないのか、思い出すことが難しかった。そのとき船が揺れ、メグは再び彼の腕の中に倒れこみ、両手が彼の顔を縁取るふさふさした髪の中に入りこんだ。ああ、この親密さといい、熱っぽさといい、なんていいのかしら。
 今度はロスが止めた。「下へおりよう」ロスは彼女の手首をしっかりとつかんだまま、梯子へ向かって歩き始めた。不安と興奮を同じくらい心に抱えたまま、メグは彼のなすがままになっていた。
 共同の大広間に二人が現れたとたん、二人を歓迎する声があがった。少し前にロスが提供したスキャンダラスな話題に、乗客たちはまだわき返っていたようだ。
「ミセス・ブランドン!」何気なく振り返ったとたん、そう呼ばれることにすっかり慣れていることに気づいた。声をかけてきたのは夕食のときに隣に座っていた大柄な女性だった。「先ほどのあまりに不埒な光景をごらんになった? 男性が二人、すっ――いえ、生まれたままの姿で歩いていたのを!」
「まあ、お酒に酔っていらしたのでしょうね」
「あるいは、頭がおかしくなったかよ」女性が低い声で言った。「まあ、こちらが噂のブランドン少佐ですのね。勇敢にも川に落ちたホセ坊やを救いあげた方。坊やのお母様からすべて聞きましたわ。お具合はいかが、少佐?」
「だいぶ回復いたしました」ロスは硬い口調で答えた。「申し訳ありませんが、失礼させていただきます――」ロスはメグをつれて大広間を抜けると、彼女の腕に手を置いたまま船室へと向かった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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