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終われないふたり

終われないふたり


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 何が目的なの? 突然の怪電話、脅迫にジュリアーナは恐怖のどん底にあった。司会を務めるトークショーに出演したテキサス州知事選候補者の女性スポークスマンの毒殺事件以来、生活は一変してしまった。いや、わたしが最も恐れているのは、彼かもしれない。長年避けつづけてきた元夫、テキサス・レンジャーのゲイツが捜査に介入したのだ。愛と陰謀が交錯するロマンティック・サスペンス。事件の真相を追うふたりに突きつけられる真実とは……。

抄録

「そこそこはね。でも親友だったのかという意味なら、答えはノーだわ」
「彼女がここに住んでいたとなると、やはり関連が疑われるな」
 会話の向かっている方向がいやで、ジュリアーナは立ちあがるとかたい口調で言った。「それはどうかしら」
「この状況ではすべてを疑ってかかったほうがいい。もしこの事件の担当だったら、ぼくは――」
「でも、現実にはあなたの担当ではないんでしょ?」ゲイツが黙りこんでしまったので、さらに追いうちをかける。「ここにいる権利さえないんだわ」
 ゲイツは無言のまま立ちあがり、テラスの端に置かれたベンチのほうに移動すると、片足をのせた。どこか遠くを見つめている。わたしの言わんとすることが伝わったのだ、とジュリアーナは思った。彼はやたらにリーダーシップをとりたがるけど、彼の質問に答える義務はないのだ。いまも、いままでも。
「ぼくと別れたあと、どうしていた?」
 その言葉のあとには完璧な静寂が続いた。鳥さえも歌うのをやめてしまったようだった。ジュリアーナは胸のざわめきをなんとか無視しようとした。
 ゲイツがふりむき、再び黒い穴と化した目で彼女を見た。
「やめて、ゲイツ。昔の話なんかしたくないわ」
「質問に答えてくれよ」
「どう答えたらいいのか、わからないのよ」
「いや、わかっているはずだ。ひとりになってから、どんな暮らしをしてきたんだ?」
「昼も夜も働くという暮らしよ」
「そんな必要はなかったのに。ぼくには援助する意思が十分すぎるほどあった」
「あなたの援助なんか受けたくなかった」
「それは小切手を送りかえされたときにはっきりわかったよ」
「あなたのお金なんて必要なかったのよ」ジュリアーナはとげとげしい口調になった。「モデルをやったり化粧品の宣伝をしたりして、生活費を稼いだわ」傲然と頭をそらす。「もしそのことで良心が痛むんなら、どうぞご心配なく」
「あの金はいまもきみ名義の口座に入っている」
 胸の底から不意に激しい怒りが突きあげてきて、抑えようにも抑えきれなくなった。「お金! 誰がお金のことなんか問題にしているの? わたしにとってはどうでもいいことだわ。だけど、あなたたち一族はどんな問題でもお金で解決できると思っている。言っておききますけど、あなたの裏切りはお金で償いきれるようなものじゃなかったのよ」
「裏切り!」
 ゲイツは長い脚を二歩進めて彼女の前に立った。「ぼくは一度たりともきみを裏切ったことはない!」小鼻をふくらませてどなる。「だが、きみのほうは……」そこで言葉をのみこんだ。
「先を続けて!」ジュリアーナはぴしゃりと言った。「言いかけたことは最後まで言いなさいよ」
「昔のことを蒸しかえすつもりはなかったんだ」
「ええ、そうでしょうとも」声がかぼそくなり、心がほつれていくのが自分でわかった。もう彼を追いはらわなくては。古傷をつつくのをやめさせなくては。こういう痛みはお互いいやというほど味わってきたのだ。「いまさらあなたに釈明する義理なんかないわ」ようやく口を開いたときには、しっかりした声に戻っていた。「もう帰ってちょうだい」
「いやだ」
「あなたにいられると迷惑なのよ」
「きみが行くなと言ったんだろう?」
「あれは大きな間違いだったわ」
「犯人がここまで家の中をかきまわしながら何も盗っていかなかったのはなぜなのか、ちょっとは気にしたらどうだ?」
 ジュリアーナは内心とは裏腹に、しいて無関心を装った。「盗るものがないから、頭にきてめちゃくちゃにしていったんじゃないの」
「違うね。犯人は何かを探していたんだ。そしてそれが見つからなかったとすれば、またやってくるはずだ」
「さすがは警官ね」彼女の口調は皮肉たっぷりだった。
「おい、ジュリアーナ。甘く見たらとんでもないことになるぞ」
 彼女は口にかかったほつれ毛を手ではらった。「甘く見てはいないけど、どっちにしろ大きなお世話だわ」
「きみをひとりにはしておけない。どこかよそに泊まるか――」
「いやよ!」
「それじゃ私服警官に張りこみをかねて警護させる」
「それもお断りだわ」
「そうはいかない」
「警報装置をつけるわ」
「無駄だな。あんなものは雄豚の乳首ほどの役にも立たない」
「わたしが決めることよ」
「強情を張るな!」
「あなたこそおせっかいはやめて!」
 お互い大声で叫んでいたが、そんなことには構っていられなかった。ジュリアーナはただただゲイツに出ていってもらいたかった。
「なぜこんなことをするの?」こめかみにずきずきと痛みを感じながら言った。「わたしにはあなたの指示に従う義務なんかないのよ。あなたは――」
 そのとき彼女の潜在意識が最も恐れていたことが起こった。ゲイツが手を伸ばしてきたのだ。いきなり彼女を抱き寄せ、次の瞬間には脚が触れあった。
 痛みを感じるほどの熱さ。
 かつての熱が、いまもしっかりと二人をとらえた。
 ゲイツの唇が襲いかかってきた。二つの唇が思いがけない激しさで互いを貪り、もうジュリアーナにもとめられなかった。両手の指をゲイツの肩に食いこませ、彼と同じくらいの飢餓感をもってやみくもに唇を吸う。
「くそっ」ゲイツがつぶやき、ようやく体を引いた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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