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裸足の伯爵夫人

裸足の伯爵夫人


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 「デュア卿、私と結婚してください」デュア伯爵サイモン・ウェストポートは面食らった。結婚するなら物わかりのいい大人の女性が望ましい。しかし目の前に突然現れた見知らぬ美女は、社交界デビューもそこそこの世間知らずな令嬢だ。サイモンは即座に断ろうとしたが、頬を赤く染めたチャリティ・エマーソンが懸命に語る“便宜結婚のメリット”に、つい耳を傾けていた。全米屈指のベストセラー作家が贈る、キュートでセクシーなヒストリカル・ロマンス。

抄録

 サイモンは、一瞬、あっけにとられてチャリティをただ見下ろしていた。腕だけは反射的に、突然ぐったりしたチャリティの体を支える。それから自責の念が襲ってきた。
「これは大変だ……チャリティ……わたしはなんてことをしてしまったんだろう」
 チャリティを抱き上げてソファに寝かせ、頭の下に小さなクッションをあてがった。かたわらにひざまずき、チャリティの手首をそっとさすりながら、サイモンは青ざめた顔をじっと見つめた。
「チャリティ、お願いだから……」チャリティの手の甲に唇を当て、手首をさすりつづける。「目を覚ましてくれないか。悪かった。きみに強要するつもりなんかなかったんだ。わたしをなじるきみがあんまりきれいなもので……いや、そんなことは言い訳にならない。わたしがごろつきみたいな振る舞いをしたからいけなかった」
 まぶたをぱちぱちさせてチャリティが目を開け、サイモンをぼんやり見た。サイモンは安堵のため息をもらした。
「ああ、よかった。あの男とあなたが踊っているのを目にしたとたんに、かっとなってしまったんだ。こんなにも若くて純真なあなたは、ああいう男に何をされるか、まったくわかっていない。そうであっても、あんなふうに無理やりダンスフロアから連れ出したりしたのは悪かった。謝るよ。しかもそのうえ、わたしまであなたに乱暴な真似を……」サイモンは脇を向いて、歯を食いしばった。「ふだんはもっと自制できるんだが。約束する、二度とこんなことはしないと」
 チャリティはくすっと笑った。「絶対にしないのね、デュア卿?」
 サイモンがぱっと向き直って、笑みを浮かべているチャリティを見た。「あなたは……もう怒っていないんだね?」
「もちろん怒ってるわ」とは言うものの、チャリティの目は依然としてほほえんでいる。「あなたはどうしようもない方――野蛮で高圧的で、根っからの暴君よ。そういうだんな様はわたくしの好みではないの」
「そういう夫はわたしの好みでもないよ。分別が足りなくて、軽率だった」サイモンはチャリティの額を撫でた。薔薇のはなびらみたいに柔らかな感触に胸をつかれた。「気を失わせたりしてすまなかった。いつもはご婦人に対してこんなに手荒で不器用じゃないんだよ」
 チャリティの頬にいたずらっぽいえくぼが浮かんだ。「気を失ったのは、あなたが手荒だったからではないの。つまりその……それだけとも言えないということ」
「どういう意味なのかな?」
「息ができなかったのが直接の原因なの。きつく抱きしめられていたのと、踊ったすぐあとで息切れがしていたせいもあるわ。そのうえ怒って、息もできないほどあなたを責めてたでしょう。それで気が遠くなっちゃったの」
 サイモンは驚いたように片方の眉をつり上げた。「怒って早口になったから失神したというのか?」
「いえ、そうではなくて」チャリティはため息をついた。「こんなお行儀の悪いことを言ったら母にさぞ叱られるでしょうけれど、実は、コルセットがきつすぎて呼吸ができなかったの」
「なんだって?」
「コルセットをあまりにきつく締めすぎたものだから。わたくし、こういう舞踏会にふさわしいドレスを持っていないので、姉から借りたんです。ところが、姉はわたくしよりもやせているでしょう。だから、コルセットをぎゅっと締めてようやく姉のドレスを着られたというわけです」
 サイモンの視線がさまよい出して、布地がはち切れてドレスから飛び出しそうなチャリティの胸にとまった。「なるほど」
 サイモンは、にわかにのどがからからに渇くのを感じた。さらに視線を移して、チャリティのウエストを眺めた。極端に細い。手を当てると、サテンの生地を通してコルセットの固さが指に伝わった。
「あなたの体がこんなに痛めつけられていると思うと我慢できない」サイモンの声音は微妙に低く、瞳の深い緑が色合いを増している。チャリティはぞくっとした。「あなたは十分に美しいんだから、息ができなくなるほど締めつけて子どもみたいなウエストにする必要はないんだよ。これからはコルセットをつけるのをよしなさい」
 そのままサイモンは手をゆっくり動かした。サテン地はすべすべして冷たい。自分の口から妙な声がもれたのに、チャリティは気がついた。同時に不思議な感覚が体を貫いた。こんなふうに触られるのを許してはいけない。頭ではわかっていても、あまりにも心地よくて、やめてとは言い出せなかった。またもやサイモンに命令されていることさえ意識できなかった。
 のぼせ気味の声で答えるのがやっとだった。「簡単にそうおっしゃるけれど、コルセットをつけなければドレスが破けてしまいますわ」
 サイモンの手は上の方に移動して、胸の下半分をかすめる。「わたしの目には」サイモンは独り言のようにつぶやいた。「あなたが今にもこのドレスからはじけ出てきそうに見えるけれど」
 ブランデーのように温かくてとろりとしたサイモンの声音がなんとも快く、チャリティは目をつぶった。「デュア卿」
 ほんのり頬を染めてささやくチャリティから、サイモンは視線を離せなかった。目は閉じられ、ふっくらした唇は濡れている。恍惚の表情を認めると、サイモンの欲情はいっそう刺激された。試しに片方の胸に手を当ててみた。口を丸く開けたチャリティの顔に興奮の色が走る。
「あなたとわたしはこんなに親しいんだから、堅苦しい呼び方ではなく、名前で呼んでほしいな」
 チャリティはかすかに声に出した。「サイモン」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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