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裏切られた花嫁

裏切られた花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンゼイ・アームストロング(Lindsay Armstrong)
 南アフリカ生まれ。現在はニュージーランド生まれの夫と五人の子供たちとともに、オーストラリアで暮らす。オーストラリアのほとんどの州に住んだことがあり、農場経営や馬の調教など、普通では経験できない職業を経てきた。彼女の作品にはその体験が大いに生かされている。

解説

 ケイティは結婚してわずか二日後に夫ロブのもとを去った。純潔を捧げた彼女と結婚するしかなかったと、夫が身内に打ち明けているのを聞いてしまったのだ。愛されて結婚したと思っていたのに、そうではなかった……。一年半がたち、悲しみの深淵からようやく這い上がったころ、ケイティはケアンズの空港で偶然ロブに再会する。彼女の体に衝撃が走った。わたしは彼を少しも忘れてはいない。「また逃げ出すようなばかなまねはしないだろうね?」問いかけるロブの目には、失った妻をどんなことをしてでも取り戻すという決意が表れていた。

抄録

「ケイティ、驚いたな。ぼくのもとへ戻る気になったのか?」
 ケイティは何度か喉をごくりとさせてから、手を胸に当てた。「ロ、ロブ、どうしてここにいるの?わたしは従姉を待っているんだけど……」言葉につまり、ふたたび青ざめた。
「何か飲んだほうがよさそうだな」ロブはケイティの腕をとり、バーに向かった。
「いいの……その……」
「ばかな。今にも気絶しそうじゃないか」
 鉢植えの椰子《やし》の木陰に人目につかないテーブルを見つけて、ロブはケイティを椅子に座らせ、飲み物を注文しにバーへ行った。
 喉に手を当て、これ以上ないほど混乱した気持ちを抱えたまま、ケイティは歩いていく彼を見守った。一年半前、彼女はロブ・レスターのもとから逃げだしたのだった。彼を深く愛するようになったあと、彼女に対する彼の気持ちを完全に誤解していたと気づいたから。ケイティは身を切られるような思いにかられ、絶望と悲しみのどん底に追いやられた。
 どうしてあそこまで彼に夢中になったのかと、何度となく自問したものだ。今になればわかるけれど、なぜあのとき、小さな兆候の数々に気づかなかったのかしら?体の関係だけが目的で、愛することなど毛頭考えていない男性だと。
 ケイティはやっとの思いで悲しみの深淵《しんえん》から這《は》いあがり、過去のこととして清算した。マリオンの花嫁付き添いになってほしいという頼みを聞き入れてケアンズに戻ってきたのも、心の整理がついたからだ。しかし、こうしてロブ・レスターを見つめて呆然《ぼうぜん》とする自分の反応は、いまだに彼を忘れていない事実を物語っている。
 彼をひと目見ただけですっかり動揺している点から考えても、彼女は表面をとりつくろったにすぎない。
 グラスを二つ持ってロブがテーブルに戻ってこようとしたとき、五十代くらいの男性が彼の腕を軽く叩《たた》いた。ロブはグラスをバーに置き、その男性と握手をした。二人はそのまま立ち話をしている。相手の男性の言葉にロブが笑い声をあげるのを聞いて、ケイティは息をのんだ。
 ロブ・レスターが気難しく、理解しがたい男性なのは疑う余地がない。だが、彼を充分理解していると信じている人にとっては気楽な一面があり、ケイティもそこに惹《ひ》かれたのだった。ほんの一瞬でも彼の笑顔を目にしたせいで、彼のそんな面が危険なまでに思い出された。
 ロブと愛を交わした記憶がいきなり鮮明によみがえり、ケイティの脈が速くなった。熱いものが体を貫き、味気ない月日が一気に押し流された。まるで実際に彼にキスを浴びせられ、愛撫《あいぶ》されて身もだえしているような感覚にとらわれる。
 彼はブランデーの入ったグラスをテーブルに置いて椅子を引いた。
「今のは誰?」ケイティはとり乱した気持ちをごまかそうとして尋ねた。
「父の友人だよ。さあ」ロブはグラスのひとつを彼女に勧めた。「飲んだほうがよさそうな顔色をしているよ」
 ケイティはありがたくブランデーを口にし、次の瞬間、咳《せ》きこんだ。ストレートだったので涙目になったが、おかげで気持ちが落ち着いた。
「ごめんなさい。こんなふうにあなたと出会うなんて、ちょっとショックだったものだから」手の甲で目元をぬぐう。
 ロブは椅子にもたれて彼女を観察した。「ぼくに会いたくなかったら、この地方は避けるんじゃないのかい?」
「従妹の結婚式に出席するだけよ」そこで間をおき、すばやく思い起こした。「従姉のマリオンのことは話したかしら?彼女はボーイフレンドと一緒に長いあいだワーキングホリデイで海外にいたから、わたしたちが……その……」
「彼女のことは、話のついでに聞いた覚えがある程度だ」
「そうだったわね。彼女の両親が亡くなったとき一緒に住んでいた時期があって、わたしたち、とても仲がいいの。彼女はずっと海外で暮らしていたんだけど、今度ボーイフレンドのデレクと帰国して、二週間後に結婚するのよ。わたしは花嫁の付き添いを頼まれて」
「知っている」
 ケイティは目をしばたたいた。「え?その、どうして?」
「きみが花嫁の付き添いなのは知っている」
「いったいどうして……」ケイティはまじまじと彼を見つめた。
 ロブの口元がねじれた。「なんの因果か、ぼくは花婿の付き添いなんだ」
「まあ……デレク・ハンディを知っているの?」目が大きくなった。「マリオンも?」
「マリオンにはまだ会っていないけど、デレクとは寄宿学校で一緒だった」
 ケイティはブランデーグラスに手を伸ばし、もうひと口飲んだ。今度もまた燃えるように喉を刺激したが、声帯が麻痺《まひ》して何度か口をぱくぱくさせることしかできなかった。
 ロブ・レスターが愉快そうに眺めている。「ぼくは花婿付き添いとしてふさわしくないと思っているんだろう?」
「そうじゃないわ。わからないけど」
「あるいは」ロブは探るように目を細め、静かに続けた。「どうしてこんなことになったんだろうとでも思っているのか?」
 ケイティは息が苦しくなり、正直に答えるしかなかった。「ええ」
 彼女を見つめているうちに、ロブ・レスターは、最後にケイティを抱いたときの光景をあざやかに思い出した。たしかに変わっていない点もある。ほっそりした金色に輝く体、豊かな黒髪。だが、悩ましいほど彼に気をもませたのは、笑っているときでも、空想にふけっているときでも、満足しているときでも魅力的なそのラベンダー色の瞳だった。
「ついでにぼくを訪ねようと思って、ケアンズに戻ってきたわけじゃないんだな?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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