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仮面伯爵、愛を忍ぶ

仮面伯爵、愛を忍ぶ


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆2
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 社交界の名花といわれる伯爵夫人レイチェルは、魅力的な笑みの陰に人知れぬ悩みを抱えていた。誰もが羨む理想の夫マイケルと結婚してから7年がたつが、そこに愛はなく、ベッドをともにしたことがないのだ。マイケルは常に礼儀正しく思いやりがあり、ロンドンで何不自由ない生活を送らせてくれる一方、絶えず距離を置き、ひとり領地で過ごすことを好む。彼が何を考えているのかわからないながらも、レイチェルは夫に愛される日を夢見ていた。そんな折り目正しいふたりの生活は、ある日レイチェルが追いはぎに襲われて一変し……。

抄録

 ふたりの結婚式は、ウェスサンプトンにある、絵のように美しいノルマンディー様式の教会で挙げられることになっていた。歴代のウェスサンプトン伯爵は、誰も思い出せないほど昔からこの村の教会で式を挙げてきたのだ。ウェスサンプトン邸にはふたりの結婚を祝うために訪れた友人や家族があふれ、村の宿屋や、親切にも客の一部を引き受けてくれた隣人のエドワード・モレトン卿の館にも何組か滞在していた。
 マイケルは喜びにあふれていた。こんなに幸せだったことは、なかったくらいだ。この三カ月のあいだに、レイチェルは自分に好意を持ち始めたようだった。正式に婚約が整うと、ふたりはそれまでよりずっと多くの時間を、ふたりだけに近い形で過ごせるようになった。もちろん、マイケルが訪れたときには、レイチェルの母か姉がいつも一緒だったが、ときどきどちらもさりげなく彼とレイチェルから離れて座り、ふたりが少しは自由に話せる機会を作ってくれた。舞踏会では噂の種になる心配をせずに、何度も彼女と踊れるようになった。
 レイチェルがしだいに打ち解けてくるのを感じて、マイケルの希望はふくらんだ。結婚式という一大行事が終わり、ふたりだけで過ごすようになれば、おそらく彼女の愛を勝ち取れるだろう。その日はもう目前に迫っている。
 式の二日前、マイケルは友人たちの歌や歓談を楽しんだあと、つかの間ふたりきりになれる期待に胸を弾ませながら、レイチェルの手を取って音楽室をあとにした。式の夜に、いきなり彼女を抱くつもりはない。まだほとんど彼のことを知らない若い女性にとっては、それはあまりに荷が重い。どんなにレイチェルが欲しくても、時間をかけて信頼を築き、徐々に彼女を情熱に目覚めさせていくとしよう。決して女性を苦しめることはしないと、ずっと昔にそう誓ったのだ。まして愛するレイチェルに苦痛や恐怖を与えるのは耐えがたい。
 だが、式が終わり、付き添いなしでレイチェルとふたりきりで好きなことを話し、好きなだけ笑えるときが待ちどおしかった。もうすぐ彼女とおたがいに知り合い、いつでも好きなときにキスし、抱きしめられるのだ。彼女の手を取っても目を光らせている者がおらず、噂になることもないのは、なんとすばらしいことか。
 今夜のレイチェルは、いつもより静かだった。彼女を見下ろすと、少し青ざめている。おそらく結婚式が近づき、神経質になっているのだろう。
 誰もいない、暗い温室の前を通りすぎるとき、まもなく花嫁になる女性の気持ちを少しでも楽にしてあげたいと、マイケルは急に思いついてレイチェルの腕を取り、さっとなかに引き入れた。レイチェルは驚いて目をみはり、彼を見上げた。
「どうしたの?」彼女はささやいた。
 マイケルは笑顔で彼女を見下ろした。「怖がる必要はないんだよ」
「なんですって?」レイチェルは彼を見つめ、奇妙な笑い声をあげた。「どういう意味? 何を怖がるの?」
「さあ。結婚式を、かな? 滞りなく終わるとも。誰でもなんとか終わらせるものだ」
「ああ……そのこと。ええ、そうでしょうね」レイチェルはかすかな笑みを浮かべた。「少し神経質になっているんだと思うわ」
「心配はいらない。ぼくがそばにいる。気を失いそうになったら、ぼくの腕に指を食いこませるといい。抱きあげてあげるよ」
「わかったわ」
 レイチェルは涙ぐんだように見えたが、さりげなく横を向いてしまった。そして再び彼を見上げたときには、その目は乾いていた。マイケルはレイチェルの顎に手を当て、彼女を見つめた。
「ぼくを信頼してくれるね?」彼は低い声で尋ねた。「どうか、信じてほしい。ぼくは決してきみを傷つけたりしない。約束するとも」
「ああ、マイケル……」レイチェルはかすれた声でつぶやき、片手でマイケルの手をぎゅっとつかんだ。「わたしは……あなたにはふさわしくないわ」
 マイケルはほほえんだ。「きみはどんな相手にもふさわしい人だ」
 こみあげる愛しさに圧倒され、彼は吸い寄せられるように唇を重ねていた。温かく、柔らかい唇が、耐えがたいほどの歓びを仄めかす。いますぐレイチェルが欲しかった。熱い血が耳のなかでどくどく打ち、血管を走る。レイチェルの柔らかい体が自分の腕のなかに溶け、ふっくらした唇が情熱的に開くところを思うと、理性が吹き飛びそうになる。
 そして気がつくと彼女を引き寄せていた。キスが深くなり、熱い欲望が体を貫く。彼は愛しい女性を自分に押しつけ、その柔らかさがもたらす快感に震えた。愛らしい唇をむさぼり、何カ月も夢見た甘さを味わいながら、これから訪れる日々を思った。妻となったレイチェルに官能の歓びを手ほどきし、この体を手と口でくまなく味わいながら、ふたりがおたがいにもたらすことのできる歓びを教えるのだ。そのときのことを思うと、焼けるような欲望が体を貫いた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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