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君はぜったい僕のもの

君はぜったい僕のもの


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ラス・スモール(Lass Small)
 セクシーで軽妙な作風が持ち味の、ディザイアを代表する作家。さまざまな人や場所、出来事について語ることが無上の喜びだという。今、この地球に生きていることはすばらしい体験で、人間とは驚くべき存在だと思う気持ちを胸に、作家活動を続けてきた。

解説

 生真面目な大学院生スーザン・リーは、ボランティアとして働く病院で、トム・ブラウンに出会った。ハンサムで人懐っこい彼は、女性に不自由していなさそうな、成功をおさめたプロのカメラマン。どういうわけかトムはスーザン・リーに興味を持ったらしく、初対面から、直球すぎるアプローチを仕掛けてきた! 恋愛経験の乏しいスーザン・リーは戸惑い、どぎまぎしながら、胸の高鳴りをなんとか抑えようとした――トムみたいな男性が本気のはずはないのだから、と。

抄録

 ダンス会場を離れるとき、トムは意識してほとんど誰にも挨拶をしなかった。スーザン・リーはそんなトムのようすに気づいていた。トムはまっすぐにスーザン・リーを送っていくつもりはなかったから、できれば誰にも会場を出た時間を知られたくなかったのだ。それに、誰かが二人のあとを追ってこないとも限らない。
 トムはスーザン・リーのウエストに手をまわし、人込みをかき分けて出口に向かった。てのひらに、汗で湿ったドレスの感触がなんともいえず心地よい。それでも、会場から外に出たとたん、トムはジャケットを脱いで彼女に着せてから、車に乗りこんだ。スーザン・リーを凍えさせるわけにはいかないのだ。
 トムは駐車場から車を出した。が、もちろん、まっすぐにスーザン・リーの家に向かうつもりはなかった。トムは悩ましげなサキソフォンの音楽を流し、黙りこくっていた。それでも、視線はちらちらとスーザン・リーの姿をとらえている。彼女は快い疲労感に身をゆだね、ぐったりと背もたれに体をあずけていた。
 なんてすてきな女性なんだ。
 しばらくして、スーザン・リーが口を開いた。「この車、どこへ向かっているの?」
「どうしてそんなことを言うんだい?」
「だって、ミスター・フレデリックの家のフェンスが見えているもの。彼の家のフェンスには、二重に鉄条網が張ってあるのよ」
「なぜだろう?」
「あの人、変わっているからよ」
 トムはアクセルから足を離し、徐々にブレーキをかけて道端に車をとめた。
「どうしたの?」
「君にキスをするからとめたのさ。どきどきしながら運転はできないからね」
「あら、だめよ」
「だめって、両方いっぺんにやれっていうのかい? そんなことをしたら事故を起こして、冷たくなった僕の遺体を始末するはめになるよ」
「あなたって変わっているわ」
「僕はごくありきたりな人間さ。変わっているのは、君たちテキサス人だよ。さあ、準備はいいかい? キスするよ」
「そんなの、だめよ」
「なぜ?」
「まだ早すぎるわ。私たち、知り合ってから……」スーザン・リーは身をのり出すようにしてダッシュボードの明かりに近づき、腕時計を見た。「まだ九時間ぐらいしかたっていないもの。よく知りもしない女性とキスするのはよくないわ」
「君はほんとうに変わっているな。しかも、男性にあたえる影響が大きすぎる。だから、僕は政府からの命令で、君を調査に来たんだよ」スーザン・リーがぶつぶつ言っている間に、トムは五回ほど深呼吸した。それから手早く自分とスーザン・リーのシートベルトをはずした。そして、両手を彼女のわきの下に差し入れ、ぐいと体を持ちあげるようにして引き寄せ、キスをした。
 それは、息をのむほど刺激的なキスだった。
 二人は今までに味わったことのないスリルを分かち合い、ぶるっと全身をふるわせた。耳の奥で、なにかがごうごうと音をたてて渦巻いている。
 スーザン・リーは力が抜けたようにやわらかくなり、トムの全身は鋼のように硬く張りつめていた。トムがゆっくりと顔を上げ、二人の唇が離れたその瞬間、かすかな湿った音がした。その音は、トムの……そしてスーザン・リーの欲望をかき乱した。なにもかもが、しびれるような刺激に満ちていた。
 二人は身じろぎもせず、大きく肩で息をしながら座っていた。そのとき、近くで鳥のさえずりが聞こえ、トムが絞り出すような声で言った。「ほら、聞こえるかい?」
 スーザン・リーは返事ができなかった。
 トムが声をひそめて言った。「マネシツグミが鳴いているよ」
 目を閉じたまま、スーザン・リーは必死で声を振り絞った。「珍しいことじゃないわ」
「さっきまで、あんなに静かだったのに」
「車の窓を開けて走っていたから、風の音で聞こえなかったのよ」
 トムはとがめるように眉根を寄せ、スーザン・リーを見た。「初めてキスをしたばかりなのに、よくそんなに論理的にしゃべれるね、君は」
 目をつぶったまま青い顔をして力なく座席に体を沈めたまま、スーザン・リーがつぶやいた。「だって、なんでもないんだもの」
 そんなことを言われておとなしくしているトムではない。トムはもう一度スーザン・リーを抱き寄せ、キスをした。
 さっきと同じように、官能的な湿った音をたてて二人の唇が離れると、スーザン・リーは両手の指先を髪に差し入れ、なんでもないふりをして髪をかきあげた。そして、まだ目を閉じたままトムに顔を向けて、つぶやいた。「送ってくれてありがとう」
 トムはとびあがるほどうれしかった。彼は唇をなめ、スーザン・リーがハンドバッグをつかむところをいたずらっぽい目でじっと見つめていた。彼女はさらに車のドアの方を向き、ふるえる手で取っ手をつかんだ。「さようなら」
「まだだよ」トムは声をかけた。
「まだって……なにが?」
「まだ君のうちには着いていない。僕は、君のうちに着いたら、もう一度キスをしてもらうつもりなんだから」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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