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和書>小説・ノンフィクション>恋愛小説>ロマンス小説

著者プロフィール
キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。
新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。
解説
社交界で縁結びの達人としてひそかに知られるフランチェスカは、ラドバーン伯爵ギデオンの親戚から伯爵の花嫁探しを頼まれた。わずか4歳のときに誘拐され行方不明になっていたギデオンは、つい最近、27年ぶりに見つかった噂の人物だ。爵位も財産もある立派な花婿候補だが、貴族の枠にはまらない性格が災いして難航しているらしい。そんな彼が意外にも、勝ち気な性格で紳士を寄せつけない令嬢アイリーンを花嫁候補リストに加えるよう言ってきた。フランチェスカが期待を寄せて紹介したものの、二人は早々に口論になって……。
抄録
冗談のような軽い調子にもかかわらず、ギデオンの目にも彼の言葉にも苦い怒りがこもっていた。どうやら彼は、つい最近見つかったばかりの家族があまり好きではないらしい。あるいは、貴族のすべてを毛嫌いしているのかもしれない。アイリーンには、彼の気持ちが少しはわかるような気がした。彼女もまた、率直な態度と辛辣な物言いが災いして、長いあいだ家族も含めて多くの貴族たちに、嫌悪とは言わぬまでも軽蔑の目で見られてきたのだ。
「そこで、彼らは良家の娘をぼくに押しつけて、こうした欠点を補おうという計画をひねりだした。妻の導きでぼくがもっと伯爵という称号にふさわしい行動をとるようになってくれれば、それが無理でも、せめて妻がぼくの不適切な部分を多少とも隠してくれれば、とね」
「あなたは成人した男性ですもの。誰も結婚を強要することはできないわ」アイリーンは指摘した。
ギデオンは顔をしかめた。「ああ。だが、ぼくの顔を見るたびに、くどくどとこの件を話しつづけることはできる」
つい笑みがこぼれ、アイリーンはあわてて隠した。そういう絶えまない叱責がどれほど苛々するものかも、彼女にはよくわかっている。
ギデオンは肩をすくめた。「だが、結婚して、跡継ぎをつくるのが自分の義務だということは、ぼくも承知しているんだ。いまはねつけたとしても、いつかはそうせざるを得ない。いっそ家族への面あてに、オペラの踊り子とでも結婚してやろうかと思ったんだが、そんなことをしたら、その女性にもぼくと同じ思いを味わわせることになる。それに子供たちが噂の種にされ、後ろ指をさされて、のけ者にされるのはかわいそうだ。だから、適切な女性を妻にする必要があるという家族の主張に同意した。きみはまだ結婚していないし、婚約もしていない。そして大伯母の話では、きみの家族はじゅうぶんにふさわしい。レディ・ホーストンはどうやらレディ・ペンキュリーの願いを入れて、この件に尽力してくれることになった。だから彼女にきみも候補者に加えてもらいたいと頼んだんだ」
アイリーンはあんぐり口を開けて彼を見た。あまりに驚いて、つかのま声を出すこともできなかった。「わたしが昔あなたを銃で脅したから、わたしと結婚してもいいと思っているの?」彼女は気づいたときにはそう口走っていた。
「これまでぼくが引きあわされた娘たちよりは、まだ退屈せずにすみそうだからな。何を言ってもにこにこ笑っているだけの娘たちには、もううんざりだ」彼は小さな笑みを浮かべながら答えた。
まだ驚きがおさまらず、アイリーンはさらに少しのあいだ彼を見つめていたが、やがて背筋をぴんと伸ばし、怒りに目をきらめかせた。「いまの言葉にはあまりにもたくさんの侮辱が含まれていて、どこから反論しはじめたらいいかわからないくらいよ」
ギデオンは少し顔をこわばらせ、脅すように低い声で言った。「ぼくと結婚するのが侮辱だって?」
「あなたが花嫁のリストに“候補者”として“載せる”と決めてくれたのを、わたしはありがたく思うべきなの? ほかの未婚の女性たちよりも、多少は退屈しないという理由で、まるで雌馬を買うように、ほかの女性たちのなかからわたしを選びだしたことを名誉に思うべきなの?」
ギデオンの口もとがこわばった。「そんな意味で言ったわけじゃない。妻を買う気はないよ。これは実際的な取り決めだ。きみの益にもなる。愛に関してロマンチックな空想を持つ年は、もう過ぎていると思ったが」
「信じてちょうだい。わたしはそういう空想を持つほど若かったことは一度もないわ」うねるようにこみあげる怒りでわれを忘れ、アイリーンは鋭く言い返した。
脇に垂らした手をぎゅっと握りしめ、彼をにらみつけて一歩前に出た。ギデオンの落ち着き払った顔が、激しい怒りよりもいっそう腹立たしい。
「わたしが結婚をあせっているオールドミスで、男の導きがなければ生きていけない女だから、このチャンスには喜んで飛びつくとでも思ったの?」
「きみは成熟した理性的な女性だから、この取り決めが双方に利益をもたらすことを理解できると思ったのさ」彼は言い返した。「どうやら、見込み違いだったようだ」
「ええ。それは明らかね。あなたはわたしが“適切”だとみなすかもしれない。でも、あなたはこれっぽっちもわたしにふさわしい相手ではないわ!」
この言葉に、ギデオンの目が怒りを放った。つい夢中になって言いすぎたかもしれない。アイリーンはちらりとそう思ったが、いまさら引きさがることはできない。目の前にのしかかるように立っているこの無礼者に、怖じ気づいたと思われるなんて死んでもいやだ。アイリーンはつんと顎をあげ、挑むようにまっすぐギデオンをにらみつけた。
強い手がさっと伸びてアイリーンの手首をつかみ、彼女をその場に釘づけにした。だが、その必要はなかった。アイリーンはあとずさって弱みを見せるつもりなど毛頭なかった。
彼はガラスのように冷たい、厳しいまなざしでアイリーンを見つめ、先ほどより穏やかな、その分危険に満ちた声でつぶやいた。「そうかな? きみは間違っているかもしれないぞ」
そして顔を近づけ、もう片方の手でアイリーンのうなじをつかむと、唇を重ねた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「そこで、彼らは良家の娘をぼくに押しつけて、こうした欠点を補おうという計画をひねりだした。妻の導きでぼくがもっと伯爵という称号にふさわしい行動をとるようになってくれれば、それが無理でも、せめて妻がぼくの不適切な部分を多少とも隠してくれれば、とね」
「あなたは成人した男性ですもの。誰も結婚を強要することはできないわ」アイリーンは指摘した。
ギデオンは顔をしかめた。「ああ。だが、ぼくの顔を見るたびに、くどくどとこの件を話しつづけることはできる」
つい笑みがこぼれ、アイリーンはあわてて隠した。そういう絶えまない叱責がどれほど苛々するものかも、彼女にはよくわかっている。
ギデオンは肩をすくめた。「だが、結婚して、跡継ぎをつくるのが自分の義務だということは、ぼくも承知しているんだ。いまはねつけたとしても、いつかはそうせざるを得ない。いっそ家族への面あてに、オペラの踊り子とでも結婚してやろうかと思ったんだが、そんなことをしたら、その女性にもぼくと同じ思いを味わわせることになる。それに子供たちが噂の種にされ、後ろ指をさされて、のけ者にされるのはかわいそうだ。だから、適切な女性を妻にする必要があるという家族の主張に同意した。きみはまだ結婚していないし、婚約もしていない。そして大伯母の話では、きみの家族はじゅうぶんにふさわしい。レディ・ホーストンはどうやらレディ・ペンキュリーの願いを入れて、この件に尽力してくれることになった。だから彼女にきみも候補者に加えてもらいたいと頼んだんだ」
アイリーンはあんぐり口を開けて彼を見た。あまりに驚いて、つかのま声を出すこともできなかった。「わたしが昔あなたを銃で脅したから、わたしと結婚してもいいと思っているの?」彼女は気づいたときにはそう口走っていた。
「これまでぼくが引きあわされた娘たちよりは、まだ退屈せずにすみそうだからな。何を言ってもにこにこ笑っているだけの娘たちには、もううんざりだ」彼は小さな笑みを浮かべながら答えた。
まだ驚きがおさまらず、アイリーンはさらに少しのあいだ彼を見つめていたが、やがて背筋をぴんと伸ばし、怒りに目をきらめかせた。「いまの言葉にはあまりにもたくさんの侮辱が含まれていて、どこから反論しはじめたらいいかわからないくらいよ」
ギデオンは少し顔をこわばらせ、脅すように低い声で言った。「ぼくと結婚するのが侮辱だって?」
「あなたが花嫁のリストに“候補者”として“載せる”と決めてくれたのを、わたしはありがたく思うべきなの? ほかの未婚の女性たちよりも、多少は退屈しないという理由で、まるで雌馬を買うように、ほかの女性たちのなかからわたしを選びだしたことを名誉に思うべきなの?」
ギデオンの口もとがこわばった。「そんな意味で言ったわけじゃない。妻を買う気はないよ。これは実際的な取り決めだ。きみの益にもなる。愛に関してロマンチックな空想を持つ年は、もう過ぎていると思ったが」
「信じてちょうだい。わたしはそういう空想を持つほど若かったことは一度もないわ」うねるようにこみあげる怒りでわれを忘れ、アイリーンは鋭く言い返した。
脇に垂らした手をぎゅっと握りしめ、彼をにらみつけて一歩前に出た。ギデオンの落ち着き払った顔が、激しい怒りよりもいっそう腹立たしい。
「わたしが結婚をあせっているオールドミスで、男の導きがなければ生きていけない女だから、このチャンスには喜んで飛びつくとでも思ったの?」
「きみは成熟した理性的な女性だから、この取り決めが双方に利益をもたらすことを理解できると思ったのさ」彼は言い返した。「どうやら、見込み違いだったようだ」
「ええ。それは明らかね。あなたはわたしが“適切”だとみなすかもしれない。でも、あなたはこれっぽっちもわたしにふさわしい相手ではないわ!」
この言葉に、ギデオンの目が怒りを放った。つい夢中になって言いすぎたかもしれない。アイリーンはちらりとそう思ったが、いまさら引きさがることはできない。目の前にのしかかるように立っているこの無礼者に、怖じ気づいたと思われるなんて死んでもいやだ。アイリーンはつんと顎をあげ、挑むようにまっすぐギデオンをにらみつけた。
強い手がさっと伸びてアイリーンの手首をつかみ、彼女をその場に釘づけにした。だが、その必要はなかった。アイリーンはあとずさって弱みを見せるつもりなど毛頭なかった。
彼はガラスのように冷たい、厳しいまなざしでアイリーンを見つめ、先ほどより穏やかな、その分危険に満ちた声でつぶやいた。「そうかな? きみは間違っているかもしれないぞ」
そして顔を近づけ、もう片方の手でアイリーンのうなじをつかむと、唇を重ねた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2010/7/15
小説・ノンフィクション>恋愛小説>ロマンス小説
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>MIRA文庫
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小説・ノンフィクション>ハーレクイン>華麗に変身
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