マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

心の鍵は誰のもの?

心の鍵は誰のもの?


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 リンゼイ・アームストロング(Lindsay Armstrong)
 南アフリカ生まれ。現在はニュージーランド生まれの夫と五人の子供たちとともに、オーストラリアで暮らす。オーストラリアのほとんどの州に住んだことがあり、農場経営や馬の調教など、普通では経験できない職業を経てきた。彼女の作品にはその体験が大いに生かされている。

解説

 子守と安全のための結婚なんて、楽しいわけがないでしょう?

 ■ニコラは二年前、ブレット・ハーコートと結婚した。でもそれは、身寄りのなくなったニコラを守るためのものだった。ブレットは別れた妻をまだ愛しているからだ。彼はとても優しく、大切にしてくれる。はためには何不自由ない暮らしだが、ニコラには牢獄だった。なぜなら彼女はブレットを愛しているのに、彼はニコラを子供扱いするだけで、指一本触れようとしないからだ。思いあまったニコラは、結婚カウンセラーに相談に行った。「あなたが誰か、ほかの男性に関心があるように思わせなさい」カウンセラーの意外なアドバイスに驚くニコラだが、今の状態を続けていくのももう限界だ。おまけに、ブレットを誘惑しようとする女性までが登場する。動揺し腹を立てるニコラの前にも、すてきな男性が現れた。ニコラには、助言を実行する絶好のチャンスだった。

抄録

「どういうつもりだ?」ブレットが冷たくきいた。
「されたことをお返ししただけよ」ニコラが答えた。「誰だって、見下されるにも限度があるわ。それなのにあの人は――」
「タラがきみを見下していたと言うのか? ばかなことを言うなよ、ニコラ」
 その言葉に、ふざけ半分だった気持ちも消えた。「あら、わたしはそういうことには鋭いのよ。あなただって、いつもわたしを見下しているじゃないの。今だってそうよ。子供じみたことをしてと言いたいんでしょうけど……」ニコラはからかうようにブレットの目をのぞき込んだ。「自分ではそうは思わないわ。むしろいい気分よ。あなたはどう?」
「ニコラ」ブレットが怖い顔をした。「歯止めがきかなくなる前にきいておくが、なぜタラがきみを見下したりするんだ?」
 ニコラは目を見張った。「知らないとは言わせないわよ。あの人、あなたのことばかり見ているじゃないの。彼女となら、裁判所のこととか、たくさん楽しいお話ができそうね。でも一つ言わせて――タラは、一日中家にこもってサーシャとクリスの世話など、絶対にしてくれないわよ」
「そんなこと何も――どうしたんだ?」ブレットはニコラの両腕を払いのけようとした。
 けれどもニコラはブレットの腕をつかんだまま続けた。「この間の夜、慎重にしろとわたしにお説教したでしょう。あんなことをよく言えたわね。わたしのことをいろいろとあの人に話しているくせに」
「ぼくは話してなど――」
「あの人はたしかにそう言ったわよ」
「ニコラ、それはきみが勝手にそう思い込んだか、疲れているせいだよ」
 ニコラの頭の中で何かがふっと消えていく。「そんなことないわ。ただちょっと……知りたかっただけよ。男性にキスするのはもうずいぶん久しぶりなの。練習台になってくださらない、ブレット? あなただって、頭の中でわたしを裸にしたことが何度かあるはずよ。わたしがあなたを十段階評価してもかまわないでしょう? そうすればわたしも、少しは大人っぽさが身につくかもしれないわ」
 ニコラはブレットの両肩からシャツの胸をゆっくりとなぞり、両腕をブレットの腰に回して、頬をその胸に押し当てた。ブレットの全身の筋肉が硬直するのを感じ、ニコラはひそかに笑みを浮かべた。
 やがてブレットが緊張をといて言った。「忘れるなよ、最初に仕掛けたのはきみのほうだからな」
 目の中に燃える怒りの炎を抑え、ニコラは甘くほほ笑んだ。「ええ、忘れないわ」そして首を傾けてブレットのキスを受けた。
 ブレットの唇は乾いてあたたかく、背中を撫でる手も優しかったが、ニコラのほうは緊張してこわばったままだった。相手に腹を立てているときにキスなどしても、攻撃的な気持ちは収まらず、かえってひどくなることがあるとニコラは知った。
 ブレットが顔を上げた。「どうした、ニコラ……キスはけんかをするためのものじゃないぞ」
「あなたなんか大嫌いよ」食いしばった歯の間からニコラが言った。
「これはまた様子ががらっと変わったな」ブレットはニコラを見下ろして唇をゆがめた。「だが、きみが何もかもぶち壊す気さえなければ――」怒りに体をこわばらせたニコラを、ブレットはいっそう固く抱いた。「こういう気分は、気の向くまま自然にわいてくるものなんだよ」
「想像もつかないわ!」
「じゃあ、こんなふうに考えてごらん」ブレットはニコラのうなじをそっともんだ。「この首筋や頬の曲線に、声の響きや体つきに、ヒップの曲線やしなやかな脚のラインに……」そう言いながら、首筋から頬、そして体へと指先でそっと触れていく。
 一瞬手を止めたあと、ブレットはミニドレスのスカートの下へと手を伸ばし、ニコラがはっと目を見張るのを見てかすかにほほ笑んだ。
「男はそういうものにぐっと心を動かされることがあるんだよ」
「ええ、わかるわ」ニコラは上の空で答えた。
 ブレットは愉快そうに続ける。「そんなとき、男は行きずりの女性に衝動的な欲望を感じることさえある。何か言いたいのかい?」
 ニコラは口を開いたものの、言葉が出てこなかった。ブレットが描いてみせた幻想にはまり込んでしまい、頭の中には、自分が行きずりの女性としてブレットの前に現れ、彼の欲望をかき立てるというイメージがありありと浮かんでいた。
 ニコラは目をしばたたき、ごくりとつばをのんだ。「いいえ……続けて」
 ブレットはゆっくりと続ける。「そう、きみの名誉のために言っておくとすれば、そういう衝動は女にも起こり得るということかな。こんなふうに」
 今度のキスはまったく違っていた。さっきまでの怒りはどこへいってしまったの? 今はそんなことどうでもいい。でもたしかに、見ず知らずの男性とキスしている気分だ。最初はためらいがちに、彼の幻想の糸に引きずられ、不安ながらもその魅力にはあらがえず、しだいに自信と感覚が深まってゆく。
 けれども、あえぎながら唇を離してみると、ブレットのほうは目を細めてじっとニコラを観察していた。ニコラも見つめ返し、不意に二人の間に火花が散った。こんな気持ち、あなたも同じでしょう? ニコラの目が挑むように光る。
 ブレットも黙ったまま愛撫で応える。肩の線、ひじの内側の柔らかな部分、喉もとのくぼみ――そんなごくありふれた体の一部が、ブレットの唇や指で触れられたとたん、世界でたった一つのものになる。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。