マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ロマンス小説

ときめきの宝石箱

ときめきの宝石箱


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 カサンドラは途方に暮れた。父が他界した今、没落寸前のわがヴェレア家を存続させるのは私の役目。代々伝わる財宝を見つけ、お金に換える必要がある。それには宿敵ネビル家に協力を請い、両家に伝わる二枚の地図をもとに隠し場所を探さなければならない。なのに昨夜……人違いとはいえ私のベッドに忍び込み、強引に唇を奪った彼こそ、ネビル家の当主サー・フィリップ。いくら家のためでも、レディを愚弄したあの放蕩者に頭を下げることになるなんて。

抄録

 向きを変えて歩きだそうとしたカサンドラの腕を、フィリップはつかまえた。「いや、待ってください」
 カサンドラは必死で涙をこらえた。協力を断られたことがどんなにこたえたかは悟られたくなかった。懸命に平静をよそおい、フィリップを見あげる。
「ミス・ヴェレア、ぼくがどうも納得できないのはその日記の信憑性なんです。偶然の一致にしても、今頃になってお宅の手に渡ったということはできすぎてやしませんか?」
「偶然じゃないことはさっきご説明しましたでしょう――必然的な成り行きなんです。おわかりになりません?」ふたたび一縷の望みがわいてくるのを感じ、カサンドラは気を取り直して答える。
「ぼくには、美しいお嬢さんが悪いやつにだまされているように見えるんです。父上を失った悲しみがいえないお嬢さんが、できることなら亡き父上の夢をかなえさせてあげたいと切望している。そこにつけこんだ――」
「まあ、失礼な! 私はそんなにたやすくだまされるようなばかな女じゃないわ。父も愚かな人ではありませんでした。日記は本物です。あなたのように無味乾燥な見方しかできない方にはわからないでしょうけれど」カサンドラはフィリップの手を振りほどこうとした。「空想的すぎるとか、あまりにロマンティックだとか、冷笑なさりたいんでしょうよ」
「ミス・ヴェレア、あなたのことをばかな女だなどとはまったく思っていません。それどころか、美しくてしかも非常に聡明な方だと思っております。心から敬服しているくらいです」フィリップはかすかにほほえみ、かがみこむようにしてカサンドラの目を見つめた。「それから、ぼくもロマンティックでないというわけではありません。現に今、たいへんロマンティックなことを考えているところなんです」
 カサンドラはごくりとつばをのみこんだ。自分を見つめる金色がかった茶色のまなざしから目をそらすことができない。のどがからからになって、不意に息が詰まりそうになる。口をきこうとしたが、声が出てこなかった。
 フィリップは手をカサンドラの腕から背中にまわし、しっかり抱きよせた。「あなたはなんという魅力的な人なんだろう」
「サ、サー・フィリップ……」経験したことのない混乱に襲われ、カサンドラは口ごもるばかりだった。
 フィリップの唇が近づき、軽く触れた。続いて強く押しつけられる。カサンドラの動悸も息遣いも速くなった。ゆうべのみだらな夢の情景がよみがえり、下半身から力が抜けていくのを感じる。ぐったりとよりかかったカサンドラの体をフィリップはかかえあげるようにきつく抱きしめ、唇をむさぼった。
 しばらくのあいだ、カサンドラはなにもかも忘れて歓びにひたっていた。炎が血管を駆けめぐるようなふしぎな快感だった。
「カサンドラ……」フィリップの口づけは唇からあごにそって移動した。
 名前を呼ばれて、カサンドラはやっと我に返る。頭にかすみがかかったような陶然とした気分ながらも、自分が今どこにいて、いかにはしたないふるまいをしていたか思いだした。しかもこの人は、スペインの財宝の証拠を詐欺だと決めつけ、私のことを父を失った悲しみのあまり妄想に取りつかれた愚かな女だと見なしているというのに。
 カサンドラはぐいと身を引き、フィリップの顔を平手打ちした。一瞬、フィリップの目を怒りの色がよぎった。けれどもすぐいつもの冷静な表情にもどり、怒気も欲望も影をひそめた。
「失礼いたしました――」
 詫びの言葉を口にしはじめたフィリップにじりじりして、カサンドラはさえぎった。「やっぱりこんなことだったんですね! あまりにもあなたらしくて笑いだしたくなるわ。私がお話ししたことには、もともとなんの関心もなかったんでしょう。あなたの頭にあったのは、ひとけのない迷路で私の唇を奪うことだけ。だから私の話にさも乗り気なふりをして、それを口実に二人きりになろうとなさったのね。夜ごと若い娘の寝室に忍びこむようなお方は女をくどくことしか考えていないと思うべきだったんだわ。あなたのおっしゃるとおり、私はだまされやすい女です。ただし、マーガレット・ヴェレアの日記が本物だと信じているからではなくて、あなたの関心は肉欲にしかないことに気づかなかったからよ。ネビル家の人を説得するのは難しいとは覚悟していたけれど、まさか女たらしを相手にしなくてはならないとは夢にも思いませんでした!」
「ぼくは、あなたをくどこうとしたわけではない」フィリップ・ネビルは顔をしかめて反論した。カサンドラ・ヴェレアは魅力的であると同時に、手を焼かされる恐れがある。「話をしたいと言ったのは、あなたなんですよ。忘れてはいないだろうが。人のいない静かな迷路園で話をしようと提案したのも、あなたなんだ」
「まあ、あなたって方は! 私のせいになさるのね。私はただ二人きりでお話をしたいと思っただけで、接吻してくださいとお誘いしたわけじゃありません!」
「いや、そうじゃないが、あなたの唇に誘われただけのことだ」
 カサンドラは唖然とした。「なんという侮辱でしょう!」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。