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愛を信じないあなた

愛を信じないあなた


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ブルックス(Helen Brooks)
 イングランド中部ノーサンプトンシャー在住。敬虔なクリスチャンであり、家事や育児にいそしみ、三人の子供を育てた。書くことは長年の夢だったが、実際に執筆に取り組んだのは四十代に手の届く頃。現在は次々に作品を発表している。

解説

 永遠の愛は必ず存在する。この一点は譲れない。

 ■バカンスの旅から帰り、久々に出社したジョアンは、休んでいた間に勤務先の出版社が買収され、引き立ててくれた社長が追い出されたと知って激怒した。誰なの、そのにくらしいお金持ちは! それは、国際的な規模でさまざまなビジネスを展開する巨大企業の出版部門で、責任者はホーク・マレン。実業界の帝王マレン氏の孫息子だ。ジョアンは初対面から火花を散らして対立するが、ホークはなぜか彼女を重用し、高い地位に大抜擢する。とまどいを感じながらも彼の下で働くと決めたジョアン。が、それは危険な決断だった。ホークが求めているのは、仕事の才覚だけではなかったのだ。その男が彼女に提案したことは……。

抄録

「僕を嫌いだから踊りたくない」
「つまり、私があなたを好きだと思ってらっしゃるわけ?」声が震えた。
「もちろん」彼の自嘲に満ちた尊大な態度はジョアンをさらに動揺させた。自分を笑い物にするなんて彼らしくない。「出会う女性はみんな僕の魅力や外見に夢中になるのさ。財産は言うまでもなくね」
「みんなお金だけが目当てだとお思いなの?」ジョアンは驚いて言った。どんなに強欲な女性でも、彼ほど男らしい男性にはぐらりとくるはずだ。
「金の力は偉大だよ」ホークは唇をゆがめたが、本当にほほえんではいなかった。
「それって――」
「現実的な見方、だろう?」彼はショックで言いよどんだジョアンの代わりに言葉を続け、彼女の体を引き寄せた。
「ひどい考え方だわ」ホークを見上げたジョアンの頬は熱かった。「そんなふうに女をみんなひとまとめに考えるなんて」
「そうかな」しばらく考えたあと、ホークはまた微笑を作り、軽い口調で尋ねた。「なぜ?」
「それぞれに価値観も、考え方も違うのよ」本気なのか、それともからかわれているのかわからない。
「書類を見たが、君は二十九歳だね?」見下ろすホークの浅黒い顔からは何も読み取れない。
 ジョアンはうなずいた。次は何を言うのだろう。
「結婚はしていない」きっぱりと言う。「同棲したことは?」
「あなたには関係ないわ」私的な質問に腹を立ててもがく彼女を、ホークはさらに引き寄せ、赤いさらさらした髪に顎を押しつけた。
「チャールズによると、君はあまり、というかめったにデートをしないそうだが」
「チャールズがそう言ったの?」ジョアンはチャールズの裏切りに傷つき、腹を立てた。
「違うよ」再び身を引こうとしたジョアンの体を、鋼鉄のように強い腕が引き止めた。「だが僕は腹の内を読むのがうまくてね。それにほしい答えを引き出す尋ね方も心得ている」
「頭がいいのね」ジョアンは意地悪く言い返した。
 ホークは少しだけ体を離し、探るように腕の中の彼女を見た。「君のほうこそ、かなり都合よく男を――どう言ったっけ、そう、ひとまとめに考えているようじゃないか」その声からはおもしろがっているような調子が消え、顔には真剣な表情が浮かんだ。「違うかい?」
「まるで違うわ」ジョアンは強い調子で言った。顔が燃えるように熱い。
「ジョアン、ジョアン……」ホークは悲しげに頭を振った。またふざけた調子に戻っている。「僕はこんなに正直で率直に話しているのに」
「私はそうじゃないとおっしゃるの?」
「そのとおり」
 にっこりした顔を見せられると、怒りがすっとしぼんでいった。ああ、なんてすてきなの。ジョアンはごくりと唾をのみ、足元の床にこれ以上揺れないでと祈った。彼はただの男よ。しかも傲慢で自尊心の強いいやなやつだわ。私を失業させたばかりじゃないの。彼に惹かれたりするはずがないわ。いったい私はどうしてしまったというの?
「だが許してあげよう」ホークは再び体を触れ合わせた。脚がまるで溶けたゼリーのようになっているジョアンには抵抗もできない。
 それでもなんとか辛辣な言葉は返した。「寛大ですこと」ホークがくすくす笑うのが聞こえた。それから二人は黙って踊り続けた。曲はスローに変わった。バンドまで私に意地悪するのね……。ジョアンはホークの存在など気にもしていないふうを装おうとやっきになったが、体が震えるのをどうすることもできなかった。
「体が触れるのをそんなに怖がるなんて、過去に何かあったのかい?」しばらくしてホークが尋ねた。「僕は君を傷つけやしないよ。信じてくれ」
「あなたを信じる?」彼の誤解がありがたかった。本当は怖いだけでなく、もっと強い性的なものを感じているのだ。その時演奏が終わり、コーヒーを運んでくるウェイターの姿が見えたので、ジョアンはこれ幸いと体を離した。「知り合ったばかりなのに、そんなことばかげてるわ。コーヒーが来たみたい。そろそろ……」
「君がそう言うなら」ホークの口調はそっけない。
「今夜会うことになった理由を説明していただいて、それから――」
「家に帰る?」ホークの目が鋭くなった。「悪いが、ジョアン、このあとフロアショーがある。もうしばらくつき合ってほしいな」
 冗談を受け流すかのようにジョアンはにっこりしてみせ、テーブルに向かって歩いていった。ホークの手が腰のくびれに触れている。そこだけが熱くて焦げてしまいそうだ。どうして会って数時間で、この人にこんな親しげな態度を許しているのだろう。仲のいい友達にもなかなかこうはさせないのに。ダンスフロアで失態を演じなくてよかったと小さな安堵のため息をつきながら、ジョアンは椅子に座り込んだ。その時、なめらかな柔らかい首筋に唇が触れた。温かで、ぞくりとする感触。ホークは平静な物腰で席に着こうとしている。
「そ、そういうことはやめてくださらない」
「え?」ホークはきらめく青い目でうかがうように彼女を見た。「何を?」
「わかってるでしょう」ジョアンは彼をにらみつけた。次第に腹が立ってきた。
「キスという言葉がそんなに口にしにくい?」
「キスじゃないわ、今のは……」ジョアンは言葉につまった。
 やがてホークが口を開いた。その声は低くかすれていた。「君にとってはどうか知らないが、僕にとってはキスだ。そんな髪型をしておいて、誘う気はなかったというのかい?」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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