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放蕩伯爵、愛を知る

放蕩伯爵、愛を知る


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 レイヴンスカー伯爵デヴィンは社交界を賑わす放蕩者。恵まれた風貌ゆえ女性に不自由せず、享楽的な生き方にどこか虚しさを覚えつつも独身を謳歌している。一方で伯爵家の領地は困窮の一途を辿り、ついに長男の彼が裕福な花嫁を娶るしかなくなった。そこで母が相手に選んだのが、莫大な持参金を持つ、アメリカから英国に来たばかりのレディ。どうせ自国で嫁ぎ先が見つからない、不器量な田舎者だろう。気乗りはしないが他に手もなく、腹を括ったデヴィンは彼女の邸宅に赴く。そしてろくに顔も見ぬまま求婚の言葉を口にするが……。

抄録

「いやよ」ようやく彼女はそっけなく言った。
 デヴィンは滑稽なほど驚いて、ぽかんと口を開け、初めてまっすぐにミランダを見た。「なんだって?」
 彼の驚愕ぶりがおかしくて、ミランダはくすくす笑いながら繰り返した。「いやだと言ったのよ、レイヴンスカー卿」
「ぼくの求婚を断るのか?」そればかりか愚かな田舎娘は、厚かましくもこのぼくを嘲笑っている!
「ええ、そうよ」
「くそ!」彼はたまりかねて叫んだ。「もっとましな申し出を受けられると思っているんじゃないだろうな!」
「親愛なる伯爵様」ミランダは歯切れよく答えた。「あなたがたったいました申し込みに比べれば、どんな申し込みでもましよ」彼女は鼻眼鏡をさっと取り、つかつかと歩み寄って、わずか数十センチしか離れていないところから挑むように彼を見上げた。「これほどぶざまな求婚は、生まれてこのかた聞いたことがないわ。あんなふうに申し込まれて、ふたつ返事で承知する女性など、この世にひとりもいないでしょうよ。いったい何様のおつもり? あなたが妻にしてやると決めれば、それだけでどんな女も喜んで足もとにひれふすと思っているの? なんて傲慢で、無礼なのかしら。あなたみたいな男とは、結婚どころか、二度と会いたくないわ。この先ずっと一緒に暮らすなんてまっぴらよ。それなら、一生ひとりでいたほうがずっと幸せだわ!」
 デヴィンは怒りに燃える大きな灰色の瞳を見下ろし、この日の午後、二度目の大きな驚きに打たれた。「きみは! きみは、ゆうべの――」
「ええ」ミランダはそっけなく応じた。「ゆうべあなたを助けた女よ、そんな価値もなかったわね。こんなに傲慢でうぬぼれていなければ、もっと早く気づいたでしょうに。わざわざ馬車を降りて、助けたりするんじゃなかった。あのならず者たちの邪魔をせずに、彼らが痛めつけるままにしておいたほうが、むしろあなたのためになったでしょうね。考えてみればあの男たちは、同じような結婚の申し込みであなたに侮辱されたほかの女性に雇われていたのかもしれないわ」
「侮辱だって!」デヴィンは怒りに駆られて叫んだ。どちらがよけいに腹立たしいのか、自分でもよくわからなかった。この女に軽蔑されたからか? それとも、自分の体が出し抜けに、昨夜、彼女を見下ろしたときに感じた欲望をはっきりと思い出したからか?「ぼくに求婚されたことが、侮辱だと言うのか? ぼくは第六代レイヴンスカー伯爵だぞ。うちの家系は十二世紀までさかのぼることができる。自分の祖父が誰かさえ満足に知らないきみたちとは違うんだ!」
「そんなばかげた反論、聞いたことがないわ」ミランダは冷ややかに切り捨てた。「誰の祖先だって、それくらいはたどれるものよ。あなたが十二世紀まで祖先の名前を知っているのは、ただきちんと記録が取られていただけにすぎない。あなたの祖先がどんな人々だったかは、神様以外の誰にもわかりはしないわ。この地上で生きた誰よりも腹黒い悪党だったかもしれないじゃない。たとえ彼らが高潔な人物だったにせよ、それだけで‘あなた’も同じだということにはならないわ。あなたがどんな人間かは、あなたの生き方で決まるのよ。わたしが聞いたかぎりでは、これまでのところ、あなたはその名を高めるような生き方はしていないようね」
「なんだと――」デヴィンは目を細めて彼女を見据えた。「くそ、きみが男なら、決闘を申し込むところだ」彼はさらに近づき、ミランダをにらみつけた。
「またしても、とんでもなくばかげた発言ね。わたしが男でないことは一目瞭然ですもの」ミランダはその場に踏みとどまり、澄まして指摘した。のしかかるように立ってにらみつけられたくらいで、怖じ気づくなどとんでもない。彼女はすっかり腹を立て、このやり取りを楽しんでいた。レイヴンスカー伯爵は、うぬぼれの鼻をへし折られて当然の傲慢な男だ。彼女は喜んでその鉄槌をくだしてやるつもりだった。そこでつんと顎を上げ、鼻先がくっつかんばかりに顔を近づけてにらみ返した。
「生意気な――」デヴィンは急に言葉を切ると、両手でミランダの腕をつかんだ。そして、彼女を持ちあげて乱暴に自分の体に押しつけながら、いきなり唇を奪った。
 思いがけぬ展開に、ミランダは一瞬、あっけに取られた。二十五年の人生で、こんな扱いを受けたことはただの一度もなかった。荒々しくつかまれ、こんなにも激しくキスされたことは。そんな真似をするほど傲慢な男はひとりもいなかった。それほど勇気がある男もいなかった。激しい怒りが矢のごとく体を貫いたが、それと同時に、思いがけず快感が体を駆け抜け、全身の細胞が息づいて震えはじめた。熱い唇が彼女の唇をわが物顔にむさぼり、反応を要求してくる。その味がミランダを酔わせた。それから舌が差しこまれ、口のなかを蹂躙した。強く押しつけられたベルベットの炎のような唇に唇を焼かれて、ミランダの体に激しい興奮の震えが走り、神経のあらゆる末端が燃えさかる。こんな経験は初めてだ。実際、これほどの快感が存在すると想像したこともなかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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