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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

身代わりの恋人

身代わりの恋人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 パティ・サリエ(Patty Salier)
 ニューヨークはブルックリンで生まれ育ち、長年ライターとして活躍してきた。鋭い論理性は母親譲り、旺盛な好奇心は父親譲りだという。すばらしい夫と愛する二人の子供が人生のすべてであり、自分は恵まれていると語る。

解説

 セクシーな双子の姉の代役を務めようとベッキーは懸命な努力を開始した。

 ■ベッキーは誤ってプールに落ち、気を失いかけた。やがて目を開けると、視界に入ってきたのはハンサムな男性。「大丈夫かい?」恋人に囁きかけるような親しげな声だ。彼と会話を交わすうち、ベッキーは相手がとんでもない勘違いをしていることに気づいた。彼は、私を双子の姉だと思っているんだわ。地味で引っ込み思案の私とは、正反対の姉と。ニューヨークの姉に一部始終を話して聞かせたベッキーは、姉のとんでもない頼みに唖然とした。ロサンゼルスに行くまで、身代わりを務めてほしいというのだ。セクシーな身のこなしに、大胆な服装……。心優しいベッキーは、役に立とうと懸命の努力を始める。

抄録

 ためらっているジャリッドを見て、ベッキーはますます不安になった。
「ぼくが一番感動した部分を読んでみようか?」
 どきどきして、胸が張り裂けそうだ。「わたしも一番気に入っている部分だと思うわ」
 ジャリッドは咳払いをした。「“夜、ベッドの中で、わたしはあなたに抱かれている自分を空想しています”」ちらりとベッキーを見る。「続ける?」
 脚ががくがくと震え、ベッキーは漆喰の壁にもたれかかった。「もちろんよ。続けて」内心は、パムの首を思い切りしめてやりたい気分だった。
 ジャリッドは続けた。「“あなたの唇にこの唇をふさがれ、あなたの手にこの体を愛撫されている自分を思い浮かべています。ジャリッド、あなたがほしい。心から”」彼はゆっくりと手紙を封筒の中にしまった。「ベッキー、これはきみの本心か?」
 ベッキーはやっとの思いで息を継いだ。「も、もちろんよ。冗談でこんなことが書けると思う?」
 どうか、声の震えを悟られていませんように。パムの書いた手紙の内容は、わたしの気持ちをずばりと言いあてている。
 ジャリッドは探るような目でベッキーの顔をのぞき込んだ。「本気でぼくとやり直すつもりかい?」
 やり直すですって? あなたと一緒に、いつまでもずっといたいのよ。
「ええ、本気よ」ジャリッドの瞳にはまだ迷いが浮かんでいる。パムのために、その迷いを吹き飛ばさなければ。「信じてくれるまで、わたしはずっとあなたのそばを離れないわ」
 ジャリッドは思わず自分の耳を疑った。この言葉をどれほど待ち焦がれていたことだろう。
「何カ月……いや、何年かかったとしても?」ジャリッドの声は期待に弾んでいた。
「あなたが待てと言うなら、何百年でも」ベッキーの瞳はあたたかく、魅惑的な輝きをたたえている。
 ジャリッドは夢中でベッキーを抱き寄せた。彼女を抱きしめ、嘘ではないという実感を噛みしめたかった。艶やかな髪に頬ずりをし、甘い花の香りを胸いっぱいに吸い込む。咲き誇る薔薇のようなその香りは、かつてのベッキーからは感じたことのないものだった。あのころのベッキーよりも、はるかに甘い香りだ。
 唇をとらえた瞬間、ベッキーはたじろぐ気配を見せたが、すぐにうっとりとキスに応じた。唇を開き、舌と舌をからませながら、ジャリッドはベッキーの口の中をまさぐり、甘い蜜の味に酔いしれた。
 さらに強く抱き寄せると、ベッキーの乳房が押しつけられた。ゆるぎない愛を誓い合うかのように、ジャリッドは彼女の舌に激しく舌をからませた。こんなキスは初めてだ。昔の彼女とはまるで別人だ。
「あら、どうも!」シェリーの声が耳に響いた。
 ジャリッドはここがヌーボー・ヘアサロンの前の歩道だということをすっかり忘れていた。何も考えず、ただ夢中でベッキーの唇を奪っていたのだ。ジャリッドの唇がゆっくりと離れた。だが、腕はまだベッキーの腰を抱いたままだ。ベッキーはぱっと頬を赤らめた。ジャリッドがその顔をのぞき込むと、ベッキーは慌てて恥ずかしそうに目をそらした。
 ジャリッドはベッキーを抱きしめたまま、耳もとでささやいた。「明日の晩、食事をしよう」
 ピンク色の唇が嬉しそうにほころび、ベッキーがささやき返した。「ええ」

 ふわふわと、まるで雲の上を歩いているような気分で、ベッキーはシェリーと並んで駐車場へ向かっていた。ジャリッドの熱いキスを思い出しただけで、頬がほてってくる。唇が触れた瞬間に拒むべきだった。だが、どうしても拒むことができなかった。
 自分が望んでいたからだ。抱きしめてほしいと願っていたからだ。ジャリッドの舌がからんできた時、まるで身も心もひとつになったような気持ちだった。
「ベッキー。あなたたち、ほんとうにお似合いよ」シェリーが言った。「彼があなたに夢中だってこと、なぜ黙っていたの?」
 シェリーの言葉を聞いたとたん、ベッキーの気分は重く沈んだ。ジャリッドが夢中になっているのは、わたしじゃない、パムなのよ。
「彼とはただの友達よ」慌ててそう言うと、ベッキーは車に乗り込んだ。
「友達ねえ」シェリーが意味ありげな笑みを浮かべながら車のドアを開けた。「夫からあんな熱烈なキスをされたら、わたしだったら一日中彼をベッドから離さないわ!」
 ベッキーはシェリーに手を振り、緊張したまま車を発進させた。アパートメントの駐車場に車を入れた時も、まだ気分は重く沈んでいた。ジャリッドのようなハンサムな人が、わたしみたいな女に本気で惹かれるわけがない。
 わたしは男性の心を虜にするほど、魅力的でもセクシーでもない。ダリルだって、とうとうプロポーズしてくれなかったもの。
 二年前、自分がいかに魅力のない女かということを、いやというほど思い知らされた。
 車のシートに座ったまま、ベッキーはダリルにふられた夜のことを思い出していた。あのころ、わたしはダリルに愛されていると思い込んでいた。彼の家族に紹介されたことはなかったけれど、いつか彼がプロポーズしてくれるものと信じていた。
 あの運命の夜、健康食品の店でマネージャーをつとめていたダリルは、残業があると言っていた。ベッキーはそんな彼をびっくりさせようと思い、いきなり彼の店を訪ねた。だがダリルの姿はなく、勤務についていたのは別のマネージャーだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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