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和書>小説・ノンフィクションハーレクインMIRA文庫

王家の蝶 下

王家の蝶 下


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: 王家の蝶
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 一族から離れ、名前も変えられ育ったスカイは運命のいたずらによって宝飾デザインの才能を開花させた。そして高級宝飾店モナークから採用の知らせが舞い込む。スカイに辛い別れを強いたチャンスもまた、モナーク家の若き御曹子の力を得て成功を手に入れようとしていた。邪悪な陰謀にあやつられ、再会を果たすふたり。しかし、孤独と闘うスカイの心はすでに生涯の愛を誓うと言うあの男に傾いていた。エリカ・スピンドラー渾身の力作、衝撃のラスト。

抄録

 スカイはグリフィンの視線を探った。スカイを見つめるときになにを見ているのか、なぜ自分を求めているのか、その手がかりをつかもうとした。そのとき、スカイはふとグリフィンのことを知っているような気がした。いつか遠い昔に……。スカイは息をのんだ。心の奥の扉がつかのま開き、すぐにまた閉じてしまった。
「どうしたの?」いぶかしげな顔でグリフィンが尋ねた。
「一瞬、思ったの。もしかしたら、わたしたち、前に会ったことがあるんじゃないかって。いつか……ずっと昔に。よくわからないけど、一瞬、あなたのこと……よく知ってるみたいな気がしたのよ」
「そんなことないと思うよ」グリフィンはスカイの手を包みこんだ。「いや、会っていないと断言できる。もし会っていたら、絶対に忘れるはずがないもの」
「だったらそうね、きっと」スカイは当惑して唇を噛んだ。「自分で思ってるより、疲れているのかもしれないわ」
「別の解釈もある」
「どんな?」
「おそらく、きみの心がぼくを見分けたんだ」
 スカイは喉に固まりがつかえたような気がして、手を引き抜いた。「わたしたち、こんなことをしてはいけないわ、グリフィン」
「こんなことって?」
「それは……」スカイは力なく両手を広げて見せた。「こういうことよ」
「なにが困るの?」グリフィンは唇の端で笑った。「ワイン? タイ風チキン? 賛美の言葉?」
「あなたはわたしの上司よ」スカイは真っ赤になって言った。「だから、話が複雑になって、それで――」
「面倒なことになりかねない?」
「ええ、面倒なことに。それに気まずいことにも」
 グリフィンは立ちあがると、テーブル代わりの段ボール箱をまわってスカイのそばに立った。彼女の両手をつかみ、立ちあがらせる。彼はまるで挑むようにスカイの瞳をのぞきこんだ。視線をそらせるものならそらしてみろ、といわんばかりに。
「そうだよ、ぼくはきみの上司だ。それに……ぼくが望んでいるのは、それだけじゃない。もっともっとだ」彼はスカイの指に自分の指をからませた。「ぼくはきみをずっと待っていたんだよ、スカイ・ディアボーン。ずっと長いことね。もっとゆっくり時間をかけるべきなのはわかっている。だがぼくは、もう……我慢できない」
 スカイはかっと頭に血がのぼった。本当に気が遠くなりそうだった。グリフィンから視線を引きはがすことができない。もうひとりの自分がそう努力しているにもかかわらず。
 グリフィンはスカイの手を唇に持っていき、指にキスを始めた。まるでめずらしいお菓子でも味わうように、一本ずつ、丹念に。そして指からてのひらに、手首の内側へと、じらすようにゆっくりと唇を這わせていった。
 膝の力が抜けて、スカイはよろめいた。グリフィンは彼女の体を支え、そっと自分の胸に押しつけた。「きみはひと目惚れというやつを信じるかい?」
「いいえ……でも……信じているかも」スカイは首をふった。頭が混乱して、本当に信じているのかどうかわからなくなった。「たぶん……でも、わからないわ」
「ぼくは信じているよ。ひと目惚れは本当にあるんだ。なぜなら、きみを見た瞬間にきみを愛してしまったから」グリフィンはスカイの顔を両手で包み、じっと瞳をのぞきこんだ。彼の目には熱い炎が燃えている。「こんな言い方は陳腐かな? 男らしくないと思われてしまう? きみの目には、ぼくは女々しく映っている?」
 スカイは口がきけなかった。どうしても声が出ない。彼女は首をふった。
「それならよかった。きみを見てわかったんだよ。きみこそ、ぼくのために存在する女性だと。ずっと昔から求めていた女性なんだと」
「ずっと昔から」スカイは繰り返した。喉の奥からやっとかすれた声が出た。これまでこんなことを言ってくれた人はいない。誰もこんな約束をしてはくれなかった。誰もこれほどまでにわたしを求めてくれなかった。
 ずっと昔から……。
 そのとき、いきなりこめかみが締めつけられ、スカイは激しい頭痛に襲われた。彼女は歯を食いしばり、頭痛をやりすごそうとした。「でも、あなたは……あなたはわたしのことをよく知らないでしょう、グリフィン。わたしだって、あなたのことは……わからないもの」
「知っているよ、スカイ。ぼくはきみを知っている……」彼はふたたびスカイの両手をとり、自分の胸にあてた。「そして、きみもぼくを知っている。心の底をのぞいてごらん、スカイ。そこにぼくがいる。きみもまた、ぼくのことをずっと待ちつづけていたんだ」
 そうだ、わたしは、出会った瞬間からわたしを愛してくれる人をずっと待っていた。激しく、完全な愛を捧げてくれる人を。永遠に愛しつづけてくれる人を。
「ぼくはきみにすべてを与える。きみの夢をすべてかなえよう」グリフィンは顔を近づけ、スカイの唇をとらえた。最初は優しく、しだいに激情をつのらせていく。愛の言葉と熱い口づけに、スカイは頭がくらくらした。頭痛はますます激しくなり、彼女を押しつぶそうとしている。スカイはめまいがして、グリフィンの胸に両手をついた。
 彼が唇を離したとき、スカイはほとんど息ができなかった。
「ぼくは待つよ。きみに時間をあげよう。だが、ぼくは本気だからね、スカイ・ディアボーン。絶対にきみをぼくのものにしてみせる」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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