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虚飾のピラミッド 闇の使徒たち II

虚飾のピラミッド 闇の使徒たち II


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム闇の使徒たち
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
 ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。

解説

 言語学者のグレッチェンには恋愛経験がない。内気な性格と目立たない外見に加え、ひたすら学問に打ちこんできたからだ。でも最近、彼女は切実に孤独を感じていた。研究のために訪れているここエジプトの熱気のせいかしら? それとも、毎晩ひとりでとるディナーの味気なさのせい? ある夜、カートと名乗る魅力的な男性にダンスに誘われる。きらめく瞳と機知に富んだ会話はたちまち彼女を虜にした。カートが周到な罠を仕掛けていることに、純真なグレッチェンは少しも気づいていなかった。ディザイアの人気作家A・M・ウィンストンによる灼熱の恋物語。幼いころの記憶がないグレッチェン。実はその過去に最大の謎が隠されていて……。ますます目が離せない展開です。

抄録

 カートはたいしたことではないというように肩をすくめたが、グレッチェンはそれだけではないと感じた。
「ぼくの部署には不正行為が横行していた。ぼくもそれに加わるか、あるいは問題を起こすかしかなかったんだ」
「どんな問題を?」
 躊躇したカートを見て、グレッチェンは彼がなにも言わないのではないかと思った。
 グレッチェンは眉をあげ、返事を促すように頭を傾けた。
「麻薬の取り締まりをしていた最中に、ぼくの相棒が背後から撃たれた」カートの声には感情がまじっていなかった。「ぼくが彼を殺したんだろうと責められたが、科学捜査班が、その弾丸は別の銃から発射されたものだと突きとめたんだ」
 グレッチェンには、カートが言おうとしていることが信じられなかった。「同僚からぬれ衣を着せられたの?」
 カートは唇をゆがませた。「彼らはどんな方法を使ってでも、ぼくをチームから外したかったのさ。もしぼくがあの事件のときに身を隠さなかったら、ぼくのことも撃っただろう。そして相棒のレイフォードを撃った銃を、ぼくの手に握らせたに違いない」
「なぜそんなことを?」
「ぼくは同僚の数人が副業として麻薬を売っていることを突きとめたんだ。連中は押収した麻薬のほとんどを売りさばいていた。彼らはぼくがそのことを密告すると思ったんだよ」
「あなたはそうするつもりだったの?」
 ようやくカートはかすかにほほえんだ。「もちろんさ」
「そうよね!」だが、グレッチェンは恐ろしくなった。「でも、部署の全員が不正を働いていたわけではないんでしょう?」
「ああ」再びカートは肩をすくめた。「でもずっと警官をやってきて、退職間近で家族もいるとなれば、波風を立てるわけにもいかないんだよ」
「つまり、まわりの人たちはあなたの味方になってくれなかったということ?」驚きが怒りに変わり、グレッチェンはそれを隠そうともしなかった。
 ほほえみながら、カートはうなずいた。「ああ」
「そんなのひどいわ!」
 カートの顔に笑みが広がり、目のなかのかげりが消えた。「そうだね。でも、今ぼくはどこにいる? ぼくは警察よりも、この仕事のほうがずっと気に入っているんだ」彼は手をのばしてグレッチェンの手をとり、彼女のこぶしを親指でそっと撫でた。「とくに今はね」
 グレッチェンはカートの警察での経験をもっと聞きたかったが、彼が話したがっていないことを感じたので、その点を追求して楽しい夜を台なしにしたくはなかった。それにカートの目はあたたかく、グレッチェンへの関心に満ちていて、彼の手から感じるかすかな熱が彼女の体をほてらせていた。
 カートは男性的な魅力にあふれている。彼自身もそれを知っているに違いない。わたしは部屋に逃げ帰って、ボストンへ戻る日まで出てこないようにするのが賢明だわ。
 しかし楽団が戻ってきて、ゆっくりしたロマンティックな曲を奏ではじめた。グレッチェンは抵抗できないまま、カートに導かれて再びダンスフロアへ向かった。
 今回はカートが遠慮なくグレッチェンを引き寄せたので、彼女は彼のかたい体のぬくもりを全身に感じた。官能的で、刺激的で、誘惑されているような感覚だ。グレッチェンは彼に身をすり寄せ、うずく胸を彼の広い胸に押しつけて、たくましい体の輪郭を知りたいという思いに抵抗しなければならなかった。
 グレッチェンの頭の上で、カートの息づかいが荒くなった。
「ああ、ベイビー」カートはうなるように言った。「きみはぼくをどうするつもりだい?」
 わたしが? グレッチェン・ワグナーが? 高校のダンスパーティーに出たこともなければ、これまで一度もダンスに誘われたことのないわたしが? とても現実とは思えなかったが、彼女はそれを楽しむことにした。このひとときが続くあいだは。
 グレッチェンはカートの肩に頭をもたせかけ、ゆっくりした音楽に合わせて彼にリードされるままダンスフロアを動いた。そうやって彼との時間を過ごせば、寂しいわが家に帰ったあとも、思い出を楽しめる。そうすれば、人生で少なくとも一度は、自分が魅力的で男性の興味を引くような女性だったことが確認できるだろう。現実の自分はそんな女性とはほど遠いけれど。
 そう考えたとたん、その夜の楽しさが少しだけ失われてしまった。するとグレッチェンの気持の変化を感じとったかのように、カートが声をかけた。「きみは楽しそうじゃないね。どうしたんだい?」
 グレッチェンがカートの肩から頭を離さずに少しだけ振ると、唇が彼の開いたシャツからのぞく喉もとにふれた。「なんでもないの」彼女はささやいた。
 カートの体がびくりとするのをグレッチェンは感じた。カートが頭をさげ、彼の唇がグレッチェンの頬にふれた。「教授《プロフエツサー》」胸の奥から這いあがってきたようなカートのかすれた低い声が、愛撫のように響いた。
 グレッチェンは少しだけ頭をあげた。「なあに?」
 答える代わりにカートは頭の向きを変え、グレッチェンの唇に唇を重ねた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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