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シークの罠におちて 愛を拒むプリンス III

シークの罠におちて 愛を拒むプリンス III


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア愛を拒むプリンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 オリヴィア・ゲイツ(Olivia Gates)
 カイロ在住のエジプト人。作家だけにとどまらず、眼科医、歌手、画家、アクセサリーデザイナーという実にさまざまなキャリアをもち、妻と母親業もこなしている。キャラクター設定やプロットのアドバイスをしてくれる娘と、ストーリーが気に入らなければキーボードの上を歩きまわる辛口批評家のアンゴラ猫の助けを借りながら、情熱的なロマンスを書き続けている。

解説

 憎しみを忘れられないのに、あなたを求めずにいられない。

 人道支援活動のため国外へ出ていた砂漠の国ジュダールの王女ジャラは、突然兄に呼び戻され、不安を胸に帰国した。もしや母国の存亡にかかわる一大事が……? すると王宮では、思いもよらぬ人物が彼女を待っていた。サラヤ国王子、モハブ。かつてジャラの心をずたずたにした男性。彼がなぜここに? 6年前ジャラはモハブと出会い、熱い恋におちた――そんな彼女をモハブは弄び、紙屑のように捨てた。甦る屈辱に震えるジャラ。だが、兄の口から信じ難い事実が告げられる。ジュダールとサラヤが戦争に突入するのを阻止するには、二人がただちに結婚する以外ないのだと――。

 ■愛憎相半ばする究極の恋!! 王の命により結婚を余儀なくされたプリンスたちを描く、オリヴィア・ゲイツの3部作〈愛を拒むプリンス〉最終話をお届けします。激しい愛の世界をご堪能ください。

抄録

 ジャラの鼓動が激しくなり、思わず前かがみになる。迎賓室のドアが開き始めた。
 次の瞬間、心臓が肋骨にあたるほど強く打った。時が止まり、現実が崩壊していく。すべてが一点に集中した。暗がりから出てくる人影。記憶にはっきりと残るその形。
 彼だ。
 やめて。ようやく有害な記憶を払拭できたところなのに。こんな対決は阻止しなければ。逃げるのよ、今すぐに。
 しかしジャラは動かなかった。動けずにそこに座っていた。ジャラを取り囲むあかりの円に、彼が足音をたてずに近づいてくる。
 薄暗いなかで最初に浮かびあがったのは彼の目だった。最後に見て以来、ジャラの夢にいつも現れ、目覚めているあいだも苦しめられた、炎の上がる火口のような目。
 でも、ジャラの体に震えが走ったのはそのせいではなかった。彼が目の前にいるという精神的打撃でも、それが暗示するものでもない。彼に会った最初の瞬間からジャラが抱いていた感覚だ。人質事件の恐怖のさなかでさえ、その感覚は現実からジャラを引っぱりだし、彼だけが存在する自由落下空間へと投げこんだ。今もそれと同じ感覚が再び広がっている。あれだけのことがあったというのに……。
 彼がまばたきをし、ジャラを締めつけていた万力がはずれた。ジャラは立ちあがってフレンチドアのほうへ向かった。
 宮殿の庭へ通じる出口が近づくにつれ、足取りが速くなる。だが突然、出口が消えた。筋肉と男らしさの壁が目の前にそびえていた。
 彼のオーラがジャラをからめ取る。ジャラが視線を上げると、彼はあの恍惚とさせる激しいまなざしでこちらを見ていた。
 こんなに近くにいる。私にあれだけの犠牲を強いた人が……。
 誰も、生まれながらにこれほど恵まれるべきではない。弱い光の中でも、彼が自分の記憶にあるよりさらに魅力的になっていることがわかる。六年という年月を経て、彼は“理想の男性”から、途方もない魅力を持つ男性へと変化していた。
 ハイヒールを履いたジャラでも見上げるほど長身の彼は、オリュンポスの神の体格と、復讐に燃える天使の顔を持つ。日差しで金色に焼けたダークブラウンの髪は、うなじでまとめられるほど長くなり、痛々しい傷跡がライオンのような額のいかつさと生え際を強調している。初めて見る、刈りこまれた顎ひげと口ひげが、突きでた頬骨と頑固そうな顎の線を引き立て、無情な砂漠の戦士のイメージを完成させている。以前から呼吸をするのも思わず忘れるほどすてきな男性だったが、成熟し、その魅力はさらに増していた。
 ジャラも、つらい思いをたくさんして大人になったと思っていた。だが彼に見られると、今でも自分の感覚をコントロールできなくなる。
 彼がもう一歩近づいたとき、その体が、切望をかろうじて抑えこんでいるかのように震えた。それはささいなきっかけで解き放たれそうだ。言葉ひとつ、あえぎひとつで……。
 でもジャラは逃げようという試みにすべての力を使ってしまった。停滞状態に陥ってしまった今、復活させてくれる彼の次の動きを待っていた。
 動きは何もなかった。彼はジャラを見おろしている。ジャラが近くにいることにひどく感動しているようだ。この奇襲を計画し、ジャラを待ち伏せしたのは彼のほうなのに。
 ジャラの憤りを抑えこんでいたバリケードがゆるみ、手と脚に冷静な怒りの感情が行き渡った。ジャラは彼との距離を再びあけた。
「さんざん頭を殴られて記憶があいまいになってしまったようね。あなたのような仕事につきものの危険だわ。あなたが現れたことは、記憶喪失になった以外に説明がつかない」
 彼の金色の豊かなまつげが伏せられ、目に表れた炎と感情を覆い隠した。まつげが再び上がると、ジャラは別の種類の熱にさらされた。驚き? 挑戦? ユーモア?
「あなたの記憶にあいた重大な穴を埋めてあげる。私が最後に言ったことは今でも有効よ。あなたの顔は二度と見たくない。だから、どういうゲームのつもりか知らないけれど、地獄へ落ちて」
 ジャラはくるりと向きを変えた。彼から離れたくて足取りが速まる。すると力強く熱い手で腕をつかまれた。
 稲妻が体を突き抜けると同時に、腕を引っぱられてダンスのように体をすばやくまわされた。そして胸からふくらはぎまでが彼にたたきつけられた。
 次の呼吸をする暇もなく、彼の一方の手がうなじにあてられ、頭の動きを奪って顔を上に向かせた。もう一方の手はそれが自分のものであるかのようにゆっくりとヒップまでおりていく。そして、彼は意思の力以外なんの力も行使せずにジャラを捕虜にした。ジャラがかつて好きだった彼の一面だ。都会的な外見の下にひそむ、危険な野獣。
 モハブは呆然とするジャラの視線をとらえたまま、計算と欲望の入りまじった目を躍らせ、頭をさげた。
 彼の唇がふれたら私は崩壊する。ジャラは寸前で顔をそむけた。
 彼の唇はジャラの口角に着地し、そこを軽くついばんだ。なじみのある唇と、なじみのないひげが、それぞれジャラの神経の先端に火花を散らした。吐息から彼の香りが伝わってきて、ジャラは記憶の雪崩にのみこまれた。モハブに力強く奪われる歓びを思いだす。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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