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夜に終わりを告げて

夜に終わりを告げて


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

 キャットは満ち足りた気持ちで恋人ウィルソンに寄り添っていた。彼は仕事中に銃で撃たれて生死の境をさまよったものの、順調に回復している。父を惨殺した男に復讐するためだけに生きてきたキャットは、長いあいだ彼の愛を拒んでいた。だがウィルソンを失いかけたとき、ようやく彼を愛していることに気づいたのだ。危険な仕事を引退して、温かい家庭を築きたい――キャットは初めて人生に希望を感じていた。しかしそのころ、ウィルソンを銃撃した犯人は金と車を奪って逃走を続けていた。ふたりが平穏に暮らす、この地に向かって。

抄録

 デスクの椅子に座り、前回の生理から何日経ったか数えはじめた。数え終えるころには、体が震えていた。
 これまで生理が遅れたことなど一度もないのに、もう二カ月近く遅れていた。
 最近、何度朝食の席で吐き気をもよおし、何度午後の昼寝をしたか思い返した。どちらも普段の彼女には無縁のことだ。
 でもそれを言うなら、これまでに妊娠したこともない。
 キャットは席を立ってバスルームに行き、姿見の前に立った。見たところ、以前と変わりはない。やや痩せすぎで、長い髪もカットしたほうがよさそうだ。胸に触れた瞬間、その柔らかい感触に身震いした。
 激しい鼓動が肋骨に叩きつけるなか、横を向いてシャツを持ちあげる。おなかは今も平らなままだ。もっとも、妊娠二カ月ではこれが普通だろう。シャツをおろしてトイレの蓋に座ると、彼女の体は震えだした。
 本当にこんなことがあり得るのかしら?
 わたしはウィルソンの子供を身ごもったの?
 避妊具を使っても妊娠する可能性はある。確実な避妊法などないのだから。
 突然、キャットはどうしても確かめたくなった。ありがたいことに、車は修理されて元通りになっている。彼女はバスルームから飛びだした。

 キャットがリビングルームを駆け抜けたとき、ウィルソンはまだ電話で話していた。彼は手を振ったが、彼女は目もくれなかった。
 好奇心に駆られた彼はすぐさま電話を切って、あとを追いかけた。
 彼女は財布と車のキーを手に、早くも裏口から出ていこうとしていた。
「おい! どこかで火事でもあったのか?」ウィルソンはポーチで彼女に追いついた。
 キャットはクッキーの瓶に手を突っこんだところを見つかった子供の気分だった。「ちょ、ちょっと町まで行くことにしただけよ。すぐに戻るわ」
「待ってくれ。おれも一緒に行くから」
「その必要はないわ。すぐにすむ用事だから」
 ウィルソンが眉根を寄せた。「いったいどういうことだ?」
 キャットはためらった。彼の気持ちは傷つけたくないけど、愛する男性に彼が父親となることをこんな形で知らせたくない。彼女自身、まだ確信が持てないのだから。
「なんでもないわ。ただ、薬局で買わないといけないものがあるだけ」
「どうしておれが一緒に行ったらまずいんだ?」
 彼女は追いつめられた気分になった。「ひとりで買い物したいと思っただけよ」
 ウィルソンはなにか事情があると察したが、これまで何度もキャットを失いかけたせいで、彼女が頑固に手助けを拒んでも譲らなかった。
「だったら、おれは車内で待っているよ」
「わかったわ。でも、運転するのはわたしよ」
「きみは最寄りの薬局がどこにあるか知っているのか?」
 彼女は彼をにらんだ。「いいえ」
「だったら、きみがすねているあいだ、おれが運転したほうがいいんじゃないか?」
 キャットはウィルソンにキーを渡して修理されたばかりのSUVに乗りこんだ。彼女がシートベルトをしめたときも、彼はまだポーチに立ち尽くしていた。だが、怖い顔でにらまれると慌ててあとを追った。
 ウィルソンは運転席に乗りこみ、エンジンをかけた。
「ぐずぐずしていたら、怒るわよ」彼女がつぶやいた。
 彼はにやりとした。「かまわないよ。おれはしょっちゅうかっとなっている子猫が好みだからな」
 キャットは憤慨しようとしたが、ウィルソンの笑みや、日差しにきらめく金の輪のピアス、きらりと光る目を見て、今回は勝ち目がないと観念した。
 彼女は降参し、シートにもたれた。「わたしはもう出発の準備ができているわよ」
 ウィルソンは彼女をいらだたせるためだけに、オースティンまで制限速度より数キロ遅いスピードを保った。
「ここでいいかな?」彼は通りの角にある大型チェーン店の薬局を指さした。
「ええ、いいわ」キャットは言った。
 ウィルソンはうなずいて駐車場に車をとめた。
 キャットはドアの取っ手をつかんでからウィルソンを振り返った。「すぐに戻るわ」
 彼はため息混じりに言った。「約束どおり、車内で待っているよ」
 キャットは、以前のようにふるまっているのが自分でもわかっていた。あのころは秘密を打ち明けず、ベッドをともにしても心を開こうとしなかった。かつてのつれない態度を悔やみ、彼の腕に手をのせた。
「ありがとう。別にあなたをしめだしているわけじゃないの。でも、わたしのことを少しは信頼してちょうだい」そう言って身を乗りだし、ウィルソンと唇を重ね、彼の下半身が欲望にうずきだすまでキスを引き延ばした。「すぐに戻るわ」彼の血圧が平常に戻らないうちに、キャットは車を降りて薬局のなかに消えた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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