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気まぐれなワルツ 伯爵夫人の縁結び III

気まぐれなワルツ 伯爵夫人の縁結び III


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: 伯爵夫人の縁結び
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 公爵令嬢カリーは結婚を望んでいるが、言い寄ってくるのは家名や持参金目当ての男性ばかり。自分自身を愛してくれる人はいないのかと嘆いていたとき、仮面舞踏会で見知らぬ男からダンスに誘われる。仮面越しにもかかわらず、たちまち惹かれ合った二人は、テラスの陰で素顔を明かして名乗り合う。ブロムウェル伯爵はカリーの美しさに目を奪われているようだ。ところがそこへ兄が現れ、彼女の言い分も聞かずにブロムウェルを罵った。彼に会うことを禁じられて激怒したカリーは、縁結びの達人フランチェスカのもとへ駆け込み……。

抄録

「大丈夫かい? あの男は不埒な真似をしたのか?」
 カリーはうなずいて、ふいにすっかり体が冷えていることに気づいて震えはじめた。「ええ、大丈夫よ。ありがとう。ただ――」息が続かず、言葉が途切れた。
「寒いんだね。ほら、これをかけるといい」彼は肩の後ろに押しやっていたマントの紐をほどき、それでカリーの肩を包んだ。
 カリーは涙に潤む目で、彼を見上げた。大きな瞳がかすかな光を受けてきらめくのを見て、彼が息を呑んだ。
「きみは美しい。あの男が身の程を忘れたのも無理はないな。甘い言葉にだまされて、ああいう男の誘いに乗ってはいけないよ」
「ええ、ばかなことをしたわ」カリーは消え入りそうな笑みを浮かべた。「よく知らない相手とテラスに出てくるほど、世間知らずではないのに。ただ……祖母を避けたくて、衝動的に行動してしまったの」
「へえ?」彼はいたずらっぽく目をきらめかせた。「そんなに意地悪な人なのかい?」
「いいえ、ただ結婚相手を押しつけようとしているだけ」
「ああ」彼はうなずいた。「なるほど。それは始末が悪い。結婚相手を押しつけようとする母親と同じくらい恐ろしいな」
 カリーは微笑した。「ちょうどあなたが来てくださって、ほんとうに運がよかったわ。生涯恩にきます。助けてくださってありがとう」厳かな表情を浮かべ、片手を差しだす。
 彼はその手を取って温かい指で包むと、唇に持っていき、手の甲にかすめるようなキスをした。「お役に立ててよかった。だが、偶然通りかかったわけじゃないんだ。あの男がきみをテラスに連れだすのが見えたものだから。あいつの様子が、なんとなく気に入らなくてね」
「わたしを見ていらしたの?」彼もわたしを捜していたのだろうか? そう思うと胸が温かくなる。
「もう一曲ダンスを申しこもうと、部屋を横切りはじめたところだった。だが、演奏が終わって、夜食の時間になったことに気づいて足を止めたとき、彼がきみを外に連れだすのが見えたんだ」
「ご親切にあとを追ってきてくださったのね」
「どんな男でもそうしたはずだよ」
「いいえ」カリーは笑顔で逆らい、目を落とした。「あの、あなたはまだわたしの手を握っているわ」
「ああ、わかってる。放してほしいかい?」彼はかすれる声で尋ねた。
 カリーは目を上げ、熱いまなざしに出合って体の奥が震えるのを感じた。「いいえ」
「よかった。ぼくも放したくない」彼は手の甲をそっと親指でなでた。羽根のようにかすめただけだったが、カリーの体はかっと熱くなった。「あの悪党を追い払った手柄の褒美に、ささやかな頼みごとをしてもかまわないかな?」
「どんな?」カリーは少し息を弾ませて尋ねた。彼はとても近くにいる。熱い体温を感じ、男性用コロンのかすかな香りが漂ってくるほどに。心臓が胸のなかで激しく打ちはじめたが、つい数分前とは違って、今度は不安のせいではなかった。いまカリーの胸を満たしているのは期待だった。
「きみの名前が知りたい」
「カランドラよ」カリーは低い声で答えた。
「カランドラ」彼がゆっくりつぶやく。「魔法のような名前だ」
「そうでもないわ。親しい人たちはカリーと呼ぶの」
「カリー」彼は顎の線に沿って親指を滑らせながら言った。「きみにぴったりだ」
「このままでは不公平だわ。あなたの名前を知らないんですもの」
「ぼくはブロムウェル。親しい人々はブロムと呼ぶ」
「ブロム」カリーはささやくように彼の名前を口にした。彼の親指が触れたところがちりちりして、そこから全身にえも言えぬ快感が広がっていく。
「この唇から出ると、はるかに美しく聞こえる」彼の親指が下唇をかすめたとたん、カリーは下腹部の奥がうずくのを感じた。彼の目は吸いこまれるように親指の動きを追い、灰色の瞳に情熱が燃え、唇が柔らかくなる。
 彼は身をかがめた。キスされるに違いないと思ったが、カリーはためらいもしなければ、身を引きもしなかった。それどころか、大胆にも爪先立って彼の唇を迎えた。
 唇が重なった瞬間、体のなかで何かが爆発したようだった。彼の口のゆっくりした甘い動きに合わせて、体中の神経がふいに目覚め、カリーは抑えきれずに体を震わせた。これまでも、ひとりかふたりは大胆にも彼女からキスを盗んだ男はいたが、こんな気持ちになったのは初めてだ。ブロムウェルの唇はとても柔らかくて、熱くて、ビロードのようになめらかなその唇の下で、自分の唇が驚くほど敏感になった。これまでの男たちは唇を押しつけただけで動かそうともせず、舌で割ったりもしなかった。カリーは驚き、彼のキスがもたらした激しい快感に震えた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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