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恋は強引に

恋は強引に


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

 本当はずっとあなただけを見てきた。今度こそ、わたしを奪って。

 ■ビーは二十一歳の誕生日を笑顔で迎えていた。優秀な成績で大学を卒業し、明日からは、亡き父が遺してくれた会社でしかるべき地位につく。誕生日パーティは退屈だけれど、気分は上々だ。「やあ、フィービ」その名前を呼ばれ、ビーは全身が凍りついた。彼女をそう呼ぶのは世界じゅうでただ一人――レオンだけだ。ビーは十七歳のとき、レオンと婚約した。父の共同経営者の息子で十四歳年上の彼にビーは夢中になったが、ほかの女性の影がちらつく彼に不信感を覚え、婚約を解消したのだ。「実に魅力的な女性になったね」唐突にキスをされ、ビーは思わず応えていた。二度と傷つけられたくないのに。

抄録

「やあ、フィービ」
 深く、響くような声にビーのうなじが総毛立った。どこにいても、あの声はわかる。ビーはグラスの脚を固く握りしめた。まさか! ビーは目を上げ、窓ガラスに映る一組の男女の姿を見つめた。
 一つはむき出しの肩にシルバーブロンドの髪をまっすぐに垂らした自分自身の姿。銀色のミニ丈のドレスが胸のふくらみから腰まで第二の肌のようにぴったりフィットし、裾からすらりとした脚が伸びている。
 顔は血の気が失せ、まるで幽霊だ。だが、後ろにくっついて立っている背の高い男性には幽霊を思わせるところはまったくなく、どちらかといえば魔法使いに近い! 人に覆い被さるような広い肩。ハンサムで厳しい顔立ちは以前と少しも変わってはいない。波打つ黒い長髪、何事も見逃さない鋭くて黒い目。ゆっくり振り返りながら、ビーはもう一つ、つけ加えた。そして、邪悪なその心も……。
「まあ、レオン」どうにか出した声は震えていた。「ここで何をしているの? お招きした覚えはないけど」
「君の不手際だな、フィービ。だが、許してあげるよ。君の二十一歳の誕生日にはぼくが何をおいても駆けつけるのは知っているだろうに」
 ビーをフィービと呼ぶのは彼一人だ。そして、ビーはそれがたまらなくいやだった。口を開いて抗議しようとしたが、チャンスはなかった。むき出しの肩を大きな手でつかまれ、開いた唇に力強い男性の唇が重ねられた。唇が触れ合ったとたん、言おうとしていたことは頭の中から消え、ビーは目を閉じた。
 抗うべきだとわかっている。ビーは彼の硬い胸を押しのけようとした。けれどなぜか、やわらかな絹のシャツの上に指をはわせていた。
 キスをやめたのはレオンだった。「誕生日、おめでとう」彼は紅潮したリーの美しい顔をのぞき込んでウインクした。「まだ、強く引かれ合うものがあるじゃないか。ぱちぱちと音をたてている。君が握りしめているシャンパン・グラスの中身以上にね」彼はビーの手からグラスを取り上げて窓の下枠に置いた。「さあ、もう一杯飲もう」レオンはビーの手を取った。「ここを抜け出して、書斎で話さないか」
 ビーは思考をはっきりさせるために頭を振った。何年も前にしたことを彼はまたも繰り返している。愚かな私をキスでうっとりさせ、あれこれ指図する。これがレオンのやり方だ。
「いいえ、けっこうよ。もう、じゅうぶんにいただいたわ」リーは手を振りほどいた。「それに、必要なお話はすべて月曜の朝にお会いした時にできるでしょうし。あなたがお飲みになりたいなら、どうぞ、ご自由に。バーはダイニングルームにありますから。場所はご存じよね」体の向きを変えて去ろうとするビーの腕をレオンはつかんで引き止めた。
「そんなに急がなくてもいいだろう」
 肌に大きな手が触れる。突き上げてくるぞくぞくとした感覚を押し殺しつつ、ビーは彼を見上げた。「お気づきになっていないといけないので申し上げておきますけれど、お招きしたお客様がいるんです。一緒にいないと失礼でしょう?」
 ビーの頭のてっぺんからつま先まで値踏みするように眺め回していた黒い目が一瞬、銀色のドレスに包まれた胸に視線を注ぎ、顔に戻した。「実は、ぼくも君と一緒にいたいと思っていたんだ。どうかな、フィービ?」レオンは長い指でビーの素肌をなぞった。「興味ない?」
 ビーは目の前に立ちはだかる男性を見上げた。彼の目は、どこか楽しんでいるように妖しく光っている。三年前と少しも変わっていない。前にも増して魅力的で、彼自身もそれをじゅうぶんに承知している。自信たっぷりな態度、自然に発せられている官能的な魅力。その上、富と権力を持ち、洗練されている。彼はすべての女性にとって危険なカクテルだ。
 今夜、彼は紺色のビジネススーツに白無地の絹のシャツ、それに、淡いブルーと赤のストライプのネクタイをしている。土曜日の真夜中、招かれていないパーティに、なぜこんな服装で来たのだろう? ビーは不思議に思ったが、尋ねるのはやめた。とにかく、この家から出ていってほしい。
「どうかな?」レオンは自分に向けられているビーの視線を意識しつつ、片方の眉を上げて尋ねた。ビーは頬が熱くなるのを感じていた。怒りからか、それともとまどいからか? 「沈黙はイエスの印かな?」
 耳のすぐそばで響く低い声にビーは腕をもぎ離した。「相変わらず救いがたい遊び人ね。あなたのかわいそうな奥様、それに……ご家族に同情するわ」どういうわけか、“お子さん”という言葉は口にできなかった。「あなたの身勝手な行動をよくがまんしているのね。私には理解できないわ」彼に触れられ、すぐそばにいられるといまも脚の力が抜けていくのを知ってビーはうろたえ、わざとはすっぱな口調でつけ加えた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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