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大富豪との一夜の続き

大富豪との一夜の続き


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ソフィー・ペンブローク(Sophie Pembroke)
 学生時代にロマンス小説と出合い、のちにランカスター大学で英語の学位を取るために夜どおしハーレクイン小説を読んだ。それがきっかけで、ハッピーエンドの信奉者となった。自著ではみずからが住んだことのある土地を題材にすることが多く、イングランドの郊外の町に漂う気取ったユーモアやウェールズの山々の野性味、ロンドンの夏の熱気や緊張感を好んで描く。また、主人公たちにお城でキスをさせる傾向があると語る。

解説

 8年ぶりの再会の夜、彼と同室に……。
 図書室での、不埒なキスが甦る。

 出張先のホテルで予約に手違いがあり困っていたルースは、ホテルの経営者で大学時代の同級生、ベンと偶然再会した。ルームメイトの恋人だった彼の変わらぬ姿に、ルースは胸騒ぎを覚えた。8年前、ルームメイトに連れられ、ベンの誕生パーティに出席したが、ホテル王の子息である彼を取り囲む人々はみな派手好きで、居場所のないルースは独り図書室へ逃げこんでやり過ごそうとしていた。そこへベンが現れ、パーティが苦手な彼女に同調したかと思いきや、突然唇を奪ったのだ。お堅くてつまらない私に、なぜキスなんて? しかも彼は友達の恋人……。純粋なルースは驚きと怖さで逃げ出したのだ。それっきりだったベンと、今夜、彼の豪華ホテルで同室になるとは!

 ■ロマンスの本場英国より気鋭の作家S・ペンブロークをご紹介します。自身もロマンスの大ファンと豪語するだけあり、本デビュー作にはその確かな“ロマンス眼”と筆力がいかんなく発揮されています。気になっていた同級生との再会、一夜の情事、そのあとは……。

抄録

「予定どおり、今夜は僕とここに泊まる。そして明日の朝一番でカーディフへ戻る。同僚や講演なんてどうでもいい。しばらくのあいだ、家族のことは忘れる。きみは木曜までチェスターにいるはずなんだろう? 誰もきみが家にいることは知らない。好きなだけ仕事に専念して、本を書きあげて、やるべきことに頭を抱える代わりに、クリスマスをのんびり過ごすことができる」
 ルースはふいに目をそらした。「のんびりする方法を覚えているかどうか怪しいものだけど」
 ベンはほほ笑んだ。「今夜、僕と一緒に過ごすなら、思い出させてあげよう」

 このうえなく心をそそられた。セックスだけでなく――それもひどくそそられるが――丸三日間、本の執筆に専念できるなんて。誰にも何も頼まれずに。
 ルースは唇を噛んだ。「講演はどうするの? 会議の報告書は? クリスマスイブの夕食は?」
「放っておけばいい」そう言い捨てて、ベンはグラスを掲げた。「いま、ここで決めるんだ。他人がきみに求めていることよりも、自分自身のほうが大事だと。いまはきみの本を最も優先するべきで、今週はそれに集中すると。何なら家族の手を借りてもいい。今回だけは優先順位をつけろ」
 そのとおりだった。たとえそのせいで地球の自転が止まっても、まさしく彼の、ベン・ハンプトンの言うとおりだ。大学時代に、彼から退屈だとか堅物だとか言われたのは納得できない――あるいは図星だったかもしれないけれど。でも、いまは彼の言うとおりだった。とにかく優先順位が必要だ。三日あれば、とりあえずどうするべきか考えられるだろう。
「切符はたぶん払い戻しができるわ。もしくは明日の列車に変更してもらうか」ルースは考えた。もともと切符の手配は会議の主催者側だったが、ホテルの部屋の一件で、切符の変更を任せる気になれなかった。明日の朝、自分で駅へ行って確認してみよう。
「切符は僕が用意しよう」ベンはこともなげに言った。「一等だ。そうすれば列車の中で仕事ができる」
 ルースは眉をつりあげた。「提供するサービスへの代償? あなたとは寝ないと言ったはずよ」
「おわびのしるしだよ」ベンは背筋を伸ばし、じっと彼女を見つめた。ルースは目をそらせなかった。「〈ハンプトン&サンズ〉からの。予約が取り消されていたことへの。僕はセックスには金を払わない」
 ベンはひどく侮辱されたような面持ちだった。傷ついているようだった。ルースは思わず目をそらした。「ごめんなさい。そんなつもりは……」
 彼はため息をついた。「いいか、いまのきみに選択肢はほとんどないんだ、ルース。僕は明日、出発する。その後、このスイートには間違いなく予約が入っている。だから街に残って別のホテルのキャンセルを探すか、あるいは家に帰るかしかない。帰ってから誰に連絡しようと、それはきみ次第だが」
「どうして?」ルースは尋ねた。「なぜ私の力になろうとしているの?」
 あのホテルの図書室での晩のことを覚えているから? 私を助けて埋め合わせをするつもり?
 もうどうでもいいことなのに。何しろ八年も前のことだ。でも、明日が過ぎれば、この男性には二度と会えないかもしれない。このまま答えがわからなければ、一生悩みつづけることはわかっていた。「あなたの二十一歳の誕生日の晩を覚えている?」
 話題が変わっても、ベンはまばたきすらしなかった。「いや。覚えているのは、翌日二日酔いだったことくらいだ。きみにもそんな経験はあるだろう」
 彼は覚えていない。だとしたら、あのことはなかったも同然だ。私も忘れられる。過去は水に流して。
「あの晩の失態のせいで見限られたのはわかっている」ベンは彼女に向かって眉を上げた。「僕が忘れていることを教えてくれないか?」
 ルースはほほ笑んだ。「いつかね」でも、“いつか”がやってくることはない。明日、私は家に帰って、ベン・ハンプトンのことは何もかも忘れるから。
 そのほうがいいと、ルースは自分に言い聞かせようとした。
 ベンはブランデーを飲み干して立ちあがった。「どうやら、決断は明日まで延ばしたほうがよさそうだ。ただ……」彼は期待を込めた表情を浮かべる。
「あなたとは寝ないわ」たとえ、この体がどんなに彼を求めていようと。そう考えただけで、ルースは下腹部が締めつけられるのを感じた。
 ベンは笑った。拒まれたわりには、ずいぶんと陽気な笑い声だった。「そういうことなら、そろそろ失礼させてもらおうか。明日は長旅だから」
 彼は身をかがめ、ルースの頬にキスをした。思ったよりも、やわらかな唇だった。といっても、想像していたわけではないけれど。
「おやすみ、ルース」
 ベンはグラスをカウンターに置くと、ゆっくりと寝室へ向かい、後ろ手にしっかりドアを閉めた。それでもルースは、じっとドアを見つめていた。
 そっと頬に触れてみる。彼の唇の跡をなぞるように。
 みごとにやられたわ。今夜は、“イエス”と言っていたら起きていたはずのことをひたすら夢見るだろう。ルースにはわかっていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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